気象予報士試験 学科一般 知識整理ノート
出典分析:第56〜65回(直近10回・150問)。★=出題頻度(★★★:ほぼ毎回/★★:半数程度/★:散発)。
各項目=【要点】【考え方】【問われ方】【ひっかけ集】【弱点メモ】の5点セット。
使い方:普段は閉じたまま見出しだけで内容を口頭再現→開いて確認(想起テスト)。過去問で間違えたら該当項目の【弱点メモ】に日付と原因を追記。
凡例:「65-3」=第65回問3。■ひっかけ集は実際の誤り選択肢の歪め方。
凡例:「65-3」=第65回問3。■ひっかけ集は実際の誤り選択肢の歪め方。
目次(頻出順)
- 1. 気象法規 ★★★ 40/150問
- 2. 大気の熱力学 ★★★ 21/150問
- 3. 大気の力学 ★★★ 22/150問
- 4. 大気の構造 ★★★ 19/150問
- 5. 気象現象 ★★ 16/150問
- 6. 気候の変動 ★★ 13/150問
- 7. 大気における放射 ★★ 10/150問
- 8. 降水過程 ★★ 9/150問
- 出題傾向(150問の内訳)
- 目次
- 第1章 観測システム ★★★ 42問/150
- 第2章 数値予報 ★★★ 29問/150
- 第3章 気象情報・警報 ★★★ 13問/150
- 第4章 精度評価 ★★★ 9問/150(10回中9回出題)
- 第5章 台風 ★★ 11問/150
- 第6章 総観気象・メソ気象 ★★★ 28問/150
- 第7章 短時間予報・ナウキャスト ★★ 10問/150
- 第8章 長期予報・気候 ★★ 8問/150(ほぼ毎回1問)
1. 気象法規 ★★★ 40/150問
4本柱:①予報業務の許可 ②気象予報士制度 ③観測の届出・検定・罰則 ④防災法規(災対法・水防法)。数字(2年・2週間・30日・人数)と主体(長官/知事/市町村長)を狙って歪めてくる。
1-1. 予報業務の許可(要否・要件・変更・記録)★★★61-13 / 62-12 / 63-12 / 64-12 / 65-12
要点
- 許可の要否は2軸で判定:①自ら「現象の予想」を行うか ②その結果を「他人(不特定)」に提供するか。両方Yesなら気象庁長官の許可が必要。
- 許可不要:気象庁発表の予報の転載・解説(予想なし)/自社内・自己利用(他人への提供なし)/桜の開花予想(気象現象の予想ではない)
- 許可必要:個人でも定時的・反復的に独自予報をHP等で公開する場合
- 許可の基準(法18条):①予報資料の収集の施設・要員 ②予報資料の解析の施設・要員 ③気象庁の警報事項を迅速に受けられる施設・要員 ④欠格でないこと(許可取消しから2年、罰金以上の刑から2年)。「利用者への伝達施設」は基準にない。
- 変更の手続き:目的・範囲の変更=認可(事前)/氏名・名称・事業所名称等の変更=遅滞なく届出(事後)/休止・廃止=30日以内に届出(事後)。
- 記録事項(事業所ごと・保存2年):①予報事項の内容と発表の時刻 ②現象の予想を行った気象予報士の氏名(登録番号は不要) ③警報事項の利用者への伝達の状況(目的・範囲に係るものに限る)。
- 用語の定義(法2条・60-14):「気象」=大気(電離層を除く)の諸現象/「観測」=自然科学的方法による観察及び測定/「予報」=観測の成果に基く現象の予想の「発表」(発表まで含めて予報。だから予想だけなら予報士の独占、発表・解説は自由)。
考え方
法規はすべて「主体×行為×手続きの種類(許可/認可/届出)×時期・期限」の4点で整理する。許可=事業開始の関門、認可=重要な変更、届出=軽微・事後、と重さの順で覚えると、どの手続きが要るかを条文暗記なしで推定できる。記録事項は「あとから検証に必要な最小限(何を・いつ・誰が予想し・警報を伝えたか)」と考えると3点が自然に出てくる。
問われ方(過去問より)
- 61-13:許可が必要か不要かの事例判定(桜開花予測/予報の転載/自社内利用/個人HPの独自予報)
- 62-12・64-12:許可の要件として正しい項目の選別(収集・解析・警報受信体制・欠格2年)
- 63-12:変更の手続き(認可/届出、事前/事後、30日)
- 65-12:事業所ごとの記録事項(内容と発表時刻・予報士氏名・警報事項の伝達状況)
ひっかけ集
- 「利用者への伝達施設を有すること」を要件に混ぜる(62・64回)→伝達施設は要件ではない
- 「予報士の登録番号」「管理者の氏名」を記録事項に混ぜる(65回)
- 目的・範囲の変更を「届出」と書く(63回)→正しくは認可
- 「気象予報士がやるなら/HPに載せるなら許可必要」という誤連想を誘う(61回)→判定軸は①予想を行うか ②不特定他人へ提供かのみ
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
1-2. 気象予報士制度(登録・抹消・設置基準)★★★61-12 / 62-13 / 63-13 / 64-13 / 65-13
要点
- 登録:試験合格後、気象庁長官の登録を受けて気象予報士となる。期限なし・更新制度なし。登録事項(住所等)の変更・死亡(相続人が届出)は遅滞なく長官へ届出。
- 登録拒否・抹消の核心:「気象業務法の規定により罰金以上の刑→2年間は登録不可/登録抹消」。刑法など他の法律の罰金では抹消されない。抹消事由=①死亡 ②業務法違反の罰金以上 ③不正な手段による登録。
- 試験の不正:長官は合格の取消し・試験の停止ができ、2年以内の期間を定めて受験を禁止できる(「最長3年」は誤り)。
- 設置基準(事業所ごとの専任予報士数):1日あたりの現象の予想を行う時間が 8h以下=2名/8h超〜16h以下=3名/16h超=4名。欠員が生じたら2週間以内に補充。
- 従事する予報士本人の事前届出は不要(届出・申請をするのは常に事業者側)。予報士に行わせる義務があるのは「現象の予想」のみで、発表は誰が行ってもよい。
考え方
この項目の誤り選択肢は「実在しない制度の創作」(登録期限・更新制・承認)か「4点すり替え」(主体:長官↔大臣/数値:2年↔3年・2週間↔1カ月/範囲:予想のみ↔予想と発表/根拠法:業務法↔刑法)のどちらか。まず「登録は一生モノ、手続きの相手は常に気象庁長官、動くのは事業者」という3原則を置き、外れる記述を疑う。設置人数は「8時間=1人前」と考え、8h→2名から8hごとに1名追加(上限4名)と再構成すると暗記が減る。
問われ方(過去問より)
- 5回連続出題。登録に期限・更新なし(64-13)/住所変更は遅滞なく届出(62-13,65-13)/従事する予報士本人の事前届出は不要(62・63・65回)/死亡時は相続人が届出(62-13)/設置人数と欠員補充(63-13)/不正受験の合格取消し(64-13)
ひっかけ集
- 存在しない手続きの創作:「合格から1年以内に登録」「5年ごとの更新」「長官の承認」「国土交通大臣の登録」
- 登録抹消は「刑法の罰金以上」と書く(61・65回で2度)→正しくは気象業務法違反の罰金以上
- 数値の置換:設置「4名」(12hなら3名)、欠員補充「1カ月」(2週間)、受験禁止「最長3年」(2年以内)
- 予報士に行わせるのは「予想とその発表」(61回)→予想のみ
弱点メモ
1-3. 観測の届出・測器の検定・罰則★★★61-14 / 62-14 / 64-14 / 65-14
要点
- 届出が必要な観測(気象庁以外の者):①政府機関・地方公共団体の観測(研究・教育目的を除く) ②それ以外の者が「その成果を発表するための観測」「災害の防止に供する観測」。→ 技術上の基準に従い、観測施設の設置を届出。
- 届出不要の典型:研究用(大学・国立でも)/教育用(学校)/内部管理用(農園・自社用)。「公表するか」が分かれ目(HP・電光掲示板での公開=発表に該当し届出必要)。
- 検定:技術上の基準に従うべき観測に用いる温度計・気圧計・雨量計・風速計等は検定合格測器が必須。船舶・航空機からの報告義務のある観測も検定測器。有効期間は測器の種類による(「すべて5年」は誤り)。申請者に制限なし(「製造者に限る」は誤り)。
- 罰則の有無(58-14・56-12・62-14で3回出題):罰則あり=施設の損壊・移設/無検定測器の使用(予報業務用は非公表でも検定必要:57-13)/改善命令違反/予報士以外に予想をさせた/無認可の目的・範囲変更。罰則なし=届出義務違反・努力義務(警報伝達)違反。長官は届出者に観測成果の報告を求めることができる。
考え方
届出制度の目的は「世の中に出回る観測データの品質保証」。だから外に出るデータ(発表・防災利用)だけが規制対象で、内輪のデータ(研究・教育・自家用)は自由——この一本の理屈で全事例が判定できる。検定も同じ理屈で「公的に使われる測定値の器差保証」。罰則は「データの信頼を直接壊す行為(施設損壊・無検定測器)」に限定され、手続き違反(届出漏れ)は罰しない、と整理すると「義務=罰則」の思い込みを回避できる。
問われ方(過去問より)
- 事例判定形式が定番:農園の内部管理用(65)/学会論文用の大学観測(65)/遊園地・商業施設のHP・掲示板公表(61・65)/国立大学の研究用(61)/小学校の教育用(62)/船舶の報告義務観測と検定(61)
- 罰則の適用(62-14):施設損壊=罰則あり/届出義務違反=罰則なし
ひっかけ集
- 「観測機器を設置したら届出」という過剰一般化→成果を発表する目的等のみ届出。研究・教育・内部利用は不要(3回出題の最頻出線引き)
- 「国立大学=公的機関だから必要」の誤連想(61回)
- 「検定有効期間はすべて5年」「申請は製造者に限る」(64回)→過剰限定ワードは疑う
- 「義務がある=罰則がある」の思い込み(62回)→届出義務違反に罰則なし
弱点メモ
1-4. 警報・予報の体系と通知・伝達(業務法13〜15条・20条)★★★59-14 / 60-15 / 63-14 / 65-12関連
要点
- 予報・警報の実施義務:一般向け(13条)=気象・地象(地震にあっては地震動に限る)・津波・高潮・波浪・洪水について「しなければならない」/航空機・船舶向け(14条)=「しなければならない」(「できる」と書けば誤り。対象に洪水は含まない)/水防活動用(14条の2)も義務。
- 通知の連鎖(15条)は原則こう覚える:気象庁→関係機関(警察庁・消防庁・国交省・海保・都道府県・NTT東西・NHK)への通知だけが「直ちにしなければならない」。その先の都道府県機関→市町村長、市町村長→公衆、国交省機関→航行中の航空機は、すべて「努めなければならない」(努力義務)。例外はNHKの機関=直ちに放送しなければならない(義務)。
- 特別警報(15条の2)は強度が一段上がる:都道府県機関→市町村長の通知、市町村長→公衆への周知が義務になる(60-15で出題)。
- 許可事業者→利用者:目的・範囲に係る警報事項の伝達は「努めなければならない」(努力義務・20条)。ただし伝達の状況は記録事項(→1-1)。
- 警報の禁止(23条):気象庁以外の者は警報をしてはならない(予報=許可制、警報=禁止。許可を受けてもできない)。
考え方
強度の見取り図は「気象庁が出す・最初に配る所まで=義務、その先のバケツリレー=努力義務、ただし放送(NHK)と特別警報は義務」。特別警報で強度が一段上がるのは「命に直結する情報ほど確実に届ける」という制度趣旨から自然に導ける。試験は経路(誰から誰へ)は正しく書き、「努める/しなければならない」の強度語だけを入れ替えるのが定番中の定番(59・60・63回で3回)。条文を読むときは主語と文末だけマークして表にするのが最短。
問われ方(過去問より)
- 63-14:通知連鎖の強度(都道府県→市町村長は努力義務)/14条は義務/許可事業者の伝達は努力義務
- 59-14:13条・14条の対象現象と義務/都道府県機関の努力義務/NHKの放送義務
- 60-15:特別警報では通知が義務に格上げ/水防活動用警報は義務/警報の禁止(23条)
ひっかけ集
- 「努めなければならない」⇔「しなければならない」の入れ替え(59・60・63回)。通常警報の連鎖=努め、特別警報・NHK放送=義務の対比が最重要
- 14条(航空機・船舶向け)を「することができる」に弱める(59・63回で2回)→義務
- 対象現象のリストに洪水を混ぜる/外す(一般向けには洪水あり、航空機・船舶向けにはなし)
- 「予報業務の許可を受ければ警報もできる」(60回)→警報は気象庁以外禁止
弱点メモ
1-5. 防災法規(災害対策基本法・水防法)★★★61-15 / 62-15 / 63-15 / 64-15 / 65-15
要点
- 災対法54条(発見者の通報):異常な現象の発見者→市町村長 又は 警察官・海上保安官(消防官は条文にない)。警察官・海保官→市町村長。市町村長→地域防災計画の定めにより気象庁その他の関係機関へ通報。
- 避難の指示(60条):主体は原則市町村長。①避難のための立退きの指示 ②立退きがかえって危険なときは、高所への移動・近傍の堅固な建物への退避・屋内での待避等の「緊急安全確保措置」の指示(正式名称を正確に)。
- 計画の階層:中央防災会議=防災基本計画(毎年検討、「5年ごと」は誤り)/指定行政機関=防災業務計画/都道府県・市町村=地域防災計画/地区の居住者等=地区防災計画(素案を添えて市町村防災会議に提案できる)。市町村は地域防災計画の作成・実施の責務を負う。都道府県災害対策本部は知事が設置。
- 水防法10条(洪水予報):気象庁長官は洪水・津波・高潮のおそれ→国土交通大臣(内閣総理大臣ではない)と関係都道府県知事に通知し、報道機関の協力を求めて一般に周知。流域面積が大きく国民経済上重大な損害のおそれがある指定河川は、国交大臣と気象庁長官が共同で洪水予報(水位・流量を示す)→知事に通知。
- 消防法22条(火災気象通報・58-15):気象庁長官・気象台長等→「都道府県知事」に通報→知事→「市町村長」→市町村長は「火災に関する警報」を発することができる→区域内の者は条例で定める「火の使用の制限」に従う。※災対法54条(市町村長起点)と経路の向きが逆なのが最大の混同ポイント。
- 対策本部の3階層(59-15):非常災害対策本部=内閣総理大臣が臨時に内閣府に設置/都道府県災害対策本部=知事(自らを長とする)/市町村(現地)災害対策本部=市町村長。
考え方
防災法規の大原則は「現場に最も近い市町村長が住民保護の一次責任者」。避難指示も通報経路の結節点も市町村長で、知事・国は支援と広域調整という構図を押さえると、主体すり替え(知事・総理大臣)に反射的に気づける。計画は「国(基本)→省庁(業務)→自治体(地域)→住民(地区)」の4層をワンセットで。61〜65回は災対法→水防法→災対法…のローテーションなので、次回は災対法の未出条文(従事命令・警戒区域など)か水防法の再出題を想定しておく。
問われ方(過去問より)
- 毎回1問のローテーション:災対法54条通報(65)/避難指示・緊急安全確保措置(61・64)/計画体系と検討周期(63)/水防法の洪水予報(62)
ひっかけ集
- 主体のすり替え:立退き指示を「都道府県知事」(64回)→原則市町村長。通知先を「内閣総理大臣」(62回)→国土交通大臣
- 用語のすり替え:「緊急退避措置」「防災行動」等の非公式語(64回)→正式名は緊急安全確保措置
- 条文にない役職の混入:通報先に「消防官」(65回)→市町村長・警察官・海上保安官
- 周期の創作:防災基本計画の検討「5年ごと」(63回)→毎年
弱点メモ
2. 大気の熱力学 ★★★ 21/150問
計算1問+概念1問が定番。核は「保存量×過程」の対応表と、状態方程式・断熱減率を使った4パターンの計算。
2-1. 保存量(θ・θe・q・露点・仮温度)と過程の対応★★★61-3 / 62-3 / 65-3
要点
| 過程\量 | 混合比 w(=q) | 温位 θ | 相当温位 θe | 露点 Td | 仮温度 Tv |
|---|---|---|---|---|---|
| 乾燥断熱(凝結なし昇降) | 保存 | 保存 | 保存 | 変化(気圧変化でeが変化) | 変化 |
| 湿潤断熱(凝結あり) | 減少 | 増加(潜熱放出) | 保存 | 低下(≈気温に一致) | 変化 |
| 等圧冷却(非断熱・凝結なし) | 保存 | 低下(=Tと連動) | 低下(保存されない) | 保存 | 低下 |
- θeは「断熱過程(乾燥・湿潤とも)の保存量」。非断熱(放射冷却・等圧冷却)では保存されない。
- 等圧ならwが不変⇔e不変⇔Td不変。気圧が変わる昇降ではwが同じでもeが変わりTdは変わる。
考え方
暗記でなく「その量は何で決まるか」から導く:wは水蒸気の量そのもの→凝結しない限り不変。θは(T,p)の関数で断熱変化の不変量→潜熱や放射で熱が入れば動く。θe≈θ+潜熱分→凝結で潜熱が顕熱に変わっても総和は不変、外から熱の出入りがあれば動く。TvはTを含む→Tが動けば動く。「断熱か非断熱か」「凝結するかしないか」の2判定を最初に行うのが解答手順の第一歩。
問われ方(過去問より)
- 3回出題の最頻出。持ち上げ(61)/ピストン断熱膨張(62)/等圧冷却(65)と過程を変えて、θ・q・θe・露点・仮温度の保存/非保存を問う
ひっかけ集
- 「θeはいつでも保存」の思い込み(65回)→非断熱過程(等圧冷却)では保存されない
- 凝結の前後で挙動が変わる(q減る・θ増える・θe不変)の混同(61・62回)
弱点メモ
2-2. 計算パターン(静力学平衡・RH・比湿・フェーン)★★★61-4 / 62-2 / 63-2 / 63-3 / 64-2 / 65-2
要点
- 【型1】層の気圧差:①TをKに変換 ②ρ=p/(RT)(R=287、pはPaで) ③Δp=ρgΔz ④Pa→hPa。例:500hPa・-23℃→ρ≈0.70、Δz=100mでΔp≈7.0hPa
- 【型2】断熱昇降後の相対湿度:①乾燥断熱10℃/kmでTを更新 ②eを気圧比で補正 e₂=e₁×(p₂/p₁)(wが保存だから) ③RH=e₂/e_s(T₂)。②の気圧補正が最大の落とし穴。
- 【型3】比湿・混合比の換算:s≈0.622e/p。eの求め方3経路=(質量比:s=m_v/(m_乾+m_v))(RH:e=RH×e_s(T))(露点:e=e_s(Td))。sは同じeなら低圧ほど大きい。
- 【型4】フェーン・山越え:①出発点の気塊温度は環境減率で決める ②移動中は乾燥10℃/km(凝結後は湿潤5〜6℃/km) ③凝結の有無を毎区間確認。
- 定数セット:R=287 J K⁻¹kg⁻¹/g≈9.8(問題指定で10)/乾燥断熱10℃/km/湿潤断熱5〜6℃/km/0.622。Rv=Rd×29/18≈462(58-2)。
- 【型5】LCL・LFCの立式(56-2):LCLまで10℃/km、LCL〜LFCは5〜6℃/kmの2区間で温度履歴を式にし、LFCで環境温度と等置。【型6】桁の計算(56-1):気圧=上空の空気の重さ。約5kmごとに半減→1hPa(残り0.1%)は約50km。
考え方
計算問題は毎回この4型のどれかの変形。共通の事故ポイントは「単位(K・Pa・km/h)」「気圧補正」「減率の使い分け」の3つで、誤答選択肢はこの3つを間違えた値がそのまま置かれている。解いた後に「間違え方から逆算してどの選択肢に誘導されるはずだったか」を確認すると、自分のミスの型が特定できる。
問われ方(過去問より)
- ①静力学平衡+状態方程式:Δp=ρgΔz、ρ=p/RT(65-2)
- ②断熱昇降とRH:混合比保存+気圧補正(64-2、61-4)
- ③比湿の換算:質量比/相対湿度/露点の3経路(63-2)
- ④フェーン:環境減率と断熱減率の使い分け(63-3)/浮力振動:減率の差で割る(62-2)
ひっかけ集
- ℃のままRTに代入させる(65回)/気圧補正を忘れた値がそのまま選択肢にある(64回:55%、61回:73%)
- 「飽和のまま下降」と誤解させて湿潤断熱減率を使わせる(64回)
- 出発点の気温は環境減率、移動中は断熱減率という使い分け(63回)
弱点メモ
2-3. 湿球温度・露点温度の関係/霧の分類★★63-4 / 64-3
要点
- 温度の序列:T ≧ Tw(湿球) ≧ Td(露点)(飽和時はすべて一致)。露点での飽和混合比=現在の混合比w。したがって w = w_s(Td) < w_s(Tw) < w_s(T)。
- 湿球の熱収支式:L(w_s(Tw) − w) = Cp(T − Tw)。「蒸発に使った潜熱=空気が失った顕熱」。
| 霧 | 生成機構 | 典型場面 |
|---|---|---|
| 放射霧 | 夜間の放射冷却 | 晴天・弱風の朝、盆地 |
| 移流霧 | 暖湿空気が冷たい面へ移動 | 海霧(初夏の三陸沖など) |
| 蒸気霧 | 冷気が暖かい水面上へ(逆向き!) | 冬の川・湖面のけあらし |
| 滑昇霧 | 斜面上昇の断熱膨張 | 山腹 |
| 前線霧 | 降水の蒸発で飽和 | 温暖前線付近 |
考え方
湿球温度は「水を蒸発させて冷やせる限界」なので必ずTとTdの間に入る——序列は暗記でなくこの理屈で再現する。霧は「空気と面のどちらが暖かいか」で移流霧/蒸気霧を判定するのが最重要(試験はここを入れ替える)。残りは「冷やすか(放射)・持ち上げるか(滑昇)・水蒸気を足すか(前線・蒸気)」の3機構に分類できる。
問われ方(過去問より)
- 64-3:w=w2<w1の大小と L(w1-w)=Cp(T-T1) の式選択
- 63-4:移流霧/放射霧/滑昇霧の生成機構の正誤
ひっかけ集
- 式の添字・符号の入れ替えで5択構成(64回)
- 移流霧と蒸気霧の定義の入れ替え(63回):冷気が暖水面上→蒸気霧
弱点メモ
3. 大気の力学 ★★★ 22/150問
力のつり合い(地衡風・傾度風・摩擦・慣性振動)+温度風+計算(渦度・連続の式・収束)の3系統。
3-1. 風のつり合い(地衡風・傾度風・摩擦風・慣性振動)★★★61-7 / 63-9(c) / 64-7 / 65-6 / 65-7
要点
| 風 | つり合う力 | 結論 |
|---|---|---|
| 地衡風 | 気圧傾度力=コリオリ力 | Vg=PG/(ρf)。等圧線に平行、低圧を左(北半球)。低緯度ほど・気圧傾度が大きいほど強い |
| 傾度風(低気圧性) | 気圧傾度力=コリオリ力+遠心力 | V<Vg(遠心力が気圧傾度力の一部を食う)。中心に近いほどVg比で弱い |
| 傾度風(高気圧性) | 気圧傾度力+遠心力=コリオリ力 | V>Vg |
| 摩擦を含む風 | 3力のつり合い | 等圧線と角αで低圧側へ。F=P sinα、C=P cosα=fV → F=fV tanα。摩擦大→α大 |
| 慣性振動 | コリオリ力=遠心力 | 時計回り(北半球)、周期2π/f(半振り子日)。高緯度ほどf大→周期短い |
考え方
5種すべて「まず力の矢印を描く」。低気圧まわりは外向き遠心力が加わるため、同じ気圧傾度でもコリオリ力(∝V)は小さくて済む→V<Vg。この一つの図から「台風中層の風は地衡風より弱い」(63-9)も「低気圧内の風速分布」(65-7)も導ける。周期は「fで割る」形(2π/f)だけが次元的に時間になる、と確認すればf/2πとの取り違えを防げる。
問われ方(過去問より)
- 「低気圧性の傾度風<地衡風」が65-7(図選択)と63-9(台風文脈)で2回出題
- 61-7:Vg=PG/(ρf)の大小比較(緯度×気圧傾度)
- 64-7:摩擦を含む3力のつり合いの式(F=P sinα等)/65-6:慣性振動(時計回り・2π/f・高緯度で短い)
ひっかけ集
- 「低気圧では地衡風より強い」(63回)/「気圧傾度一定→風速一定」(65回)
- sin/cosの割り当てミスを誘う(64回)→必ず力の図を描く
- 2π/fとf/2πの取り違え、「高緯度=周期長い」の逆(65回)
- 「気圧傾度が大きい方が常に風速大」→fとの綱引きで逆転あり(61回)
弱点メモ
3-2. 温度風と温度移流★★★62-6 / 62-7 / 63-10 / 64-6
要点
- 温度風=上層の地衡風−下層の地衡風(ベクトル差)。層内の平均気温の等温線に平行に、低温側を左に見て吹く(北半球)。大きさ∝(1/f)×|水平温度勾配|×ln(p下/p上)→fに反比例(低緯度ほど大)。
- 温度移流の判定:風が高温側→低温側へ吹く=暖気移流。ホドグラフで風向が高さとともに時計回り=暖気移流、反時計回り=寒気移流(北半球)。
- 移流の大きさ=−V・∇T(風速×風向方向の温度勾配)。fに依存しない——温度風(勾配∝f×シア)とは別物。
- 計算時:成分分解(sin/cosは図で確認)と単位換算(m/s→km/h:×3.6)。
考え方
「シア(温度風)が教えるのは気温の勾配、移流が教えるのは気温の時間変化」と役割を分ける。シアが大きい場所=等温線が混んでいる場所であって、気温が高い場所ではない(62-7の罠)。また同じ温度場・同じ風なら移流は緯度によらないが、その温度場が作るシアは低緯度ほど大きい(64-6の罠)。この「fが効く量/効かない量」の区別が本項の核心。
問われ方(過去問より)
- 64-6:温度風はfに依存・移流は依存しない/62-7:シアから層厚(平均気温)分布を逆算
- 62-6:移流の数値計算(sin成分×単位換算)/63-10:半球の別を伏せた温度風判定
ひっかけ集
- 「風速が大きい=移流も大きい」(64回)/「風速最大の場所=気温最大」(62回)→温度風が与えるのは気温の「勾配」
- m/s→km/hの換算忘れ(62回)/半球(fの符号)の見落とし(63回)
弱点メモ
3-3. 渦度・連続の式・収束と上昇流の計算★★61-6 / 63-6 / 63-7
要点
- 渦度(鉛直成分)の差分計算:ζ = ∂v/∂x − ∂u/∂y ≈ [v(東)−v(西)]/2Δx − [u(北)−u(南)]/2Δy。手順:①各点のu,vを符号付きで書き出す(西向き=u負、南向き=v負) ②2つの差分を機械的に計算 ③引き算の順序(東−西、北−南)を守る。
- 連続の式(箱の質量収支):密度一定なら「入る量=出る量」。(w_上−w_下)×底面積 = 水平流入超過×側面積。手順:①各面の出入りを符号付きで集計 ②箱の高さ・面の面積の違いに注意(高さ2Hの箱は側面積も2倍) ③下から順に積み上げ計算。
- 円柱への収束:流入に効くのは動径成分(中心向き成分)のみ。w = 動径流入速度×側面積/上面積 = 2·Vr·h/r。接線成分は回転に寄与するだけで収束しない。
考え方
この系統は「見た目や直感を捨てて、成分と収支だけで手を動かす」問題。渦度は風ベクトルの絵が回転して見えるかどうかと一致しない(63-6でζ_A=0になるのが好例)。連続の式は「空気は消えない」だけの話なので、面ごとの出入りを表にすれば必ず解ける。事故要因は符号・面積・順序の3つに集約される。
問われ方(過去問より)
- 63-6:4点風速からの渦度近似計算/63-7:積み重ねた箱の鉛直風速/61-6:円柱への流入から上昇流
ひっかけ集
- ベクトルの見た目(回転していそう)で判断させる(63回)→成分差分で機械的に
- 箱の高さの違い(2H)の見落とし(63回)/動径成分sin30°と接線成分の混同(61回)/面ごとに面積が違う箱(57-7)・連続の式+渦度の複合(58-7)
- 次元解析(57-8):気圧=[M L⁻¹ T⁻²]、f=[T⁻¹]。単位(Pa、/s)から機械的に導く
弱点メモ
4. 大気の構造 ★★★ 19/150問
4-1. 大気の組成と鉛直構造(4層)★★★62-1 / 63-1 / 64-1
要点
- 組成:N₂ 78%・O₂ 21%・Ar 0.93%で計99.97%。CO₂約0.04%。高度約80km以下は均質圏で平均分子量ほぼ一定(約29)。水蒸気(分子量18)が混ざるほど平均分子量は小さくなる。
- 4層と加熱機構の対応:対流圏(平均6.5℃/km低下・地表加熱)→成層圏(オゾンの紫外線吸収で昇温、界面約50km)→中間圏(加熱源乏しく低下、界面80〜90kmが大気中最低温)→熱圏(光電離で昇温、自由電子は中間圏より多い)。
- 圏界面:低緯度16〜18kmで高く低温、高緯度8〜10kmで低い。中緯度では総観規模擾乱(移動性高低気圧)に伴って日々変動する。
- 標準大気:減率一定(6.5℃/km)<乾燥断熱(9.8℃/km)なので温位は高度とともに増加(安定)。
考え方
温度構造は「加熱源がどの高度にあるか」の反映:地表(対流圏)・オゾン層上部(成層圏界面)・EUV吸収(熱圏)の3つの熱源の間で気温の山谷ができる。「どの層で何が紫外線を吸うか」(O₃=成層圏、O₂やN₂の電離=熱圏)を対応づけておくと、層と機構のすり替えに即応できる。分子量は「軽い気体が混ざれば軽くなる」だけの算数で、直感(湿った空気は重そう)と逆なのが出題ポイント。
問われ方(過去問より)
- 64-1:標準大気・圏界面高度・各層の加熱機構/63-1:組成と平均分子量/62-1:圏界面の変動・熱圏の電離
ひっかけ集
- 「水蒸気が多い=分子量大」(63回)→18<29で軽くなる
- 「減率一定なら温位も一定」(64回)/加熱機構と層の対応ずらし:光電離は熱圏(64回)
- 「安定成層=鉛直運動なし」「圏界面は擾乱で変動しない」の過剰断定(62回)
弱点メモ
4-2. オゾン層(生成・分布・BD循環)★★★61-1 / 65-1 / 64-1(c)
要点
- 生成(チャップマン機構):O₂+紫外線→2O(光解離)、O+O₂(+M)→O₃。生成が盛んなのは紫外線の強い低緯度・成層圏上部。
- 3つの「極大」の区別:数密度の極大=高度20〜25km/加熱(気温)の極大=約50kmの成層圏界面/オゾン全量の極大=春の中高緯度。
- ブリューワー・ドブソン循環:成層圏の平均循環(低緯度で上昇→冬半球側の中高緯度へ→下降)がオゾンを低緯度の生成域から高緯度へ輸送・蓄積する。だから分布は太陽放射の分布では説明できない。
- オゾンホール(56-10):南極の極渦が「強い」年ほど成層圏が低温→極成層圏雲(PSC)→塩素の活性化→発達しやすい。「極渦が弱い年に発達」は誤り。
考え方
「作られる場所・貯まる場所・熱くなる場所は全部別」がオゾンの核心。工場(低緯度上部成層圏)・倉庫(春の高緯度下部成層圏)・ストーブ(50km、少量でも紫外線をよく吸う)の比喩で3点を分離して覚える。61・64・65回の誤り選択肢はすべてこの3点の混同で作られている。
問われ方(過去問より)
- 61-1と65-1はほぼ同一論点セット(生成機構○+分布×2つ)。生成域と蓄積域のずれが核心
ひっかけ集
- 「太陽放射が強い所・季節=オゾンが多い」(61・65回)→BD循環で春の中高緯度に極大
- 「数密度は50km(加熱極大)で最大」(61・64回)→20〜25km。加熱の場所≠量の場所
弱点メモ
4-3. 中層大気(突然昇温・QBO・夏冬の風系・温度極値)★★★61-10 / 62-10 / 64-10 / 65-9 / 63-10関連
要点
- 風系:中高緯度の成層圏は冬=西風(極夜渦)、夏=東風。プラネタリー波は西風のときだけ上方伝播できる→夏は波が入れず等高度線は同心円状。
- 成層圏突然昇温:冬、対流圏からのプラネタリー波が伝播→西風減速・大規模下降流→断熱圧縮で数日で数十℃昇温。昇温は上層から始まり下方へ。
- 温度の極値(1月・夏冬対比):成層圏界面(約50km)は夏極で最高温(白夜の紫外線)/中間圏界面(80〜90km)は夏極で最低温(上昇流の断熱膨張)——上下で夏冬が逆転。熱帯圏界面は年中最低温クラス。
- QBO(準二年周期振動):赤道域下部成層圏の東西風が約2年(26カ月)周期で東風⇔西風を繰り返し、上層から下方へ伝播。
考え方
中層大気は「波と平均流の相互作用」の世界:波が入れる条件(冬の西風)→波が壊れて平均流を変える(突然昇温)→循環が温度を放射平衡からずらす(夏極の中間圏界面が最低温になるのは上昇流のせい)。「放射だけなら夏極は暖かいはず→実際に寒いのは力学(上昇流)のせい」という放射vs力学の綱引きで各極値の原因を説明できるようにしておくと、原因すり替え型(65-9)に強くなる。
問われ方(過去問より)
- 4回出題の隠れ頻出。突然昇温(62・64)/QBO・プラネタリー波の伝播条件(61)/気温の緯度高度分布の極値と原因(65-9)/夏極の成層圏界面=高温、中間圏界面=低温(61)
ひっかけ集
- 3点セット(東風/西風・圧縮/膨張・上層/下層)の一部反転(62・64回)
- 極値の原因のすり替え:「もっともらしい別の物理」を当てる(65回:潜熱・下降流・上昇流)
- 成層圏界面と中間圏界面で夏極の高温/低温が逆転する対比(61回)
弱点メモ
5. 気象現象 ★★ 16/150問
5-1. 温帯低気圧・大循環・ジェット気流★★62-8 / 63-8 / 65-8
要点
- 発達中の温帯低気圧の立体構造:気圧の谷の軸は上空ほど西に傾く。地上中心の東側(上空の谷の前面)に高温域+上昇流、西側(後面)に低温域+下降流。この配置が有効位置エネルギー→運動エネルギー変換=発達の条件。閉塞すると軸は直立し衰弱へ。
- 子午面3循環:ハドレー循環(直接循環、下降域は緯度20〜30度=亜熱帯高圧帯)/フェレル循環(間接循環:高温側で下降・低温側で上昇。実体は傾圧不安定波=水平スケール数千km)/極循環(直接)。赤道下層は東風(貿易風)。
| 亜熱帯ジェット | 寒帯前線ジェット | |
|---|---|---|
| 高度・緯度 | 200hPa付近・30度前後 | 300hPa付近・40〜60度 |
| 性質 | 定常的・明瞭 | 蛇行大・不明瞭(日々変動) |
| 季節 | 冬に強く低緯度へ、夏に弱く高緯度へ | 寒気の縁に沿い変動 |
考え方
低気圧の図選択は「①軸はどちらへ傾くか(西) ②暖気・上昇流はどちら側か(東=谷の前面)」の2チェックだけで5択が絞れる。「なぜ西傾か」は、上空の谷の前面(東)で発散→地上低気圧が発達、という上下の連携が必要だから。ジェット2種は「安定した貿易路(亜熱帯J)と暴れる前線(寒帯前線J)」の対比で、修飾語(明瞭/不明瞭・高度・季節移動)の反転が定番の作問法。
問われ方(過去問より)
- 65-8:立体構造の図選択(軸の西傾+東側の高温・上昇流)/63-8:ジェットの高度・季節・明瞭さ/62-8:ハドレー下降域・フェレル間接循環
ひっかけ集
- 軸の傾き(西/東)と前面/後面の配置替え(65回)
- 修飾語の反転:軸は500hPa(→200hPa)、冬は高緯度(→低緯度)、寒帯前線Jは明瞭(→不明瞭)(63回)
- ハドレー下降域40〜50度(→20〜30度)、傾圧不安定波1万km超(→数千km)(62回)
- ブロッキング高気圧(58-8):規模は東西数千km(数100〜1000kmは過小)。切離低気圧を低緯度側に伴う・北半球で発生しやすい・異常天候の原因、は正しい記述の定番
- 低気圧の発達に凝結熱は「不可欠」(56-8)→強化要因であって必要条件ではない。有効位置エネルギーは発達で「減少」(59-8)
弱点メモ
5-2. 積乱雲系(ガストフロント・竜巻・雷雨性高気圧)★★61-9 / 62-9 / 64-9
要点
- 積乱雲の基本数値:水平スケール数km〜十数km、寿命約1時間(単一セル)。
- 高度の使い分け:LCL(持ち上げ凝結高度)=雲底、凝結が始まる高度/LFC(自由対流高度)=浮力で自力上昇が始まる高度。条件付き不安定の大気では「LFCまで持ち上げてもらえるか」が積乱雲発生の鍵。
- ガストフロント:成熟期以降(下降流が強まってから)の冷気外出流の先端。積乱雲直下から数十km先まで達しうる。通過時:気温下降・気圧上昇(冷気ドーム=雷雨性高気圧)・風向急変・突風・湿度上昇。
- 竜巻:積乱雲に伴う激しい渦(積乱雲なしの晴天渦は塵旋風で別物)。スーパーセルではフックエコー付近で発生しやすい。移動距離が数十kmに達した事例もある。回転は反時計・時計とも存在するが、どちらでも中心気圧は周囲より低い。
考え方
LCL/LFCは「エレベーターの比喩」:LCLまでは湿るだけ、LFCからは自分で昇れる。ガストフロント通過時の変化は「冷たく重い空気の到来」から全て導ける(冷たい→気温↓、重い→気圧↑、密度流の先端→突風)。竜巻の「渦=低圧」は回転方向と無関係(遠心力と気圧傾度力のつり合いは向きを選ばない)——「時計回り=高気圧」の連想が罠。数値(スケール・距離)は過小化される傾向があるので、「積乱雲は意外とデカい・ガストは意外と遠くまで」と覚える。
問われ方(過去問より)
- 64-9:ガストフロント(発生時期・到達距離・通過時の変化)/62-9:LFC・冷気プール/61-9:竜巻(塵旋風との区別・フックエコー・回転方向)
ひっかけ集
- LCLとLFCのすり替え(62回):自力上昇はLFCから
- 数値の過小化:到達距離3km(→数十km)、水平1km未満(→数km〜十数km)
- 「気温も気圧も下降」(64回)→冷気ドームで気圧は上昇
- 「時計回りの竜巻もある」は正しいが「中心は高圧」に繋げる誤り(61回)→渦は回転方向によらず低圧
- ダウンバースト(57-10):発生は成熟期以降。雲底下が乾燥していると蒸発冷却で発生しやすい(「しにくい」が罠)。融解・蒸発の冷却=下降流の燃料
- マルチセル(56-9):組織化は鉛直シアーが「大きい」とき(小さい=単一セル)。孤立積乱雲の寿命30分〜1時間(10〜20分は過小)。外出流の持ち上げ→世代交代
弱点メモ
5-3. 台風・海陸風★★63-9 / 65-10
要点
- 台風の発生・構造:海面水温26〜27℃以上の海域で発生(海面からの潜熱供給がエネルギー源=暖気核)。中心へ向かう動径風(インフロー)は大気境界層内で最大、上層では外向き(アウトフロー)。中層の接線風は傾度風とみなせ、低気圧性なので地衡風より弱い(→3-1)。
- 海陸風:昼は陸が加熱→陸上の気圧が低下→海風。海風は内陸100kmに達することもある(海風前線)。上空には陸→海の反流があり、海風より層が厚く・風速は小さい。夜は逆向きの陸風(海風より弱く浅い)。
考え方
台風は「海からの潜熱を燃料に、境界層で吸い込み・上層で吐き出す熱機関」という一枚絵を持っておく:吸い込み(下層インフロー最大)・燃焼(壁雲の凝結)・排気(上層アウトフロー)。海陸風は「熱的低気圧の最小モデル」で、閉じた循環だから下層の流れと逆向きの帰り道(反流)が必ず上空にある——閉回路と考えれば反流の存在は暗記不要。定量的性質(厚い・弱い)だけ押さえる。
問われ方(過去問より)
- 63-9:SST26〜27℃・動径風・傾度風/65-10:海風時の気圧配置・到達100km・上空の反流
ひっかけ集
- 反流の性質の反転:「薄く」(→厚く)(65回)
- 傾度風論点の台風への埋め込み(63回)→3-1と共通
弱点メモ
5-4. 大気境界層(接地層・混合層)★60-10
要点
- 接地(境界)層:日中は超断熱(乾燥断熱減率より大きい減率)。風速は高度とともに対数的に増加。接地逆転層は夜間に形成され日の出前に最も厚い。
- 対流混合層:よく混ざるので混合比・温位はほぼ一様、風速もほぼ一様。ただし相対湿度は上ほど高い(気温が下がりe_sが減るため)。
考え方
「混ざる層では”保存量”(混合比・温位)が一様になる」が原理。相対湿度は保存量でないから一様にならない——保存量マトリクス(2-1)の応用で解ける。逆転層は「夜の間に地面が冷え続ける→朝が最も厚い」と時間積分で考える。
ひっかけ集
- 時間帯のすり替え:「逆転層は昼過ぎに現れ日の入りに最大」(60回)→夜間形成・日の出前最大
- 「混合比が一様なら相対湿度も一様」(60回)/接地層の減率を「乾燥断熱」に穏当化
弱点メモ
6. 気候の変動 ★★ 13/150問
6-1. 温室効果気体と温暖化プロセス★★★61-11 / 62-11 / 64-11 / 65-11
要点
- CO₂の基本数値:現在約420ppm(産業革命前280ppm)。人為排出のうち大気に残るのは約半分(≈46%、残りは海洋と陸域が吸収)。よく混合され南極でも増加する。
- 季節変動(北半球中緯度):春(4月頃)極大・初秋(9〜10月頃)極小。夏に植物の光合成が吸収するため。
- 温室効果の主役は水蒸気(自然由来で最大)。CO₂は人為起源で最重要。フロンは単位質量あたりの温室効果がCO₂より桁違いに大きい。メタンは永久凍土融解で放出→温暖化を加速。
- アルベド・火山:アルベド増加→吸収減→気温低下。大規模噴火で気温を下げるのは成層圏に達した硫酸エーロゾル(数年滞留)。対流圏の火山灰はすぐ除去される。
- 日本の観測事実:海面水温上昇は約1.3℃/100年(「2℃以上」は誤り)。大雨日数(日100mm以上)と無降水日(1mm未満)がともに有意に増加(降水の二極化)。海洋酸性化(pH低下)→CO₂吸収量は減少。
考え方
この分野の誤り選択肢は「数値の水準を盛る」(500ppm・90%・2℃)か「向き・時期を反転させる」(季節変動、アルベド)のどちらか。数値は420ppm・約半分・約1.3℃の3点セットをアンカーに。季節変動は「夏に植物が食べる→夏の終わりに最も減る」の因果で毎回導出する。「大雨も無降水日も増える」のように直感に反するが正しい選択肢が混ざるのがこの分野の特徴で、「極端化」というキーワードで整合的に理解しておく。
問われ方(過去問より)
- 4回出題。CO2残留率(61:90%×、65:5割○)/季節変動の極大極小(65)/日本の数値(64:420ppm・1.3℃/100年・大雨と無降水日とも増加)/アルベド・永久凍土・火山・フロン(62)
ひっかけ集
- 数値の桁・水準盛り:「500ppm」「2℃/100年」「90%蓄積」→420ppm・約1.3℃・約半分
- 季節変動の反転(65回):植物の光合成→春極大・初秋極小
- 「水蒸気の温室効果は小さい」(61回)→最大の温室効果気体
- 「火山灰が対流圏に2,3年」(62回)→成層圏の硫酸エーロゾル/アルベド増→気温は低下
- 逆パターン注意:「大雨も無降水日も増加」は直感に反するが正しい(64回)
弱点メモ
6-2. エルニーニョ・南方振動/南北熱輸送★★61-8 / 63-11 / 64-8
要点
- エルニーニョ時のワンセット:貿易風(東風)弱化→暖水が東へ広がる→対流域も東へ移動→西太平洋(インドネシア等)は降水減・中東部太平洋は降水増。海面気圧はダーウィン(西)高・タヒチ(東)低(南方振動、SOI負)。ラニーニャはすべて逆。
- 南北熱輸送:大気+海洋の全輸送は緯度35〜40度付近で最大。輸送量が極向きに減少する領域=収束=加熱(値の大小でなく傾きが効く)。海洋は暖流(低緯度→高緯度)と寒流(逆)の対で極向きに熱を運ぶ。
- 水収支の緯度分布:熱帯収束帯=降水>蒸発/亜熱帯高圧帯=蒸発>降水。亜熱帯の余剰水蒸気は貿易風でITCZへ、偏西風域で中高緯度へと両方向に輸送される。
考え方
エルニーニョは「貿易風のゆるみ」を起点に温水・対流・気圧の4点を芋づる式に導く:風が緩む→暖水が東へ→雨も東へ→西の気圧が上がる。個別暗記すると東西反転の罠(63-11)に落ちる。熱輸送のグラフ問題は「微分を見る」(傾き=収束・発散=加熱・冷却)が鉄則で、これは渦度・温度風と同じ「分布そのものではなく勾配が物理を決める」パターン。
問われ方(過去問より)
- 63-11:ダーウィン/タヒチの気圧・貿易風の強弱・西太平洋の降水/61-8・64-8:熱輸送の収束=加熱・海流の役割・蒸発と降水の緯度分布
ひっかけ集
- 南方振動の東西反転(63回):エルニーニョ時はダーウィン高・タヒチ低
- 「エルニーニョ=東風強化」(63回)→貿易風は弱まる/水温上昇域は「日付変更線付近〜南米沿岸」(インドネシア近海ではない:59回)
- 日本の天候(56回):エルニーニョ時は冷夏・暖冬。「西日本の夏は高温」等の逆向きに注意(ラニーニャ時が暑夏・寒冬傾向)
- 輸送量の「値」でなく「収束(傾き)」が加熱を決める(61回)/熱帯は降水>蒸発、亜熱帯は蒸発>降水(62・64回)
弱点メモ
7. 大気における放射 ★★ 10/150問
7-1. 太陽放射・散乱・長波放射・放射平衡★★★61-2 / 62-5 / 63-5 / 64-5 / 65-5
要点
| 現象 | 電磁波の波長 | 散乱体・吸収体とサイズ |
|---|---|---|
| 青空・夕焼け(レイリー散乱 ∝λ⁻⁴) | 可視 0.3〜0.8μm | 気体分子 10⁻⁴〜10⁻³μm(波長≫粒径) |
| 雲が白い(ミー散乱) | 可視 0.3〜0.8μm | 雲粒 1〜10μm(波長≈粒径) |
| 気象レーダー | 3〜10cm | 雨滴 1〜5mm |
- 太陽放射(≈6000K、ピーク0.5μm):可視域約47%と赤外域約44%が同程度、紫外約9%。0.3μm以下の紫外線はO₂・O₃が成層圏以上でほぼ全吸収。
- 吸収帯の帰属:O₃=紫外+9.6μm/H₂O=赤外の多数の帯(最大の吸収体)/CO₂=15μm・4.3μm。8〜12μmは「大気の窓」、可視域も窓。O₂は長波をほぼ吸収しない。
- 放射平衡:(1−A)S/4=σT⁴ → T∝(1−A)^(1/4)(地球は255K)。射出する長波=吸収した太陽放射(入射の約7割)と釣り合う。放射量はT⁴に敏感→低温の積乱雲頂は海面より射出が小さい。
- 日射の分布:夏至の頃の1日積算日射は白夜の極>赤道(南中高度は低くても24時間照射)。近日点は1月。南中時の水平面日射∝sin(太陽高度)。「◯%大きい」は必ず比−1で検算(57-6:sin60/sin30=1.74倍=74%大)。
- 温室効果の1層モデル(56-5):大気上端の収支から大気の上向き長波=地表が吸収する太陽放射。帰結は地表面温度=2^(1/4)×T₀(≈1.19倍)、大気の温度=T₀——2^(1/4)倍が付くのは地表の側。
- 長波の細部:水蒸気が多いほど下向き長波は「多い」(58-5)。雲の放射冷却抑制は雲底温度の高い下層雲ほど強い(58-5)。増加した熱の約9割は海洋に蓄積(57-11)。浮いている海氷の融解は海面水位をほとんど変えない(57-11・アルキメデスの原理)。
考え方
散乱は「波長と粒のサイズ比」だけで型が決まる(分子≪波長=レイリー、雲粒≈波長=ミー、雨滴≪レーダー波=だからこそ電波が返る)。対応表は桁(μm/mm/cm)ごと覚える。放射平衡はエネルギーの出入り1本の式から全部導けるので、AとくればすぐI(1−A)に読み替える癖をつける。日射は「強さ×時間」の積分で考える——「赤道が常に最大」という強さだけの直感が罠。
問われ方(過去問より)
- 毎回1問。散乱の対応表(65)/太陽放射の内訳と日射量(64)/長波放射の吸収体とT⁴(63)/吸収スペクトルの層判定(62)/放射平衡温度の式(61)
ひっかけ集
- 桁の混同(μm/mm/cm)を誘う対応表(65回)
- 直感に沿った誤り:「赤道はいつでも日射最大」→夏至の頃は白夜の極の方が多い、「夏=太陽が近い」→近日点は1月(64回)
- 「長波はCO2と酸素が吸収」(63回)→水蒸気とCO2/「射出長波=入射太陽放射」→反射30%を除いた吸収分と等しい
- Aと(1-A)、指数1/4と1/2、比の分子分母の入れ替え(61回)
弱点メモ
8. 降水過程 ★★ 9/150問
8-1. 暖かい雨と冷たい雨(凝結・併合・氷晶過程)★★★61-5 / 62-4 / 64-4 / 65-4
要点
- 雲粒の生成(ケーラー理論):曲率効果=小さい水滴ほど飽和水蒸気圧が高い(蒸発しやすい)/溶質効果(ラウール)=溶け込んだ物質は飽和水蒸気圧を低下させる→RH100%未満でも水滴が存在できる。海洋上はエーロゾルが少ない→雲粒は数が少なく大きい。
- 暖かい雨:凝結成長は半径が大きくなるほど遅い(√t)→雨滴サイズには併合過程が必須。併合の質量増加率=πR²W·n·m(掃過断面×落下速度)、dR/dt∝W∝R^(1/2)→大きくなるほど成長は加速。
- 冷たい雨(氷晶過程):0℃未満では氷面の飽和水蒸気圧<水面→過冷却水滴が蒸発し氷晶が昇華成長(ベルシェロン過程)。氷晶核は凝結核よりはるかに少ない。
- 雪片・融解:雪結晶の付着は0℃に近い(気温が高い)ほど起きやすい(ぼたん雪)。落下中の融解は湿度が低いほど起きにくい(昇華・蒸発の潜熱で冷却=湿球温度が0℃以下なら雪のまま)。
考え方
この分野は「大小・向きの反転」だけで誤り選択肢が作られる(5回中4回すべて):溶質効果の向き、氷面/水面の大小、成長の加速/減速、付着・融解と温湿度の関係。それぞれ理屈一本で復元できる——溶質は水面を「ふさいで」蒸発を妨げる→e_s低下。氷は水より分子を離しにくい→e_s低い。併合は断面積×落下速度で稼ぐ→大きいほど有利。乾燥空気中の雪は「自分の汗で冷える」→融けない。暗記でなく因果で持つことが反転ひっかけへの最強の防御。
問われ方(過去問より)
- ほぼ毎回1問。暖かい雨(65)/氷晶・雪片(64)/エーロゾルと氷晶核(62)/併合成長の式の導出(61)
ひっかけ集
- 「氷面に対する飽和水蒸気圧が水面より高い」の反転が62・64回で2度出題→正しくは低い(だから氷晶が成長)
- 効果の向きの反転:溶質効果で飽和水蒸気圧「増加」(65回)→低下/併合成長は大きいほど「遅く」(65回)→加速(61回で式から導出)
- 「気温が低いほど雪片が付着しやすい」(64回)→0℃付近ほど付着(ぼたん雪)/「湿度が低いほど融けやすい」→昇華冷却で融けにくい
- 断面積πR²と表面積4πR²の混同(61回)
- 凝結成長は「小さい水滴ほど速い」・併合成長は「大きいほど速い」の対比を同時に問う(56-4)。雨滴は直径約6mmで分裂するため「10mmの水滴」は存在しない(56-4)
- 雪結晶の形状(柱状/板状)を決めるのは主に「気温」(過飽和度は肉付き)(58-4)。あられ=衝突凍結(ライミング)であり昇華ではない(58-4)
弱点メモ
更新履歴:雛形作成→全項目執筆(61〜65回)→第56〜60回の分析を反映し全22項目に増補(計10回・150問)。63回問14の分析を訂正(警報通知の連鎖は原則努力義務)。次フェーズ:過去問演習→【弱点メモ】追記の反復。
気象予報士試験 学科専門 知識整理ノート
出典:第56回〜第65回(直近10回・150問)の過去問分析表(専門)。参照表記「64-2」=第64回問2。
★★★=10回中6回以上出題または再出題率の高い確定論点/★★=3〜5回/★=1〜2回。
使い方:①見出しだけ見て中身を口頭再現→開いて答え合わせ(想起テスト)。②直前期は★★★の項目と【ひっかけ集】だけを回す。③演習で間違えたら該当項目の【弱点メモ】に日付+原因を追記する。
出題傾向(150問の内訳)
| 章 | 問数 | 割合 | 傾向メモ |
|---|---|---|---|
| 1. 観測システム | 42 | 28% | 毎回3〜5問。レーダー・衛星画像・WP・ゾンデ・地上観測が柱。図の読み取り多い |
| 2. 数値予報 | 29 | 19% | 毎回2〜4問。アンサンブル(スプレッド)とガイダンスがほぼ毎回 |
| 3. 気象情報・警報 | 13 | 9% | 毎回1〜2問。指数・キキクル・発表基準の細部を問う |
| 4. 精度評価 | 9 | 6% | 10回中9回出題。計算必須。配点効率が最も高い章 |
| 5. 台風 | 11 | 7% | 毎回1問前後。構造・発達条件・観測からの経路判定 |
| 6. 総観気象・メソ気象 | 28 | 19% | 前線・ジェット・梅雨・冬の気象・積乱雲系の悪天を含む |
| 7. 短時間予報・ナウキャスト | 10 | 7% | 解析雨量〜降水短時間予報の仕様が繰り返し出る |
| 8. 長期予報・気候 | 8 | 5% | ほぼ毎回1問。テレコネクションの符号対応が核心 |
目次
- 観測システム ★★★(レーダー/二重偏波/WP/ゾンデ/地上観測/衛星画像)
- 数値予報 ★★★(データ同化/モデル構造/パラメタリゼーション/アンサンブル/ガイダンス)
- 気象情報・警報 ★★★(警報・注意報/特別警報/指数とキキクル/指定河川)
- 精度評価 ★★★(分割表/TS/ME・RMSE/ブライアスコア)
- 台風 ★★(構造/発生・発達/経路判定/高潮)
- 総観気象・メソ気象 ★★★(ジェット/温帯低気圧/寒冷低気圧/梅雨/冬型/積乱雲)
- 短時間予報・ナウキャスト ★★(解析雨量/降水短時間予報/各種ナウキャスト/積雪)
- 長期予報・気候 ★★(テレコネクション/エルニーニョ/予報資料)
第1章 観測システム ★★★ 42問/150
1-1 気象レーダーの原理と誤差要因★★★56-2/57-3/60-2/62-3/63-3
要点
- マイクロ波(波長3〜10cm)を発射。距離=往復時間、降水の強さ=反射波の強度、風(動径方向の動き)=周波数のずれ(ドップラー効果)。3つの対応を固定する。
- 誤差要因:①異常伝搬(沈降・夜間放射冷却・海陸風の温度移流→屈折率分布の異常で経路が曲がる)②グランドクラッタ(動かない→品質管理で除去可、ただし「完全に」は不可)・シークラッタ(強風時の波しぶき)・風車の多重散乱③減衰(強雨の後方は実際より弱く観測)④蒸発(エコーがあっても地上降水なし)。
- ブライトバンド=融解層の環状強エコー。融解中の雪片(みぞれ)は「雨滴より大きい+表面が液体」なので最も強く反射する。
考え方 電波は「水に当たると強く返り、水の中を通ると遅く・弱くなる」。反射は粒径が大きいほど・固体より液体で強い。この2原則からブライトバンド・減衰・二重偏波の話がすべて導ける。
問われ方
- 誤差要因4つの正誤セット(57-3は全正、62-3は全誤の対構成)
- ブライトバンドの物理と環状エコーの解釈(60-2)
- シークラッタ・二重偏波・異常伝搬・風車の4点セット(64-2)
ひっかけ集
- 「ドップラー効果で降水強度を観測」…強度は反射強度、ドップラーは風
- 減衰の向きを「遠方が強く観測される」に反転
- 「品質管理で完全に取り除ける」の過大表現
- ブライトバンドに「エンゼルエコー」(晴天エコーの名前)を当てる
- 「液体より固体の方がよく反射」の反転
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
1-2 二重偏波ドップラーレーダー(KDP・ZDR)★★★56-2/58-2/62-3/63-3/64-2
要点
- 水平偏波と垂直偏波の2つの振動面を持つ電波を送受信。
- 位相差(KDP)→雨の強さを従来より正確に推定。
- 反射波の振幅の比(ZDR)→降水粒子の形・種別(雨/雪/ひょう)を判別。
- 形状検出により昆虫・鳥などの晴天エコーを降水と区別して除去できる(64-2)。
- 前提知識:雨滴は大きいほど空気抵抗で扁平、氷粒子は扁平にならない。電波は雨粒の中で伝搬速度が少し遅くなる。
考え方 扁平な雨滴の中を水平偏波は「長い径」で通る→位相がより遅れる(KDP=強さの情報)、水平方向の反射がより強い(ZDR=形の情報)。「位相=強さ/振幅比=形」と唱えて固定する。
問われ方
- KDP/ZDRの役割分担の正誤(58-2全正・63-3全正・62-3は役割を交換した全誤)—3回連続で同じ一本槍
ひっかけ集
- KDPとZDRの役割交換(「振幅比から雨の強さ」)が定番中の定番
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
1-3 ウィンドプロファイラ★★★56-3/58-3/59-3/61-2/62-2/63-2
要点
- 真上+東西南北に10°傾けた5方向に電波を発射、大気の乱れによる散乱波の周波数のずれ(ドップラー効果)から風向・風速を測定(電波の「強度」ではない)。
- 仕様:高度300m毎・10分間隔。実況監視+数値予報の初期値作成にも利用。
- 晴天時:湿度の乱れが散乱源→湿った大気ほど散乱が強く観測高度は高い(乾燥だと低い)。
- 降雨時:雨粒の散乱が卓越→鉛直速度は雨滴の落下速度を捉える。
考え方 ドップラー速度→風向の復元:「遠ざかる=正」。北ビーム正+南ビーム負=北向きの流れ=南寄りの風。水平成分=ドップラー速度÷sin10°。必ず矢印を描いて確認する(頭の中だけだと180°逆になる)。
問われ方
- 仕様・原理の正誤(61-2/63-2)
- ドップラー速度からの風向風速計算(62-2)
- 時系列図から前線通過・台風経路を読む(59-3/58-3)。時間軸が右→左に流れる点に注意
ひっかけ集
- 「電波の強度で風を測定」/「ゾンデのようにセンサで直接観測」
- 仕様数値ずらし(500m毎・20分間隔)
- 乾湿と観測高度の関係の反転
- 温暖前線接近時、暖気(南風)の層は上空から現れて下に厚くなる—「地表から上へ」は誤り(59-3)
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
1-4 ラジオゾンデ・GPSゾンデ★★57-1/60-3/63-2
要点
- 気圧:GPS高度+気温・湿度+地上気圧から算出(気圧計を積まない)。
- 風:GPS位置の移動から算出(風向風速センサはない)。
- 昼間の気温は日射の影響を補正して発表する。
- 気温が基準値以下に低下すると湿度データは使われない(センサ精度低下)。
- 特異点=気温・湿度・風の鉛直分布の特徴を再現できるように選んだ観測点。
考え方 GPSゾンデは「位置さえ正確にわかれば、高度も風も計算できる」装置。測るのは気温・湿度+GPS位置だけ、残りは全部計算値と整理する。
問われ方
- 算出方法の正誤(60-3全正/63-2)
- 高度・日射補正・低温時湿度の3点(57-1)
ひっかけ集
- 高度を「ガス充填量から計算した上昇速度×時間」とする旧方式のすり替え
- 「日射の影響は補正されていない」の反転
- 「風向風速センサで直接観測」
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
1-5 地上気象観測(定義・統計・補正・通報)★★★56-1/58-1/59-1/62-1/63-1/64-1
要点
- 極値が同値で複数→「最も新しい」起日を採用。寒候年=前年8月〜当年7月(降雪・積雪の統計)。
- 冬日=日最低0℃未満/真冬日=日最高0℃未満(「以下」ではない)。
- 最大風速=10分平均の最大/最大瞬間風速=3秒平均の最大。10分平均は観測時刻の前10分間。静穏=0.5m/s未満(風力0=0.2m/s以下とは範囲が一致しない)。36方位:北=36、南=18。SYNOPはノット。
- 海面更正するのは気圧だけ。気温・風速は測定値のまま(59-1)。
- 大気現象:霧=視程1km未満/もや=1〜10km(ともに水滴)。煙霧=乾いた粒子。薄曇=全雲量9以上+上層雲が最多。地ふぶき=降雪なし(降雪ありは「ふぶき」)。過冷却雨滴の着氷=雨氷(凍雨は氷の粒として落下)。地中水分の氷析出=しもばしら(霜は水蒸気の昇華)。
- 降水量=水平面を覆う水の深さ(固形は融かす)。転倒ます雨量計=0.5mm毎。夏のひょうは「積雪」としない(56-1)。
考え方 この項目は暗記勝負。「未満か以下か・前か後か・新か旧か・乾か湿か」の4対だけを意識して条文的に読む。似た現象の対(ふぶき/地ふぶき、雨氷/凍雨、霜/霜柱、もや/煙霧)は表にして左右で覚える。
問われ方
- ほぼ毎回、問1で定義の細部の正誤4連(63-1は名称すり替え3連発、56-1は例外規定)
ひっかけ集
- 「0℃以下」「最初の起日」「10月〜9月」と定義の細部を微妙にずらす
- 類似現象の名称交換(凍雨⇔雨氷が最頻出)
- 「気温も海面高さに補正」「風速も10mに換算」の過剰適用
- 平均時間(前10分を前後5分に)・方位符号(北=00)のすり替え
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
1-6 湿度・日射などの測器と推計気象分布★★57-2/60-1/61-1/61-3
要点
- 全天日射量=水平面で受けた直達+散乱の合計。太陽光線に垂直な面=直達日射の定義。直達日射は薄明(太陽が地平線下)では観測されない。直達日射→大気混濁係数(エーロゾルの指標)。
- 湿度の測器と情報の質:露点計(露点→水蒸気圧eが直接出る)>通風乾湿計(湿度表で%)≒電気式湿度計(%)。比較問題は全部eに換算する(60-1)。
- 測器と対象:ブリューワー分光光度計=オゾン量/ドップラーレーダー=降水+降水域の風/ドップラーライダー(光)=晴天時の風・低層ウィンドシアー(61-3)。
- 推計気象分布:天気・気温・日照時間を1kmメッシュ・1時間毎。天気は衛星で晴曇判定+解析雨量で降水判定。気温は標高を考慮。観測所を含むメッシュでも観測値と一致するとは限らない(57-2)。
考え方 「湿りの指標はすべて水蒸気圧eに翻訳してから比べる」。RH70%でも気温が低ければeは小さい。レーダー=電波=降水時/ライダー=光=晴天時、と媒体で使い分けを覚える。
問われ方
- 3測器の測定値をe換算して大小比較(60-1計算)
- 測器と観測対象の組合せ(61-3)
- 推計気象分布の仕様正誤(57-2)
ひっかけ集
- 全天日射と直達日射の受感面(水平面⇔垂直面)の交換
- 「湿度%が一番高い地点が一番湿っている」という直感への誘導
- 「標高による気温差は考慮されていない」
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
1-7 衛星画像の解析(可視・赤外・水蒸気)★★★56-8/57-9/59-9/60-11/61-8/62-8/63-8/64-8
要点
- 可視=反射(厚い雲ほど白)/赤外=雲頂温度(高い雲ほど白)/水蒸気画像=6μm帯の水蒸気「吸収帯」(「大気の窓」は赤外)。明暗=対流圏上・中層の水蒸気量。
- 雲判別の基本形:霧・層雲=可視で明・赤外で暗/積乱雲=両方白く団塊状/巻雲=赤外で白・可視で薄い。
- 雲パターン:にんじん状雲(テーパリングクラウド)=発達した積乱雲/Ciストリーク=強風軸に平行/トランスバースライン=強風軸に直交・乱気流域/バルジ=低気圧の発達期(最盛期ではない)/筋状雲・クローズドセル=寒気の吹き出し/山岳波の縞状雲=安定な成層。
- 水蒸気画像:暗域=乾燥・沈降域(気温が高いわけではない—下層からの放射で輝度温度が高いだけ)。暗域と明域の境界(バウンダリー)=強風軸。暗化=下降流強化=トラフ深まり。ドライスロットの巻き込み=閉塞の進行。
- その他:夏の北太平洋〜オホーツク海の霧=移流霧(海霧)。渦がすべて台風とは限らない(上層渦・寒冷低気圧)。台風の発達度は眼の明瞭さで比較。
考え方 可視と赤外の明暗2×2マトリクスをまず描く。次に「パターン名→対応する場(強風軸/発達期/寒気吹き出し)」を1対1で暗唱。水蒸気画像は「雲ではなく湿りを見ている」と唱えて、暗域=晴れではなく乾燥、と変換する。
問われ方
- 毎回ほぼ1問。領域A〜Dと雲型・成因の対応付け(56-8/59-9/61-8/62-8/64-8)
- 低気圧の発達を時系列に並べ替え(58-11)
- 水蒸気画像の原理そのもの(60-11)
ひっかけ集
- 「大気の窓」と「吸収帯」の交換(60-11)
- 暗域=「温度が高く乾燥」(温度への飛躍)
- 「渦はいずれも台風」「上・中層雲のみ」の全称表現(64-8)
- バルジを「最盛期」、ストリークとトランスバースラインの平行/直交交換(61-8)
- 山岳波の条件を「不安定な成層」に反転(63-8)
- 地形性巻雲の発生源を中国山地程度の小山脈にする(59-9)
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
1-8 観測データから現象・位置を推定する★★56-3/58-3/59-2/59-10/64-3
要点
- メソサイクロン(反時計回りの渦)のドップラー速度:視線方向に直交して「接近(−)/離反(+)」の極値が並ぶ。レーダーが南西なら北西側=接近・南東側=離反(59-2)。
- 台風経路の判定:風向が時計回りに変化=経路の右側/反時計回り=左側。気圧最低=最接近。複数地点で同時に適用して経路を絞る(59-10地上版・58-3WP版)。
- ラジオゾンデ鉛直分布からの観測点判定:下層の沈降性逆転+圏界面が高い=太平洋高気圧圏内など、天気図と対応付ける(64-3)。
考え方 「観測は現象の言葉に翻訳できる」。渦・収束・前線通過・台風接近はそれぞれ固有の観測シグナルを残す。必ず紙に矢印を描く。頭の中の回転操作は180°間違える。
問われ方
- ドップラー速度分布の模式図選択(59-2)
- 4地点の時系列→経路図の選択(59-10/58-3)。1地点だけでは絞れない設計
ひっかけ集
- 時計回り/反時計回りの渦でパターン図が反転した選択肢
- 渦と収束(極値が視線方向に並ぶ)の混同
- WP時系列の時間軸が右→左である点の見落とし
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
第2章 数値予報 ★★★ 29問/150
2-1 客観解析・データ同化★★59-5/62-4/63-5
要点
- 客観解析=第一推定値(モデル予報値)を観測データで修正する処理。修正量は両者の誤差の大きさを考慮した重み付け。精度の高い観測でも「観測値そのもの」を解析値にはしない(63-5)。
- 品質管理:①長期モニタリングで低品質地点を不使用(ブラックリスト)②第一推定値との差が基準超の観測は不使用(グロスエラーチェック)。
- 全球解析=アンサンブル予報誤差を組み込んだハイブリッド4次元変分法。4次元は3次元よりモデル実行分だけ計算量大。解析毎にカットオフ時間(観測待ち時間)が異なる(59-5)。
- データ同化+予報の繰り返しにより、観測が疎な海上にも観測情報が伝播する(62-4)。
考え方 データ同化は「2つの不確かな情報(予報と観測)の加重平均」。どちらも誤差を持つ、が出発点。だから「観測をそのまま使う」は思想レベルで誤り。
問われ方
- 品質管理〜同化の運用正誤(63-5)
- ハイブリッド同化・カットオフの細部(59-5全正)
ひっかけ集
- 「ゾンデは精度が高いので観測値そのものを解析値にしている」
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
2-2 モデルの構造と離散化(静力学/非静力学・5〜8倍ルール・CFL)★★★56-5/58-4/60-5/61-4/62-4/63-4
要点
- 全球モデル(約13km)=静力学(プリミティブ)方程式系・水平離散化はスペクトル法(波の重ね合わせ)。鉛直流は連続の式から診断。
- メソ(5km)・局地(2km)=非静力学。鉛直流を鉛直方向の運動方程式で予報。積乱雲のような10km以下の現象には非静力学が必要(63-4)。
- 表現できる現象=格子間隔の5〜8倍以上。5kmモデル→25〜40km以上(局地的低気圧・組織化積乱雲群)。2kmモデルでも「数kmの個々の積乱雲」は表現不可(56-5)。
- 鉛直方向は変化が大きいので層間隔は水平格子間隔より小さい。時間ステップには上限(CFL条件)—超えると計算不安定。
- 全球モデルの改良→境界条件を通じてメソモデルの予測特性も変化する(61-4)。境界の影響は予報時間が長いほど大きくなる(59-6)。
考え方 数値には理由を付けて覚える:格子1個では波は描けない、最低5〜8個必要→5〜8倍ルール。静力学近似=鉛直加速度を無視→積乱雲(鉛直加速が本体)には使えない→非静力学が必要、と因果でつなぐ。
問われ方
- 穴埋め:小さくする/非静力学/5〜8/5km(58-4)
- 診断的・予報的、5〜8倍、CFLの正誤(60-5)
- モデルの連鎖(全球→メソ)(61-4)
ひっかけ集
- 「格子間隔と同程度の現象まで表現できる」
- 「積乱雲予測にはプリミティブ方程式系が必要」(用語の権威感で押す)
- 非静力学モデルなのに「鉛直流を診断的に計算」(62-4は静力学でこれが正文—主語で判定)
- 「鉛直層間隔は水平格子より大きく」「全球を改良してもメソの特性は変化しない」
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
2-3 パラメタリゼーション★★★56-5/58-5/60-4/62-5/64-4
要点
- 定義:格子スケールより小さい現象の効果を見積もって格子点の物理量に反映させること。モデル積分の中で毎ステップ計算(出力後の後処理ではない)(58-5)。
- 対象:積雲対流/境界層乱流(運動量・顕熱・潜熱輸送)/放射(雲の長波放射の加熱冷却)など。
- 非対象(力学過程で直接計算):コリオリ力による風の変化、格子スケールの上昇流による断熱変化(60-4)。
- 全球モデルの積雲パラメタは「格子平均への効果」の表現—個々の積雲の発達・衰弱は予測しない(64-4)。
- メソ(5km)・局地(2km)でも積雲対流パラメタを併用。境界層乱流はどのモデルでも必要(62-5:確率的物理過程強制法はモデルアンサンブルの一種)。
考え方 「解像できないが効果は無視できない」ものがパラメタ化の対象。判定基準は格子より小さいか?の一点。コリオリや大規模上昇流は格子で解像できるから対象外、と切る。
問われ方
- 対象/非対象の選別(60-4:A雲放射・C乱流輸送が対象)
- 定義と計算タイミング、モデル別使用状況の正誤(58-5/64-4)
ひっかけ集
- 「効果を取り込む=個々の積雲を予測」へのすり替え
- 「高解像度モデルではパラメタリゼーション不要」の単純化(局地モデルでも使う)
- 「格子点値が出力された後から反映」という手順の誤り
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
2-4 アンサンブル予報(スプレッドの解釈)★★★59-6/61-5/62-5/63-6/64-5/65回
要点
- 摂動の与え方:初期値+側面境界値(メソ)+モデル自体(確率的物理過程強制法、2023年3月導入)。
- スプレッド大=予報の不確実性大=信頼度低い。直近4回連続で反転ひっかけが出題された最頻出論点。
- アンサンブル平均:ランダム誤差は低減できるが系統誤差は除去できない。極値は平滑化→強雨・最大降水量の把握には不適(個々のメンバーやアンサンブル最大を併用)。要素間の物理的整合性は保障されない。
- 各メンバーの精度は統計的にはコントロールランより劣る(それでも平均や確率情報に価値がある)。
- メソアンサンブル:予測困難な局地現象の「発生を確率的に捉える」ために使う。
考え方 アンサンブルは「未来の散らばり具合を測る温度計」。散らばり(スプレッド)が大きい=大気がカオス的に敏感=当てにくい。平均は「ノイズは消すが偏りは消せない」—統計の基本と同じ。
問われ方
- スプレッドと信頼度の対応(61-5/62-5/64-5/65回—毎回どこかの選択肢に混入)
- 平均の性質(ランダム/系統誤差、物理整合性)(59-6/61-5/63-5)
- ガイダンスとの融合(63-6:平均は極値に不適・最大は捕捉率高い)
ひっかけ集
- 「スプレッド大=信頼度が高い」の反転(最重要)
- 「スプレッド大=気象要素の日々の変動が大きい予測」という対象のすり替え(62-5)
- 「平均すれば系統誤差も除去できる」
- 「アンサンブル平均ガイダンスは単独モデルより精度が低い」(実際は高い—63-6/61-6)
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
2-5 ガイダンス(手法と直せる誤差・直せない誤差)★★★57-5/58-6/59-4/60-7/61-6/62-6/63-6/64-6
要点
- 構造:説明変数=数値予報の結果/目的変数=実況。統計式で数値予報の誤差を補正。
- カルマンフィルタ=逐次学習。係数が時々刻々更新→同じ入力でも時点により出力が変わる(59-4)。モデル更新・季節による誤差特性の変化にも追随(64-6)。ただし発生頻度の低い現象(局地大雨)は確実には低減できない(60-7)。
- ニューラルネット=非線形OK・予測根拠の把握には不向き(60-7)。発雷確率=一括学習(頻度が低いため過去資料の回帰式)(57-5)。
- 直せる誤差=系統誤差:地形の差(風・降水)、海陸不一致、昼夜・予報時間で変化する偏り(層別化で対応)。
- 直せない誤差=位相(タイミング)誤差(前線通過のずれ等)・ランダム誤差(58-6/62-6)。
- 発雷確率ガイダンス=発雷の「有無の確率」。強度や発雷数は予想しない(64-6/57-5)。風ガイダンスは風向も風速も補正できる(58-6)。
考え方 ガイダンスは「答え合わせの履歴から偏りを引き算する」道具。いつも同じ方向に間違える(系統)なら直せる、間違え方が毎回違う(位相・ランダム)なら直せない。この1行で(a)系の正誤はほぼ判定できる。
問われ方
- KF/NNの性質(59-4/60-7)
- 直せる/直せないの判定(58-6/62-6/64-6)
- メソアンサンブルgaridance融合(63-6/61-6)
ひっかけ集
- 「タイミングのずれも正しく補正できる」(2回出題の定番)
- 「同じ入力値なら出力は常に同じ」(逐次学習の否定)
- 「発雷確率は発雷数の多寡/強度を予想」(対象のすり替え、2回)
- 「NNは予測根拠の把握に適している」
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
2-6 プロダクト利用上の留意点★★56-4/56-6/59-6
要点
- 格子点値=格子点付近の空間の代表値。地点のピンポイント値ではない(2回出題)。
- 出力される降水量=積算降水量(対象時刻の瞬間強度ではない)(56-6)。
- 地上の気温・風はモデル地形に対する値。実地形との標高差の分だけずれる(56-6)。
- 解析値の精度は観測密度により場所で異なる。予測誤差の成長は気象場に依存する。MEが0に近づいてもRMSEが減るとは限らない(バイアスと分散は別物)(56-4全誤)。
考え方 モデルの出力は「モデル世界の中の値」。実世界に持ち込むときは、①空間代表性②積算か瞬間か③モデル地形、の3つの変換を意識する。
問われ方
- 留意点3点セットの正誤(56-6/59-6)
- 誤差の性質の理論(56-4)
ひっかけ集
- 「格子点値は地点の値をピンポイントで表す」
- 「降水量=予想対象時刻の降水強度」
- 「解析値の精度は空間的に一様」「ME改善ならRMSEも必ず改善」
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
2-7 大気海洋結合モデル★57-6
要点
- 予報期間が1か月を超える予報で使用。エルニーニョ等、大気と海洋の相互作用を予測するため。
- 結合モデルでもアンサンブル予報の手法は用いる(単一初期値で十分、は誤り)。
- 予報領域は全球(北極域・南極域も含む)。
ひっかけ集
- 「相互作用を取り込むのでアンサンブルは不要」/「計算量節約で極域は除外」という創作
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
第3章 気象情報・警報 ★★★ 13問/150
3-1 警報・注意報・早期注意情報の体系★★57-11/58-13/61-12
要点
- 警報=重大な災害が「予想される」ときに発表(観測されたときではない)。
- 翌日明け方に警報級が予想される場合:夕方時点で「明け方までに警報に切り替える可能性が高い」ことに言及した注意報を発表(2回出題)。
- 早期注意情報(警報級の可能性):「高」=警報級の可能性が高い/「中」=警報級の可能性が一定程度ある(「中」を注意報級と読み替えるのは誤り)。
- 雨がやんでも大雨警報は土壌雨量指数が高い間は継続、洪水警報も河川水位が高ければ継続(58-13)。
考え方 警報系は「予想ベースで出し、危険度ベースで解除する」。発表の契機と解除の条件が非対称であることを掴むと(a)系の反転に強くなる。
問われ方
- 発表契機(予想/観測)・切替言及注意報・高中の定義(57-11)
- 解除のタイミング(58-13)
ひっかけ集
- 「警報は現象が実際に観測されたときに発表」
- 「『中』=注意報級の可能性が高い」への格下げ
- 「雨がやんだら速やかに解除」
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
3-2 特別警報の指標と暫定基準運用★★60-12/61-12/61-13
要点
- 台風等:中心気圧930hPa以下または最大風速50m/s以上—ただし沖縄・奄美・小笠原は910hPa/60m/s。「全国一律」は誤り(61-12)。
- 大雪:50年に一度の「積雪深」+その後も降雪が続く見込み(「24時間降雪量のみ」「積雪深は考慮しない」は誤り)(60-12)。
- 大雨(土砂災害):土壌雨量指数基準以上の1km格子が「概ね10格子以上」まとまって出現(1格子ではない)(63-14)。
- 暫定基準:地震による堤防損壊・火山灰の堆積などで災害耐性が落ちた場合、警報・洪水予報の基準を暫定的に引き下げて運用(60-12/61-13/56-13)。
考え方 特別警報の数字は「地域の災害耐性」で変わる。台風常襲地(沖縄)は基準が厳しく、地震後は基準が緩む(引き下げ)。「基準は状況で動く」という発想で覚える。
問われ方
- 台風指標の地域差(61-12)
- 大雪指標のすり替え(60-12)
- 暫定運用の正誤(3回—いずれも正文で使われている)
ひっかけ集
- 「指標(発表条件)は全国一律」
- 大雪の指標を「24時間降雪量」に差し替え、大雨(土砂)を「1格子以上」に緩和
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
3-3 雨量指数3兄弟(土壌・表面・流域)とキキクル★★★57-14/58-14/59-13/62-13
要点
- 土壌雨量指数:タンクモデル。ゆっくり増えゆっくり減る(残効あり)。同一地点の時間比較は有効だが異なる地点間の値の大小比較は不可(基準は地点毎の過去データ)。
- 表面雨量指数:雨に即応する鋭いピーク。地形勾配が大きいほど値は小さい(流れやすく溜まりにくい)(62-13)。
- 流域雨量指数:タンクモデル(流出)+運動方程式(流下)。下流地点は流下時間の分だけ遅れてピーク。上流の雨で下流の洪水リスクを表す。洪水警報の基準に雨量は使われていない(指数ベース)(57-14)。
- キキクル(危険度分布):指数+過去災害に基づく基準で5段階。紫=「危険」=警戒レベル4相当。判定には指数の予測値も使用(1〜3時間先)—「実況値のみ」は誤り(59-13)。洪水キキクルは指定河川洪水予報の発表状況も併せて表示。
考え方 3指数は「応答速度」で区別:表面=速い/土壌=遅い/流域=遅れる。波形を見たらピークの鋭さと遅れだけで判別できる(58-14)。
問われ方
- 3指数の性質の正誤(62-13)
- 時系列波形の対応付け(58-14)
- キキクルの定義・レベル対応・予測値使用(59-13)
- 流域雨量指数の総合(57-14全正)
ひっかけ集
- 「勾配が大きいほど表面雨量指数は大きい」の反転
- 「値が大きい地点の方がどこでも危険」(地点間比較の禁止破り)
- 「確実に把握するため実況値のみを用いる」というもっともらしい理由付け
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
3-4 指定河川洪水予報と洪水警報★★56-13/58-13/61-12
要点
- 指定河川洪水予報=国土交通大臣または都道府県知事が管理する河川について、気象庁と共同で発表(「大臣管理の河川のみ」は誤り)(56-13)。
- 指定河川も気象庁の洪水警報・注意報の対象に含まれる(58-13の反転に注意)。洪水警報の基準の一つに「指定河川洪水予報による基準」(氾濫警戒情報以上相当)がある(61-12)。
- 大河川の水位上昇で支流・周辺の排水が困難になる内水氾濫(湛水型)も洪水警報の対象(61-13)。
- 地震等で堤防が損壊した場合は発表基準を暫定的に引き下げ(56-13)。
考え方 「指定河川=別枠だから洪水警報の対象外」と考えたくなるのが罠。制度は2階建てで重なっている(市町村単位の洪水警報+河川単位の洪水予報)。
問われ方
- 管理主体・共同発表・対象の包含関係(56-13/58-13)
ひっかけ集
- 「国土交通大臣が管理する河川であり…」の主体の過剰限定
- 「指定河川は洪水警報・注意報の対象に含まれない」
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
3-5 大雨の情報(記録的短時間大雨情報・顕著な大雨に関する気象情報)★★58-13/62-7/63-14
要点
- 記録的短時間大雨情報:その地域で数年に一度の記録的な短時間の大雨を、大雨警報発表中に、観測(雨量計)または解析(解析雨量)したときに発表。「予測されたとき」ではない(63-14)。解析雨量に基づいても発表される(62-7)。
- 顕著な大雨に関する気象情報:線状降水帯による非常に激しい雨が続く状況を「線状降水帯」というキーワードで解説。警戒レベル4相当以上の状況で発表(63-14)。
考え方 大雨情報は「実況ベースか予測ベースか」で仕分けるのが軸。記録的短時間大雨情報=実況。この軸は警報(予想ベース)との対比で覚えると強い。
問われ方
- 発表契機(観測/予測)・頻度(数年/数十年)・レベル相当(58-13/63-14)
ひっかけ集
- 「数十年に一度」への頻度の盛り(それは特別警報の水準)
- 「記録的な大雨が予測されたときに発表」
- 「解析雨量に基づいて発表されることはない」
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
3-6 気温・暑さ・農業気象の情報★★62-14/64-13
要点
- 熱中症警戒アラート:環境省+気象庁。前日17時・当日5時。基準は暑さ指数(WBGT)33(一部地域除く)—「最高気温35℃」ではない(64-13)。
- 2週間気温予報:8〜14日先について「その日を中心とする5日間平均気温」の階級を毎日発表(「日毎の日平均気温」ではない)。
- 高温に関する早期天候情報:10年に一度程度の著しい高温の可能性が高まったとき、6日前までに発表。5日間平均気温ベース(64-13)。
- 週間天気予報の最高・最低気温の予測範囲:実況が入る確率約80%(64-13)。
- 降ひょうのおそれ→雷注意報で呼びかけ(大雨注意報ではない)。低温注意報の基準は気温(日照時間は含まない)。霜注意報は実施期間を決めて運用、隣接府県予報区で開始・終了日が異なることがある(62-14)。
考え方 アラート類は「誰が・いつ・何の指標で」の3点セットで1情報1行に圧縮して覚える。ひょう=積乱雲の現象→雷注意報、と成因で結ぶと迷わない。
問われ方
- 4情報の仕様一括正誤(64-13)
- 農業気象系注意報の運用(62-14)
ひっかけ集
- アラート基準を「最高気温35℃」にすり替え
- 2週間気温予報を「日毎」に細分化
- ひょう→「大雨注意報」、低温注意報に「日照時間」を混入
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
第4章 精度評価 ★★★ 9問/150(10回中9回出題)
4-1 分割表と適中率・空振り率・見逃し率★★★57-13/59-14/63-13/64-12
要点
- 分割表4マス:適中(あり/あり)・空振り(予報あり/実況なし)・見逃し(予報なし/実況あり)・的中なし(なし/なし)。
- 適中率=(適中+的中なし)/全予報数。「降水あり予報の適中率」なら分母は「あり予報数」に変わる(57-13で計算し分け)。
- 空振り率・見逃し率の分母は問題の指定に従う—近年は「全予報数に対する割合とする」と明示される(64-12/59-14ほか)。読み落とすと全滅。
考え方 解法手順を固定:①4マスの分割表を必ず書く→②問われている指標の定義式を書く→③分母の指定を確認→④計算。散布図・グラフ形式でも、閾値で〇×に変換して同じ表に落とす(64-12)。
問われ方
- 分割表そのもの(57-13/59-14/63-13)
- グラフ+判定基準変更の影響(64-12)
- 「雷なし」の適中が数字を膨らませるカラクリ(63-13:適中率0.80 vs TS0.25)
ひっかけ集
- 分母のすり替え(全予報数か・あり予報数か)
- 「見逃し率を下げるには基準を高く」の反転(基準を下げれば見逃しは減る)(64-12)
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
4-2 スレットスコア★★★57-13/59-14/63-13/64-12
要点
- TS=適中/(適中+空振り+見逃し)。「的中なし」を除外するので、発生頻度の低い現象(雷・大雨)の評価に適する。
- 適中率は「なし/なし」で稼げてしまう→稀な現象では適中率よりTS(63-13の結論)。
考え方 TSは「現象に関わった予報だけの打率」。分母から平穏な日を捨てる、と覚える。「両区でTSが同じ」という差がない結論を計算で確認させる問題が2回(59-14/57-13)—計算を最後までやり切る胆力も試されている。
問われ方
- TSの計算と大小比較(ほぼ毎回)
- 判定基準変更でTSがどう動くか(64-12:0.5→0.625で「0.125高くなる」)
ひっかけ集
- TSの増減の向きを反転させた選択肢(64-12)
- 微妙に違う分割表を2つ並べ「同じ」が正解になる構成(暗算を誘って誤らせる)
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
4-3 ME・RMSE(表形式と散布図形式)★★★56-4/56-14/60-14/62-12
要点
- ME=Σ(予報−実況)/n:系統的な偏り(符号が意味を持つ)。RMSE=√(Σ誤差²/n):誤差の標準的な大きさ(外れ値に敏感)。
- 散布図での読み方:対角線より上=予報が高い(ME正)。対角線への密集度=RMSE小。
- 冬日・真夏日などの見逃し/空振りは、散布図を0℃(30℃)の縦横線で4象限に切って点を数える。
- MEが0に近づいてもRMSEが必ず減るわけではない(偏りと散らばりは独立)(56-4)。
考え方 ME=的の中心からのずれ、RMSE=弾のばらつき、と射撃のアナロジーで覚える。中心を直しても(ME→0)ばらつきは残る。56-14と60-14はほぼ同一問題の散布図版/表版—この論点は形を変えて必ず再来する。
問われ方
- 7日分の表から手計算(60-14)
- 散布図から目視判定(56-14/62-12)
ひっかけ集
- RMSEの大小と見逃し率・空振り率の大小を1問に混ぜ、どれか1つの計算ミスで誤答になる構成
- 「ME改善=RMSE改善」の論理飛躍
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
4-4 ブライアスコアと指標の選択★★59-14/61-14/63-13
要点
- ブライアスコア=Σ(確率−実況0/1)²/n。確率予報の評価指標で小さいほど良い(TS・適中率と向きが逆)。
- 利用者ニーズ→指標の対応:気温の予報精度→RMSE(偏りはME)/現象の有無→スレットスコア/確率予報→ブライアスコア(61-14)。
- 「発生頻度が低い現象」の評価は適中率でなくTS(63-13)。
考え方 指標選択は「予報の形式(値・カテゴリー・確率)に対応する物差しを選ぶ」だけ。最後にブライアスコアだけ「小さいほど良い」と向きを確認する—61-14はここだけで勝負が決まった。
問われ方
- 検証結果の表から契約すべき会社を選ぶ実務型(61-14)
- BSの計算(59-14:両区同値0.21)
ひっかけ集
- BSを「大きいほど良い」と思い込ませる選択肢配置
- ME=−0.1と+0.1のような「絶対値が同じ」ペアで偏りの優劣を誤認させる
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
第5章 台風 ★★ 11問/150
5-1 構造(暖気核・眼・壁雲・風の分布)★★★56-11/58-12/60-10/64-10
要点
- 中心付近は地表〜対流圏界面まで全層で周囲より高温(暖気核)=中心気圧の低さに対応。
- 眼=弱い下降流・断熱昇温で高温・低湿。壁雲付近で風速最大。
- 風の鉛直分布:接線成分の最大=境界層上端付近(下層)—圏界面付近ではない(64-10/60-10)。動径成分(吹き込み)=境界層内で最大。上層の吹き出しは中心から離れると時計回り(高気圧性)(60-10)。
- 台風の強さの分類=最大風速(中心気圧ではない)(60-10)。海上の強度解析=衛星画像の雲パターンから推定(ドボラック法)(58-12)。
考え方 台風は「下で吸い込み、上で吐き出す」熱機関。吸い込み(動径流)は摩擦のある境界層でしか起きない→動径最大は境界層内、と物理で導く。吐き出した空気は角運動量を失い外側で時計回りに。
問われ方
- 構造の正誤4点セット(58-12全正/60-10は3つ誤り)
- 接線/動径の最大高度(2回)
ひっかけ集
- 「接線風速の最大は圏界面付近」(アウトフローとの混同)
- 「上層で中心から離れたところは反時計回り」
- 「強さは中心気圧で分類」「900hPa未満=猛烈な台風」
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
5-2 発生・発達の条件★★★56-11/57-10/61-10/63-10
要点
- 発生条件:海面水温26〜27℃以上+コリオリ力(緯度5°以遠)。赤道付近(北緯5°以南)では発生しない(57-10)。
- 鉛直シアーが弱いことが発達の条件。「シアーが強いほど発達」は誤り(61-10/57-10で2回)—積乱雲単体の維持(シアー必要)との混同を誘う。
- エネルギー源=水蒸気の凝結潜熱(温帯低気圧=有効位置エネルギーとの対比)(56-11)。
- 海洋との相互作用:薄い暖水層だと強風による混合・湧昇で海面水温低下→発達抑制(63-10)。ゆっくり移動するほど水温低下大(56-11)。眼の形成期から中心気圧が急低下(57-10)。中緯度の傾圧帯に入ると軸対称構造は維持できない(63-10)。
考え方 台風は「暖かい海+回転+静かな上空」の3条件。シアーは煙突を折る風、と比喩で覚える(積乱雲群の組織化にはシアーが要る—第6章6-7との対比を意識)。
問われ方
- 発生条件の正誤(57-10)
- シアーの向き(2回)
- 海洋貯熱・暖水層(2回—近年頻出)
ひっかけ集
- 「赤道付近は水温が高いので発生数が多い」
- 「積乱雲の維持にシアーが必要→シアーが強いほど台風発達」という正しい前提+誤った結論
- 「熱と水蒸気があれば中緯度でも軸対称のまま発達」
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
5-3 進路・温帯低気圧化と観測からの経路判定★★58-3/59-10/62-11/64-10/64-14
要点
- 低緯度では太平洋高気圧南側の偏東風に流され西進。大規模な流れがなければβ効果で北西進(「南下」は誤り)(64-10)。
- 境界層内の風は摩擦が効くため傾度風では近似できない(傾度風は自由大気)(62-11)。
- 速く移動する台風:進行方向右側で風が強い(移動速度が加算)。
- 風向が時計回りに変化=その地点は経路の右側(62-11で知識として、59-10/58-3で実データ適用)。
- 温帯低気圧化:強風域が拡大し、中心から離れた場所で最大風速が現れることがある(2回とも正文)。台風になる前の熱帯低気圧の進路予報は精度が低く予報円大(61-10)。
考え方 経路判定は「反時計回りの風の場を地図に描き、台風を通過させて風向の変化を追う」。時計回り変化=右側、は導出できるが、本番では公式として即出しする。
問われ方
- 4地点の気圧・風向時系列→経路5択(59-10)
- WP時系列版(58-3)
- 知識としての右側/左側(62-11)
ひっかけ集
- β効果の向きを「南下」に反転
- 「境界層内の風は傾度風で近似できる」
- 時計回り変化=左側への反転
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
5-4 高潮・波浪と台風災害★★59-12/62-11/64-14
要点
- 潮位上昇の3要素:吸い上げ(気圧低下、1hPa≒1cm)+吹き寄せ(向岸風、風速の2乗に比例)+波浪効果(砕波によるウェーブセットアップ)(59-12)。
- 顕著な高潮では「吹き寄せ」の寄与が「吸い上げ」より大きい(62-11の反転に注意)。
- 高潮警報・注意報の基準は「潮位」そのもの(天文潮位からの偏差ではない)(64-14)。高潮が河川を遡上すれば海岸から離れた地域にも高潮警報(59-12)。
- うねり:はるか南の台風からも伝わり、水深の浅い海岸付近で急激に高波化(土用波)(59-12)。
- 塩害:降水量が少ないほど深刻(雨が塩分を洗い流すため)(64-14)。
考え方 高潮の主役は風(吹き寄せ)。「気圧で吸い上げ」の方が語感が強く主役に見えるのが罠。V²に比例する項が効く、と物理で納得しておく。
問われ方
- 3要素の正誤(59-12全正)
- 吹き寄せ/吸い上げの寄与の大小(62-11)
- 警報基準・塩害(64-14)
ひっかけ集
- 「吸い上げの方が寄与大」への反転
- 高潮警報の基準を「天文潮位からの偏差」にすり替え
- 「降水量が多いほど塩害も大きい」の逆転
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
第6章 総観気象・メソ気象 ★★★ 28問/150
6-1 ジェット気流★★56-7/64-9
要点
- 寒帯前線ジェット=高緯度側・風速極大の高度が低い(300hPa付近)・冬に最強。亜熱帯ジェット=200hPa付近。
- 加速域(下流ほど風速大)では等高度線を高度の高い側から低い側へ横切る(非地衡風成分が気圧傾度方向に生じ、気圧傾度力が仕事をして加速)。減速域では逆(56-7/64-9で2回とも正文)。
- 蛇行が大きくなると低緯度側に切離した上層の寒冷低気圧が形成される(64-9)。
考え方 加速には推進力が要る→気圧傾度力に押される向き=高い方から低い方へ横切る、とエネルギー収支で導く。この(b)は誤りに見える正文の代表格—消去法を狂わせる。
問われ方
- 2ジェットの高度・季節+非地衡風の横切り(56-7は表現曖昧で複数正解に)
ひっかけ集
- 横切る向きの反転
- 寒帯前線/亜熱帯ジェットの高度の入れ替え
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
6-2 温帯低気圧と前線★★★58-11/59-8/61-9/62-9
要点
- エネルギー源=南北温度差に伴う有効位置エネルギー。潜熱の補給は「不可欠」ではない(促進要因)(61-9)。前面で暖気上昇・後面で寒気下降→運動エネルギーへ変換。
- 層厚(2等圧面の間隔)は暖かい側=低気圧の東側で大きい(61-9)。後面の寒気流入→層厚減少→500hPa高度下降+地上気圧上昇(59-8)。
- 地上の前線=遷移層(前線帯)の暖気側の境界(「寒気側」は誤り)(62-9)。寒冷前線の降水域は温暖前線より幅が狭い(62-9)。
- 寒冷前線通過:風向は時計回りに変化(南寄り→西寄り)・気温露点低下。暖域内の積乱雲列(スコールライン)通過でも似た変化(59-8)。
- ドライスロット=乾燥空気の貫入による水蒸気画像の暗域(「暖気の流れ込み」は誤り)(62-9)。閉塞開始≒最盛期(中心気圧最低)—ただし表現の曖昧さで複数正解になった実績(59-8)。
考え方 温帯低気圧は「南北温度差を運動に変える機械」。台風(潜熱)との駆動源対比が最頻出。層厚=気柱の温度計、を掴むと(c)系(高度下降+地上昇圧の同時進行)が自明になる。
問われ方
- エネルギー・構造の正誤(61-9/59-8)
- 前線の描画位置・降水域の幅・ドライスロット(62-9全誤系)
- 水蒸気画像の時系列並べ替え(58-11)
ひっかけ集
- 「潜熱の補給が不可欠」(台風との混同)
- 前線位置を「寒気側の境界」に、降水域の幅を「広い」に反転
- ドライスロットを「暖気の流れ込み」と説明
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
6-3 寒冷低気圧(切離低気圧)★★57-7/61-9(c)/64-8(c)
要点
- 形成:偏西風の大きな蛇行から切離(「東西流のとき」は誤り)。
- 寒気核は対流圏の中・上層で顕著(下層ではない)。中心軸はほぼ鉛直(西に傾くのは発達中の温帯低気圧)。
- 動きが遅く、大気の不安定は数日続く(「半日で解消」は誤り)。圏界面は漏斗状に低下。
- 東〜南東側で下層暖湿気が流入すると対流雲が組織化(雷・ひょう)。衛星では東側に対流雲が湧く(64-8:「上・中層雲のみ」は誤り)。
考え方 57-7は「すべて誤り」—発達中の温帯低気圧の性質(軸が傾く・足が速い)を寒冷低気圧に移植する構成だった。「切離した独楽はまっすぐ立ってゆっくり回る」のイメージで4点(形成・寒気核・軸・速度)を一括記憶。
問われ方
- 4性質の正誤(57-7全誤)
- ジェットの蛇行との関係(64-9/61-9)
ひっかけ集
- 「東西方向に流れているときに形成」「寒気核は下層で顕著」「軸は西に傾く」「半日程度で解消」の4点セット反転
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
6-4 梅雨期の気象★★56-10/57-4/63-9
要点
- 水蒸気輸送:太平洋高気圧の縁に沿う南よりの気流+チベット高原の南縁を通る西よりの気流(2回とも正文)。
- 梅雨前線は等相当温位線の集中帯の南縁に解析。集中豪雨時は下層ジェット。
- 前線上の低気圧(数百km):浅く、上層(500hPa)では不明瞭。「上層ほど強い」は誤り(3回出題の確定論点)。
- 西日本以西=水蒸気(相当温位)傾度が主体/東日本以東=温度傾度が主体。「西の方が温度傾度大」は誤り(56-10)。西は降水量が多い。
考え方 梅雨前線は「西は湿りの前線、東は温度の前線」。前線上の低気圧は水蒸気の凝結で駆動される浅い渦—温帯低気圧のミニチュアではない、が3回分の出題を貫く軸。
問われ方
- 梅雨像の総合正誤(56-10は(a)のみ正)
- スケールの文脈で前線上低気圧(57-4)
- 梅雨+下層ジェット+メソ低気圧(63-9)
ひっかけ集
- 前線上の低気圧を「上層ほど強い循環」「500hPaでも明瞭」とする(最頻出)
- 西/東の前線の性格(水蒸気/温度)の交換
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
6-5 日本付近の高気圧★★★58-8/60-8/62-10(a)/56-10(c)
要点
- シベリア高気圧=背の低い高気圧(寒気は下層のみ)。3回出題の確定論点(58-8/60-10/62-10)。
- 太平洋高気圧:ハドレー循環の下降域・下層は発散。水平スケールは数千km〜1万km(「3000km=総観規模」は過小)。圏内は沈降で上層ほど乾燥(「全高度で湿潤」は誤り)(60-8)。
- チベット高気圧(200hPa)と太平洋高気圧が重なる=背の高い高気圧→晴天・猛暑(「雷雨が多い」は誤り)(60-8)。成因は高原の加熱(58-15)。
- 移動性高気圧:中心の西側は次の低気圧接近で上・中層雲が広がる(58-8)。
- オホーツク海高気圧:下層は低温湿潤(背が低い)。上空にはブロッキング高気圧を伴うことが多く、その中心付近は周辺より高温(暖気核)(58-8/56-10)。
考え方 高気圧は「寒冷型=背が低い/温暖型=背が高い」の2分類が背骨。寒気は重く薄く広がる→背が低い。この1原理でシベリア・オホーツク海(下層)・ブロッキング(上空・暖)の3つを同時に説明できる。
問われ方
- 4高気圧の性質の正誤(58-8/60-8)
- 冬の気象・梅雨の文脈で単発選択肢として混入(62-10/56-10)
ひっかけ集
- 「シベリア高気圧=寒冷な空気で満たされた背の高い高気圧」(最頻出)
- 太平洋高気圧のスケール過小・湿度分布の反転
- 「二段重ね高気圧=不安定で雷雨」という誤解
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
6-6 冬の気象(JPCZ・筋状雲・降雪・冬の災害)★★★57-8/60-9/60-13/62-10
要点
- JPCZ(日本海寒帯気団収束帯):長さ1000km程度。朝鮮半島北の山岳(白頭山)で季節風が二分され風下で合流+気団変質の非一様性で形成。850hPaでは収束帯に沿って周囲より高温(「低温」は誤り)。大雪は北陸〜東北だけでなく山陰など近畿以西でも発生(60-9)。
- 筋状の対流雲:雲頂は2〜3km程度で対流圏界面には達しない(2回)。離岸距離は下層気温が低いほど短い(2回—不安定化が早い)。
- 山雪型=等圧線が南北の縦縞(日本海側山沿いに大雪)/里雪型=上空寒気・等圧線間隔が広い(60-13は山雪型が正文)。
- 雨雪判別:気温+湿度。気温が同じなら湿度が低いほど雪(蒸発冷却=湿球温度で判断)(57-8)。降雪短時間予報の雨雪判別も地上気温・湿度主体(63-7)。
- 冬の災害:着雪害は温帯低気圧の降雪で豪雪地帯以外でも発生。全層なだれ=春先の融雪期/表層なだれ=厳冬期。日本海側の雷日数は冬の方が多い(冬季雷)(60-13)。
考え方 冬型は「冷たく乾いた空気が暖かい海で下から焙られる」構図。海からの加熱で対流→ただし薄い(2〜3km)。下層気温が低いほど焙りの温度差が大きい→早く雲が立つ→離岸距離短い、と温度差で全部つながる。
問われ方
- JPCZの形成・地理(60-9)
- 筋状雲2点+山雪+雨雪判別(57-8:62-10の(c)(d)を丸ごと再利用)
- 冬の災害3点(60-13)
ひっかけ集
- 「筋状雲の雲頂が圏界面に達する」(使い回しの定番)
- 「JPCZ沿いは低温」「近畿以西ではほとんど見られない」
- 全層/表層なだれの季節交換、「雷=夏」の直感
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
6-7 積乱雲の一生とメソ悪天(ガスト・ダウンバースト・竜巻)★★★58-9/58-10/63-11/64-11
要点
- 成長期:雲内はほぼ上昇流・周囲より高温(2回とも正文)。成熟期:下降流が併存、地表に冷気プール+メソハイ(局所高気圧)→ガストフロント(通過時:気温下降・気圧上昇・湿度上昇)。
- 日本の夏の積乱雲は氷晶過程が関与—「暖かい雨」は誤り(2回出題)。かなとこ巻雲は主に風下側に広がる(58-9)。
- マルチセル・スーパーセルの維持には環境場の鉛直シアーが重要(64-11)—台風の発達条件(シアー弱)との対比。
- ダウンバースト:雲底下が乾燥なほど蒸発冷却が強く発生しやすい。広がりは数百m〜10km(数十mは過小)。被害は発散状・円形/楕円形。評定はJEFスケール(63-11)。
- 竜巻:被害は収束・回転状。「ゴーという音」「耳の異常(気圧低下)」。じん旋風=晴天・積乱雲なしの渦で別物(58-10)。
考え方 突風の現地調査は「痕跡の幾何学」:収束+回転=竜巻/発散=ダウンバースト。体感情報も「気圧の急低下=竜巻/気温の急低下=ダウンバースト」と物理量で対応。乾燥空気は「雨を蒸発させて冷やす燃料」—ダウンバースト強化とWPの湿度の話で共通。
問われ方
- 積乱雲の一生の正誤(58-9/64-11)
- 現地調査からの竜巻/ダウンバースト判別(58-10)
- ダウンバースト4性質(63-11)
ひっかけ集
- 「夏の積乱雲=暖かい雨」(2回)
- 「乾燥しているとダウンバーストは発生しにくい」の反転
- スケールの過小化(数十m〜数百m)—竜巻のスケールとの混同誘導
- かなとこ雲を「風上側に広がる」
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
6-8 局地循環(海陸風・熱的低気圧)★★59-11/61-11
要点
- 海陸風(61-11全正):海陸の気温高低が昼夜逆転する1日周期の循環。海風は陸風より層が厚く風速大。明瞭な海風循環は夏に出やすい。日中の海風は内陸で水平収束→雷雨の引き金。
- 熱的低気圧(ヒートロウ)(59-11全正):晴れた日の日中、中部山岳など内陸に発生し夜間消滅。気圧低下は下層のみ(状態方程式+静力学平衡で説明)。谷風循環の補償下降流の断熱昇温→山岳部の気圧低下量は平野部より大。
考え方 どちらも「地面の温まりやすさの差」が作る循環。暖まった気柱は膨張して下層の気圧が下がる—背の低い低気圧。シベリア高気圧(冷えて背の低い高気圧)のちょうど逆と対にする。
問われ方
- 全正の4点セット(61-11)・3点セット(59-11)—この2項目は「すべて正しい」型で出た
ひっかけ集
- 海風/陸風の厚さ・強さの逆転、冬>夏への交換が想定される(過去2回は素直な全正)
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
第7章 短時間予報・ナウキャスト ★★ 10問/150
7-1 解析雨量★★60-6/62-7
要点
- 気象レーダー(面的)+雨量計(正確)の長所を組み合わせ、1km格子で解析した降水量分布。
- 雨量計はアメダスのみでなく自治体・国交省等のデータも使用(62-7)。海上はレーダーのみ→誤差が大きい(60-6)。
- ブライトバンドの影響は数値予報の気温情報を使った処理で軽減(62-7)。
- 土壌雨量指数等の入力に使われ、記録的短時間大雨情報の判定にも使用される(「解析雨量では発表されない」は誤り)(62-7)。
考え方 「レーダーは目が良いが目盛りが甘い、雨量計は目盛りが正確だが点でしか見えない」—2つの観測の弱点相殺が解析雨量の本質。海上で雨量計がない=補正できない、と即断できる。
問われ方
- 仕様と入力データの正誤(62-7)
- 海上の誤差(60-6)
ひっかけ集
- 「雨量計はアメダスのみ」の過剰限定
- 「記録的短時間大雨情報が解析雨量に基づいて発表されることはない」
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
7-2 降水短時間予報(1〜6時間/7〜15時間)★★★58-7/60-6/64-7
要点
- 1〜6時間先:1km格子・10分毎に発表。実況(解析雨量)の移動ベクトル+数値予報の風で移動を予測し、降水の発達・衰弱(強弱の変化)も計算に加味する。
- 7〜15時間先:5km格子・1時間毎。メソモデル(MSM)+局地モデル(LFM)の組合せ—全球モデルは使わない(2回出題)。
- 入力は解析雨量(「レーダーエコー強度を直接」ではない)(58-7)。
考え方 時間が延びるほど「実況の外挿→数値予報」へ重みが移る、というブレンド構造。仕様表を「格子/間隔/材料」の3行で自作しておくと、どの回のすり替えにも即応できる。
問われ方
- 仕様(格子・発表間隔・入力・使用モデル)の正誤(58-7は(a)のみ正、64-7・60-6と3回)
ひっかけ集
- 「7〜15時間先には全球モデルも組み合わせる」(2回)/「局地モデルは用いていない」
- 「6時間先までは実況の移動だけで強弱の変化は計算しない」「数値予報は用いない」の過小化
- 「解析雨量は利用していない」
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
7-3 ナウキャスト各種(降水・高解像度降水・雷・竜巻)★★56-12/57-12/61-7
要点
- 高解像度降水ナウキャスト(57-12):60分先まで。前半30分は陸上・海岸近くの海上250m解像度(その他海上1km)。ドップラーレーダー・雨量計に加えWP・ラジオゾンデの高層観測も利用。降水域内部を3次元的に解析・追跡し、雨粒の発生・落下も計算。
- 雷ナウキャスト(61-7/56-12):雷監視システム+レーダー。1時間先まで10分毎。活動度1=現在雷なし・今後1時間以内に落雷の可能性/活動度2〜4=既に積乱雲があり、いつ落雷してもおかしくない。雷の「可能性」も対象(発生確認時だけではない)。
- ナウキャスト系共通の限界:予測時間の途中で新たに発生する現象は予測できない(2回出題)。
考え方 ナウキャストは「今あるものを動かす」予測。だから新規発生と急発達が苦手—この1行で(b)系の正誤はすべて判定できる。活動度は「1だけ未発生、2以上は発生済み」の线引き。
問われ方
- 仕様と限界の正誤(61-7/56-12)
- 高解像度版の技術的特徴(57-12)
ひっかけ集
- 「新たに発生する雷雲も予測できる」(定番)
- 「雷の発生が確認されたときに発表」(活動度1の否定)
- 「高層観測データは利用していない」(57-12)
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
7-4 解析積雪深・降雪短時間予報★★59-7/63-7
要点
- 解析積雪深:解析雨量・数値予報の気温・日射量などを積雪変質モデル(約1km格子)に与えて計算し、アメダス積雪深計で補正。約5km四方の平均値。
- 積雪変質モデルは新雪・融雪に加え圧密(沈み込み)も計算する(「計算されていない」は誤り=59-7)。風による雪の移動は考慮していない(63-7)。
- 解析降雪量=解析積雪深の1時間の増加量。減少が予測される場合は0cmとする。
- 降雪短時間予報の雨雪判別は地上気温・湿度が主→上空数百mに暖気があると精度低下(63-7)。
考え方 積雪は「降る・融ける・締まる(圧密)・飛ぶ(風)」の4収支。モデルが計算するのは前3つ、していないのは「飛ぶ」だけ—と整理すれば59-7と63-7の正誤当て所の違いに対応できる。
問われ方
- 同じ題材で正誤の当て所を変えて2回出題(59-7:(b)のみ誤り/63-7:すべて正しい)
ひっかけ集
- 「沈み込む深さは計算されていない」(59-7の誤り選択肢)
- 積雪深が減った時間の降雪量をマイナスにする誘導(正しくは0cm)
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
第8章 長期予報・気候 ★★ 8問/150(ほぼ毎回1問)
8-1 テレコネクションと日本の天候(AO・EU・PJ・PNA)★★★56-15/58-15/60-15/62-15/63-15
要点
- 北極振動(AO)負の位相=北極域の気圧・高度が平年より高く中緯度で低い→寒気が中緯度へ流出し日本は寒冬。寒帯前線ジェット(300hPa付近)は弱まり蛇行(60-15/63-15/56-15)。
- ユーラシア(EU)パターン正:ヨーロッパ負偏差・東経90度付近正偏差・極東(日本付近)負偏差→日本は低温(「高温」への反転が定番)(56-15/62-15)。
- PJパターン:フィリピン付近の対流活発→太平洋高気圧が北に張り出し日本は高温(暑夏)/不活発→冷夏。3回出題(58-15/59-15/63-15)。
- PNA(エルニーニョ時):アリューシャン低気圧が平年より東側で強い(62-15)。
- 冬型の逆配置(アリューシャン付近高圧・シベリア付近低圧)=冬型が弱く暖冬。ブロッキング高気圧→オホーツク海高気圧→やませ→北日本太平洋側の冷夏(63-15)。亜熱帯ジェット北偏=暖冬・日本海側の雪少ない(56-15)。
考え方 テレコネクションは「符号→日本の天候」の変換表を自作して丸ごと覚えるのが最速。判定のコツ:日本付近(極東)の偏差の符号だけ見る—負(低圧・低高度)=寒い/正=暖かい。上流の波列の並びは「どのパターンか」の名前当てに使う。
問われ方
- 偏差図からパターン名+日本の天候(56-15/60-15/62-15)
- (a)〜(c)全部の結論を反転させた全誤構成(63-15)
ひっかけ集
- 各パターンの「符号と天候の対応」を丸ごと反転(63-15は3連発)
- AO負を「寒気の流れ込みが弱く暖冬」と読み替え
- ジェット北偏なのに「日本海側で雪が多い」
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
8-2 エルニーニョ・ラニーニャとインド洋・OLR★★59-15/61-15/64-15
要点
- エルニーニョ=太平洋赤道域の中部〜東部の海面水温が平年より高い(61-15)。日本は冷夏・暖冬傾向。
- OLR(外向き長波放射量):小さい=雲頂が高い=対流活発/大きい=不活発。符号を初手で誤ると全滅(59-15)。
- インド洋(64-15):平常時は弱い西風→暖水は東部に蓄積。エルニーニョ発生→インド洋赤道域は弱い東風に転じ、暖水が西部に広がる。インド洋の水温はエルニーニョ監視海域に約3か月遅れて変化。
- フィリピン付近の対流とセットでPJパターンに接続(8-1)。
考え方 OLRは「宇宙から見た放射温度」。雲が高い=冷たい=放射少ない=OLR小。エルニーニョ時のインド洋は「太平洋の東風が弱まる↔インド洋の西風が弱まる(東風化)」と、風系が連動して反転するイメージで。
問われ方
- OLR時系列→対流活動→気圧配置→日本の天候の因果連鎖(59-15)
- インド洋の暖水の東西移動の穴埋め(64-15)
ひっかけ集
- OLRの符号(小=活発)の反転
- 東部/西部の配置とエルニーニョ/ラニーニャの取り違え、「遅れて/早く」の時間関係
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
8-3 予報資料の読み方(週間アンサンブル図・季節予報資料)★★57-15/61-15/63-12
要点
- 週間アンサンブル予想図の対応付け(63-12):500hPa高度・850hPa相当温位・地上気圧+降水の3種の図から同一予想時刻を選ぶ。トラフ・低気圧・降水域の位置整合で判定。アンサンブル平均は予報時間が進むほど平滑化される性質も手掛かり。
- 3か月予報の資料(61-15):SST偏差→200hPa流線関数偏差→500hPa高度偏差→天候、の因果を図でたどる。流線関数の注記(「数値が小さい側を左に見て吹く」)を機械的に適用して蛇行の向きを読む。
- 天候分布→気圧配置の逆算(57-15):全国高温多照=太平洋高気圧が全国を覆う/西日本中心の高温=本州まで張り出し/西日本低温・多雨・寡照=前線停滞で高気圧後退。
考え方 資料問題は知識より「図と図の整合を確かめる作業力」。①特徴的な要素(トラフ・降水域・高温域)を1つ選ぶ→②他の図で同じ場所を指すか確認→③矛盾したら捨てる、の消去法を機械的に回す。
問われ方
- 順不同の図の対応付け・並べ替え(63-12/57-15)
- 下線部の正誤で蛇行の向きを問う(61-15)
ひっかけ集
- 問題文の蛇行の記述を図と逆にしておく(61-15)—文章を信じず図を読む
- アンサンブル平均図の平滑化を「後の時刻ほど詳細」と誤認させる配置
弱点メモ (演習で間違えたら日付+原因を追記)
