53回 問5 天気予報ガイダンスの概要 降水量ガイダンスの頻度バイアス補正 層別化
問5 気象庁の天気予報ガイダンスについて述べた次の文(a)~(c)の下線部の正誤の組み合わせとして正しいものを,下記の1~5の中から1つ選べ。
- (a)天気予報ガイダンスの主な役割として,数値予報による予測値を補正することや,数値予報が直接予測しない要素の予測値を作成することが挙げられる。
- (b)降水量ガイダンスでは,頻度バイアス補正と呼ばれる手法により,予測降水量の頻度分布が実況降水量と同様の頻度分布になるように予測値を補正している。その効果が期待できるのは主に,激しい雨のような発生頻度の少ない現象に対する補正についてである。
- (c)ガイダンスを作成する際に利用される手法の1つである層別化は,時刻,季節などにデータを分けて学習して,係数を求め,予測に利用する手法である。これにより,例えば数値予報モデルが昼と夜で異なるバイアスを持つ場合も,そのバイアス特性に応じた適切な誤差の補正が期待できる。
- (a)天気予報ガイダンスとは、降水量・降水確率・最高(最低)気温などの「予報支援資料」のこと。
- 天気予報ガイダンスの特徴は ①数値予報では十分表現できない地形的な効果を、関係式の中に取り込むことができる。②天気の予報(カテゴリー予報)だけでなく、気温や降水量の予報(量的予報)にも十分利用できる。③数値予報では直接予測できない「降水確率」などを計算できる。よって、『正』
- (b)降水量ガイダンスの頻度バイアスとは、発生頻度は低い大雨などの重要な予報の精度を上げるために、発生頻度が他と同じになるように補正すること。よって、『正』
- (c)層別化とは条件によって予測式の係数を使い分けること。場所・対象時刻・予報時間・季節などで起きる数値予報の誤差をいい感じの精度にするために、予測式の係数を変えることを言います。よって、『正』
- 正解は①

54回 問5 全球モデルの初期値を作成する客観解析 初期値の誤差
問5 アンサンブル予報について述べた次の文(a)~(d)の下線部の正誤の組み合わせとして正しいものを,下記の1~5の中から1つ選べ。ただし,アンサンブル予報は同一の数値予報モデルを用いているものとする。
- (a)初期値に含まれる誤差によって生じる予測の不確実性の情報を得るため,アンサンブル予報では,摂動を加えた少しずつ異なる多数の初期値について,予測を行っている。
- (b)予報結果のアンサンブル平均をとることで,数値予報モデルが持つ系統的な誤差を除去することができる。
- (c)アンサンブル予報のスプレッドが大きい場合は,小さい場合に比べて予報の信頼度が高い。
- (d)アンサンブル予報などによる確率予報の評価指標の1つであるブライアスコアは,現象の気候学的出現率の影響を受けるため,出現率の異なる現象に対する確率予報の精度の比較には適さない。
- (a)予報の精度が時間と共に低くなるのは、初期値に誤差が含まれるからです。なので、初期値に含まれる誤差の範囲内で、少しずつ違う値を用意し予測する。よって、『正』
- (b)系統的な誤差(バイアス)は除去できない 予測の結果を平均することで、個々のアンサンブルメンバーに含まれる誤差が打ち消されて、予測精度が向上します。「系統的な誤差」というのは「偶然じゃない、一定の傾向を持つ誤差のこと」よって、『誤』
- (c)大きな差がある予測結果を平均すれば、精度が下がる。よって、『誤』
- (d)ブライアスコアは、現象の気候学的出現率の影響を受けます。よって、『正』
- 正解は③
ブライアスコア(Brier Score)は、確率予報の精度を評価する指標です。特に、降水確率のような確率を用いた予報の正確性を測るために使われます。

55回 問5 メソアンサンブル予報 各メンバーの予測精度 激しい気象現象発生の可能性
問5 気象庁では,メソモデルの初期値や境界値に少しずつ異なった誤差(摂動)を人工的に加えて複数の予測を行うメソアンサンブル予報を運用しており,その一つ一つの予測をメンバーと呼ぶ。このメソアンサンブル予報について述べた次の文(a)~(c)の下線部の正誤の組み合わせとして正しいものを,下記の1~5の中から1つ選べ。
- (a)各メンバー単独の降水量の予測精度は,統計的には,摂動を加えていないメソモデル単独の予測精度より劣る。
- (b)激しい気象現象が発生する可能性について,メソモデルの予測結果のみでは把握が難しい場合でも,複数のメンバーの予測結果を用いることにより早い段階で把握することができるようになる場合がある。
- (c)メソモデルで予測が難しい現象は,メソアンサンブル予報でも予測が難しいが,複数のメンバーの予測結果から現象の発生を確率的に捉えることができるようになる。
- (a)メソアンサンブル予報の各メンバーは、統計的にMSM(摂動なし)よりの予測精度が低いものが多い。よって、『正』
- (b)激しい気象現象発生の可能性を把握には、複数のメンバーの予測結果を用いることが役立ってる。よって、『正』
- (c)アンサンブルは複数のメンバーから予測値を得られるので、現象が起きる確率を計算することができる。よって、『正』
- 正解は①

57回 問5 発雷確率ガイダンス
問5 気象庁で作成している発雷確率ガイダンスは,全国の20km格子毎の3時間内の発雷について予測するものである。発雷確率ガイダンスについて述べた次の文(a)~(c)の下線部の正誤の組み合わせとして正しいものを,下記の1~5の中から1つ選べ。
- (a)ガイダンス値が小さいほど,対象領域内で発生する雷の強度が弱いことを予想している。
- (b)ガイダンス値が大きいほど,対象領域内での発雷数が多いことを予想している。
- (c)雷は発生頻度の低い現象であることから,発雷確率ガイダンスは逐次学習によるガイダンスではなく,過去の資料から一括学習により求めた回帰式に基づくガイダンスである。
- (a)発雷確率ガイダンスは降水確率と同じで、発雷するかどうかの確率を予測するガイダンスです。強度ではなく発生確率 よって、『誤』
- (b)発雷数の予想はしていない。よって、『誤』 第57回気象予報士試験 専門知識 (kishoyohoshi.com)参照
- (c)発雷のように発生頻度が稀な現象の予測は、逐次学習型では有効性が低くなります。よって、発雷確率ガイダンスは、数年分のデータから一括学習によって求めるロジスティック回帰式で作成されています。よって、『正』
- 正解は④

58回 問5 パラメタリゼーション 用いるタイミング 見積もられていること 積雲対流パラメタリゼーション
問5 気象庁が行っている数値予報のパラメタリゼーションについて述べた次の文(a)~(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の1~5の中から1つ選べ。
- (a)パラメタリゼーションは、数値予報モデルの格子スケールより小さい現象が格子点の物理量に影響する効果を見積もって、格子点の物理量に反映させることをいう。
- (b)数値予報モデルでは、すべての予報対象期間について格子点の気象要素の値が出力された後から、パラメタリゼーションを用いて小さいスケールの現象の効果を格子点の値に反映している。
- (c)メソモデルでは、大気境界層における乱流による運動量や熱の輸送の効果については、パラメタリゼーションを用いていない。
- (d)積雲対流パラメタリゼーションは、全球モデルに用いられているが、メソモデルには用いられていない。
- (a)パラメタリゼーションとは、本文の通りですが、数値予報モデルの時間・空間分解能以下の小さい現象が格子点の物理量に影響を及ぼす効果を見積もって、格子点の物理量に反映させて予報精度を高める作業のことをいいます。したがって、本文の内容は正しいということになります。数値予報のパラメタリゼーション《第58回試験・専門・問5》(考察編) | 気象予報士 瀬戸信行の 「てるてる風雲録」 (ameblo.jp)参照 よって、『正』
- (b)スケールの小さな現象からなる物理効果を計算に取り込み、格子点の値を出力します。
- つまり、「パラメタリゼーションを用いる」のは、「初期値と同じ時刻」か「初期値以前の時刻」ということになります。よって、『誤』
- (c)メソモデルでは、大気境界層における乱流を直接表現することはできないので、パラメタリゼーションで見積もります。
- 大気境界層における乱流による運動量→見積もられています。熱の輸送の効果について→見積もられています。よって、『誤』
- (d)積雲対流はスケールが小さい擾乱なので、メソモデルでも表現できません。
- だからパラメタリゼーションとして見積もられているので、「メソモデルには用いられていない。」が違います。よって、『誤』
- 正解は③

コメント
まだ継続していますね。偉いです。
パスさせてもらっています。