比湿が大きくなると

Q035に下のような正誤を問う問題がありました。
「空気塊の圧力が同じであれば、比湿がより大きい空気塊の方が露点温度が高い。」

どう考えて誤にしたのか?納得した今では、その理由付けを忘れてしまいましたが、3回も間違えてしまいました。

そもそも、比湿の定義が確かなものになっていなかったのだと思います。

比湿=水蒸気の密度/湿潤空気の密度

で定義されています。

比湿が大きくなるということは、分子である水蒸気の密度が大きくなることが考えられます。つまり、より湿った空気になるということです。空気の温度が下がってきたとき、湿った空気ほど高い温度で結露する。これは、感覚的にも受け入れられるイメージですね。
よって、「空気塊の圧力が同じであれば、比湿がより大きい空気塊の方が露点温度が高い。」は正しいが正解です。

このように、定義の式がしっかり頭に定着していれば、簡単に答を導き出せるのです。

ここで、水蒸気に関する概念として「混合比」があります。
混合比=水蒸気の密度/乾燥空気の密度
で定義されます。
手元に、混合比を利用する問題がなかったのでCpilotに出題してもらいました

気象予報士試験の過去問題の中で、混合比を利用する問題の一例を紹介します。以下は第51回試験(2019年1月試験)の問題です。

問題: 空気の混合比について述べた次の文章の空欄 (a) および (b) に入る適切な語句および数値の組み合わせを、下記の①~⑤の中から一つ選べ。

ただし、乾燥空気の平均分子量は29、水蒸気の分子量は18とし、30℃における飽和水蒸気圧は42hPaとする。

理想気体の状態方程式によれば、圧力と温度が一定の場合、気体の密度は気体の分子量に (a)。

水蒸気で飽和した空気の気圧が1000hPa、気温が30℃であるとき、乾燥空気の密度に対する水蒸気密度の比である空気の混合比は、約 (b) g/kg である。

選択肢:
① 比例する 27
② 比例する 71
③ 依存しない 44
④ 反比例する 44                            ⑤ 反比例する 71

解答: (a) には「比例する」が入り、①が正解です。 (b) には「27」が入り、①が正解です。

解説は、https://tenki-forecast.com/past-test/51st/51ipn-03/

PV=nRTからのスタートですね。

(a) について
理想気体の状態方程式「PV=nRT」からのスタートですね。
高校化学で学習した時、「PV=nRT」は、0℃1気圧のとき成り立つ式でした。
この時、nは気体の物質量(モル)、気体定数R=0.082(単位は リットル・気圧パーモルパーケルビン です。)

気象の世界では、1気圧のことを1013hPa=1013×10⁵㎩として計算します。
そうすると気体定数は、0.082ではなくなります。1気圧のことを1013hPa=1013×10⁵㎩として計算するときのRは、以下のようにして求められます。
「PV=nRT」でnを1モルとすると、
R=PV/T
 =(1013×10⁵〔Pa〕×22.4〔L/mol〕)/273〔K〕
 =8.31×10³〔㎩・L/K・mol〕(パスカルリットルパーケルビンモル)

さて、問は「圧力と温度が一定の場合、気体の密度は気体の分子量に (a)。」(a)の選択肢は比例か反比例かを判断すればよいのですが…。
しっかりと考えようとしましたが、「密度」とは?と考えてしまいました。重さと体積…どっちが分母だったけ?正解は、g/L(=m/v)…そう体積が分母でした。

ということから、「PV=nRT」のどこにρ=m/v…①(ρは、密度)を導入するのかを考えます。
①から、v=m/ρ…②
②を「PV=nRT」のVに代入すると、P(m/ρ)=nRT
ここからの式の変形は、省略して…

最終的にこんな形になります。P・R・Tともに一定なので

つまり、密度ρは分子量の定数倍で、分子量に比例することになります。

いやいや、面倒ですね。
しかし、改めて考えると
「圧力と温度が一定の場合、気体の分子量が多ければ、気体の密度大きくなる。」ということは、直感的にも浮かびそうですね。

最初の論点が、「混合比の問題」だったことを忘れていました。

問題は、(b)ですね。「混合比=水蒸気の密度/乾燥空気の密度」なので、

一定の理解はしましたが、実際の試験の時この問題に時間をかけるのは、やめておきたいですね。お疲れ様でした。

コメント

  1. 金太郎パパ より:

    > 3回も間違えてしまいました。

     勘で間違えていたんじゃなくて、ちゃんと考えても間違えていたということなんですね。

    > 高校化学で学習した時、「PV=nRT」は、0℃1気圧のとき成り立つ式でした。

     「0℃1気圧のとき成り立つ式」である知りませんでした。
     ただ漠然と覚えていました。
     そんなこと習ったんですかね。

    > 実際の試験の時この問題に時間をかけるのは、やめておきたいですね。お疲れ様でした。

     こんな本の問題の一部を解くのに、そんなにもたくさんの数式を駆使して…。
     やっぱり時間の無駄(足りなくなっちゃいます)ですね。
     過去問として回答を記憶するか、捨てるしかないですね。