専門過去問 問7 52~63回

めざせ気象予報士専門分野

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52回 問7 気象衛星可視画像   

53回 問7 北半球の寒冷低気圧の一般的な特徴

問7 北半球の寒冷低気圧の一般的な特徴について述べた次の文(a)~(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを,下記の1~5の中から1つ選べ。

  • (a)寒冷低気圧は強い温度傾度をもつ温暖前線と寒冷前線を伴うことが多い
  • (b)寒冷低気圧は,地上では低気圧性循環は弱く,低気圧が解析されないこともあるが,対流圏中層や上層の天気図では低気圧性循環が明瞭である。
  • (c)寒冷低気圧の中心付近では,対流圏界面が大きく下がり,その上では周囲に比べて気温が低くなっている。
  • (d)夏季に寒冷低気圧が日本付近に東進してくると,その東側から南東側にかけて成層が不安定になり,積乱雲が発達することが多い。

  • (a)寒冷低気圧は寒冷渦とも呼ばれ、傾圧大気をエネルギーとする温帯低気圧とは発生メカニズムが異なるので、前線を持たないのが特徴です。大気圏上部のトラフが深まり、切り離されてしまうのが寒冷低気圧発生のメカニズムで、その由来から『切離低気圧』とも呼ばれます。よって、「誤」
  • (b)地上付近では気圧差が小さく不明瞭ですが、上層では非常に強い低気圧として描かれます。 よって、「正」
  • (c)寒冷低気圧の中心付近では、破線で示された対流圏界面が大きく下がっていることがわかります。また、実線で示された-45℃の等温線に着目しますと、その上の成層圏下部において、周囲に比べて気温の高い部分があることがわかります。よって、「誤」
  • (d)寒冷低気圧では、上空に強い寒気を伴っているのが特徴です。一方、夏季の日本付近において、寒冷低気圧の東側から南東側(南東象限)では、下層から暖かく湿った空気が流れこみやすいため、大気の鉛直安定度が小さくなり、積乱雲が発達することが多くなります。よって、「正」

寒冷低気圧(寒冷渦とも呼ばれます)は、周囲よりも気温が低い寒気によって形成される低気圧です。以下のような特徴があります:

  • 前線を伴わない: 温帯低気圧とは異なり、寒冷低気圧は前線を持たず、単一の寒気塊で構成されています。
  • 上層で顕著な低気圧: 地上付近では気圧差が小さく不明瞭ですが、上層では非常に強い低気圧として描かれます
  • 動きが遅い: 偏西風の流れから切り離されるため、移動速度が遅く、長期間にわたって影響を及ぼすことがあります。
  • 大気の不安定化: 上空に寒気があるため、地上との温度差が大きくなり、大気が不安定になりやすく、積乱雲が発達しやすいです。
  • 雷雨や豪雪をもたらす: 夏季には激しい雷雨、冬季には日本海側で豪雪をもたらすことがあります。

正解は

54回 問7 解析雨量 気象レーダー

問7 解析雨量について述べた次の文(a)~(d)の下線部の正誤の組み合わせとして正しいものを,下記の1~5の中から1つ選べ。

  • (a)解析雨量は,気象レーダーと雨量計の観測データを組み合わせ,降水量分布を1km四方の細かさで解析したもので,面的に雨量を推定できる気象レーダーと,正確な雨量を観測できる雨量計の両方の長所を活かしたものである
  • (b)海上の解析雨量は,陸上の雨量計から得られた情報を用いて気象レーダーの観測データを補正しているため,陸上よりも一般に誤差が大きい
  • (c)解析雨量は実測値ではないことから,土壌雨量指数や表面雨量指数の算出の際の入力データとしては利用されない
  • (d)解析雨量には,30分ごとに1時間雨量を算出するものと,10分ごとに1時間雨量を算出する速報版がある。後者は前者より,利用する雨量計データの数が少ないため精度は若干低いが,更新頻度が高く,観測から提供までに要する時間が短い

  • (a) 気象レーダーは、上空の降水を捉えてそれを降水強度に変換して、広範囲を面的に連続して観測ができるという特徴があります。しかし、気象レーダーによる降水の観測は、アメダスなどに設置されている雨量計に比べると、観測の精度が高くないのもそうなんですが、地形(グランドクラッター)や海上の波(シークラッター)による反射をも降水として認識してしまうという欠点もあります。よって、「正」
  • (b)海上における解析雨量につきましては、海上に雨量計がありませんので、陸上において気象レーダーによる降水強度と雨量計による降水量の比で求める「レーダー雨量係数」を用いて気象レーダーの観測データを補正しているため、陸上よりも一般に誤差が大きくなります。 よって、「正」
  • (c)求められた解析雨量のデータは、土壌雨量指数では、実況のタンクモデルへの入力データとして用いられ、また表面雨量指数におきましても入力データには解析雨量が用いられています。 よって、「誤」
  • (d)速報版解析雨量は算出の所要時間を短縮するため、降水量の算出に利用できる雨量計の数が制限されますが、若干精度が低くなるものの、更新頻度が高く、観測から時間的に10分ごとという短いスパンで提供されるという特長があります。 よって、「正」

正解は

55回 問7 天気予報ガイダンス 予測値誤差の低減 カルマンフィルター

問7 気象庁が作成している天気予報ガイダンスについて述べた次の文(a)~(d)の下線部の正誤について,下記の1~5の中から正しいものを1つ選べ。

  • (a)数値予報モデルでは,予報時間が長くなるにつれて予測値の系統誤差の傾向が変化することがある。ガイダンスはそのような系統誤差を低減することができる。
  • (b)数値予報モデルでは,海陸の区別が実際と一致していない格子点がある。ガイダンスは,海陸の区別の不一致に起因する予測値の誤差を低減することができる
  • (c)数値予報モデルが放射冷却による気温の低下を十分に予測できない場合は,気温ガイダンスでもそのような予測誤差を低減することはできない。
  • (d)カルマンフィルターを用いた平均降水量ガイダンスは,数値予報モデルが予測していない大きな降水量が観測されると,それ以降のある期間にわたって降水量を実際より多めに予測する傾向がある。

  • (a)ガイダンスはそのような系統誤差を低減することができる。 よって、「正」
  • (b)ガイダンスは,海陸の区別の不一致に起因する予測値の誤差を低減することができる。よって、「正」
  • (c)放射冷却はランダム誤差なのか系統誤差なのか 放射冷却は、天気、季節、地域、地形などに依存する。夜間の放射冷却が大きくなるのは風が弱く、大気から地表面に供給される顕熱と凝結の潜熱の影響が極めて小さい時です。具体的な地形の例をあげれば、山頂部分よりも盆地の方が放射冷却は強い傾向があります。ランダム誤差の要因は含んでいるものの、系統誤差の因子も大きいので、ある程度は気温ガイダンスで誤差を低減できます。 よって、「誤」
  • (d)本文のとおり。よって、「正」

(a)について

(b)について

第55回気象予報士試験 専門知識

正解は

56回  問7 北半球の偏西風帯におけるジェット気流の一般的な特徴

問7 北半球の偏西風帯におけるジェット気流の一般的な特徴について述べた次の文(a)~(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを,下記の1~5の中から1つ選べ。

  • (a)ジェット気流の風速が下流の方ほど強くなっている領域では,ジェット気流は等圧面上で等高度線を高度の高い側から低い側に横切ることが多く,弱くなっている領域では逆の向きに横切ることが多い。
  • (b)温帯低気圧の発生·発達に伴って亜熱帯ジェット気流の北側に出現する寒帯前線ジェット気流では,亜熱帯ジェット気流と比べて風速が極大となる高度が低い。
  • (c)亜熱帯ジェット気流も寒帯前線ジェット気流も,ジェット気流の軸は対流圏上層の圏界面付近にあり,温度傾度の大きな前線帯の上空に位置していることが多い。

  • (a)非地衡性成分の問題です。よって、「正」
  • (b)よって、「正」
  • (c)気象業務支援センターからの採点に関する通知
  • 専門知識の問7(c)は、寒帯前線ジェット気流·亜熱帯ジェット気流のいずれも、その風速が最大になる圏界面付近の強風軸の下には、温度風の関係から周辺より温度傾度の大きな前線帯があることを問う問題でした。
  • 一般に、前線帯には対流圏全層にわたるものから、対流圏中·上層に限られているものなど様々なものがあります。寒帯前線ジェットに対応しては地上まで達する前線帯が存在することが多いことが知られています。一方、亜熱帯ジェット気流の形成にはハドレー循環による角運動量輸送の効果も重要と考えられており、対応する前線帯は地上に達していないことが多いとされています。
  • 今回の問題文においては「(ジェット気流は)温度傾度の大きな前線帯の上空に位置していることが多い」と記述しており、この「前線帯」が対流圏中·上層の前線帯を示すものか、地上まで達する前線帯を示すものか、曖昧な面がありました。
  • このため、問題文の「前線帯」が中·上層までの前線帯も示していると解釈した場合は問題文は「正」、地上まで達した前線帯を指していると解釈した場合は「誤」とする両方の回答があり得ると判断しました。よって、「正」「誤」

(a)について

第56回気象予報士試験 専門知識から

(b)について

第56回気象予報士試験 専門知識から

正解は①②

57回 問7 日本付近の寒冷低気圧

問7 日本付近の寒冷低気圧について述べた次の文章の下線部(a)~(d)の正誤について,下記の1~5の中から正しいものを1つ選べ。

寒冷低気圧は,(a)偏西風帯のジェット気流がほぼ東西方向に流れているときに形成される。対流圏では,周辺より気温が低い寒気核を持ち,(b)寒気核は対流圏の中·上層より下層の方が顕著である。また(c)寒冷低気圧の中心を結ぶ軸は,上層ほど大きく西に傾いていることが多い
夏季に日本付近に進んでくる寒冷低気圧においては,東から南東象限の下層に暖かく湿った気塊が流入することが多く,そのようなときは大気の成層が不安定となり対流雲が組織的に発達するが,(d)寒冷低気圧は一般に動きが速いため,成層が不安定な状態は半日程度で解消することが多い

  • (a)「偏西風帯のジェット気流がほぼ東西方向に流れているとき」ではなく、大きく低緯度側に湾曲したとき よって、「誤」
  • (b)「寒気核は対流圏の中·上層より下層の方が」ではなく、「寒気核は対流圏の中·上層の方が」が正しい。 よって、「誤」
  • (c)「上層ほど大きく西に傾いていることが多い」ではなく「少ない」 よって、「誤」
  • (d)「寒冷低気圧は一般に動きが速いため」ではなく「遅い」、「半日程度で解消する」ではなく「数日間に及ぶ」よって、「誤」

正解は⑤ すべて誤り

58回 問7 降水短時間予報 降水ナウキャスト

問7 気象庁が発表している降水短時間予報について述べた次の文(a)~(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の1~5の中から1つ選べ。

  • (a)降水短時間予報は、1時間降水量を、6時間先までの予測では10分間隔で発表し、7時間先から15時間先までの予測では1時間間隔で発表している。
  • (b)降水短時間予報の6時間先までの予測には、気象レーダー観測のエコー強度データを直接用いており、解析雨量は利用していない。
  • (c)降水短時間予報の6 時間先までの予測では、数値予報モデルによる予測結果は用いていない。
  • (d)降水短時間予報の7時間先から15 時間先までの予測では、メソモデルの予測結果を用いて降水を予測しているが、局地モデルの予測結果は用いていない。
  • (a)本文のとおり。 よって、「正」降水ナウキャスト、降水短時間予報 | 気象庁
  • (b)6時間先までの予測手法についてですが、1時間降水量分布は解析雨量を用いて予測しています。1時間降水量分布の時間変化を利用して降水域の移動速度を求め、この移動速度を使って直前の降水分布を移動させて、6時間先までの降水量分布を作成しています。 よって、「誤」
  • (c)予報時間の後半には数値予報モデルによる降水の予測結果も用いています。 よって、「誤」
  • (d)降水短時間予報の7時間先から15時間先までの予測についてですが、降水の予測では、数値予報モデルのうち、メソモデル(MSM)と局地モデル(LFM)の予測結果を用い、統計的に処理した結果を組み合わせ、降水量分布を作成しています。よって、「誤」

正解は

59回 問7 解析積雪深·解析降雪量

問7 気象庁が作成している解析積雪深·解析降雪量について述べた次の文章の中の下線部(a)~(d)の正誤について、下記の1~5の中から正しいものを1つ選べ。

解析積雪深は、解析雨量や数値予報モデルの気温や日射量などを積雪変質モデルに与えて積雪の深さを計算し、(a)アメダスの積雪深計の観測値で補正することにより作成される。積雪変質モデルでは、新たに積もる雪の量、とける雪の量を計算することで積雪の深さを求めており、(b)時間の経過とともに積雪が沈み込む深さは計算されていない。また、解析降雪量は、(c)解析積雪深が1時間に増加した量を1時間降雪量(cm)として算出しており、解析積雪深が減少した場合の1時間降雪量は0cm としている。
解析積雪深·解析降雪量は(d)約5km四方の平均的な値のため、これより狭い局地的な降雪の多寡は表現できない。

  • (a)解析積雪深は、アメダスの積雪深計の観測値で補正することにより作成される。よって、「正」
  • (b)積雪変質モデルでは、新たに積もる雪の量、とける雪の量、時間の経過により積雪が沈み込む深さ等を計算することで積雪の深さを求めます。 よって、「誤」
  • (c)解析積雪深が1時間に増加した量を1時間降雪量(cm)として算出しており、解析積雪深が減少した場合の1時間降雪量は0cm としている。 よって、「正」
  • (d)解析積雪深・解析降雪量は、約5km四方のメッシュで計算・発表されています。 よって、「正」

正解は

60回 問7 天気予報ガイダンス 天気翻訳 誤差修正

問7 気象庁の天気予報ガイダンスについて述べた次の文(a)~(c)の下線部の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の1~5の中から1つ選べ。

  • (a)数値予報モデルでは、予報時間が長くなるにつれて予測値の系統誤差の傾向が変化することがある。ガイダンスでは予報時間によって変化する系統誤差を低減することは難しい
  • (b)カルマンフィルタを用いたガイダンスでは、実況の観測データを用いて予測式の係数を逐次更新しており、局地的な大雨など発生頻度の低い現象に対しても、数値予報の予測誤差を確実に低減することができる。
  • (c)ニューラルネットワークを用いたガイダンスは、目的変数と説明変数の関係が線形でない場合にも適用でき、なぜそのような予測になったのか、予測の根拠を把握するのに適している。
  • (a)数値予報モデルでは、予報時間が長くなるにつれて、その特性によって予測値に誤差が生じ、その誤差の傾向が変化することがあります。例えば、地形表現の不完全さがあげられますが、このような特性により発生した誤差は、その傾向が一定の条件によって生じる規則的な誤差で、言わば「偏り」と考えることができます。このような誤差のことを「系統的誤差」とよんでいます。ガイダンスでは系統的誤差を修正することによって低減しています。 よって、「誤」
  • (b) カルマンフィルターという手法を用いている天気予報ガイダンスの例に「降水量ガイダンス」があります。ガイダンスでは、過去のデータをもとに統計的関係を用いて予測しているため、発生頻度の低い局地的な大雨がありますと、そのあとは降水量を過大に予想する傾向が現れてしまい、適切に予測することが困難になります。よって、「誤」
  • (c) なぜそのような予測になったのか、予測の根拠を把握するのに適していない。よって、「誤」

正解は

61回 問7 雷ナウキャスト 雷監視システムや気象レーダーの観測結果

問7 気象庁が発表している雷ナウキャストについて述べた次の文(a)~(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の1~5の中から1つ選べ。

  • (a)雷ナウキャストは、雷監視システムや気象レーダーの観測結果などをもとにして、雷の激しさや雷の可能性を解析し、1時間後までの予測を行うもので、10分毎に更新される。
  • (b)雷ナウキャストでは、雷雲の位置を過去の移動に基づいて予測するとともに、統計的手法により盛衰傾向の予測も加味しており、予測の対象時間の途中で新たに発生する雷雲も予測できる
  • (c)雷の可能性や激しさを表す活動度は1から4まである。活動度1は、現在、雷は発生していないが、今後1時間以内に落雷の可能性がある状況であることを示している。
  • (a) 雷監視システムや、気象レーダーの観測結果などをもとにして、雷の激しさや雷の可能性を1km格子単位で解析し、その1時間後(10分~60分先)までの予測を行うもので、10分毎に更新され提供されているものになります。よって、「正」雷ナウキャストとは | 気象庁
  • (b)移動予測のほか、雷雲の盛衰傾向を少しでも表現するため、発雷領域の特徴(周辺領域の放電数、レーダー3次元データなど)から、統計的手法により作成した関係式を用いて盛衰傾向の予測も加味しています。しかし、留意点として、移動予測や盛衰傾向の予測では、予測時刻の途中で新たに発生する雷雲は予測できないことに注意する必要があります。 よって、「誤」
  • (c)雷ナウキャストでは、雷の激しさや雷の可能性について、活動度を1から4まで階級分けされており、雷監視システムによる雷放電の検知数が多いほど激しい雷(活動度が高い:2~4)としています。雷放電を検知していない場合でも、雨雲の特徴から雷雲を解析(活動度2)するとともに、現在、雷は発生していないが、今後1時間以内に雷雲が発達して落雷が起こる可能性のある領域も解析(活動度1)しています。 よって、「正」

正解は

62回 問7 解析雨量 気象レーダー 雨量計の観測データ ブライトバンド

問7 気象庁が作成している解析雨量について述べた次の文(a)~(d)の下線部の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の1~5の中から1つ選べ。

  • (a)解析雨量は、気象レーダーと雨量計の観測データを組み合わせ、降水量分布を1km四方の細かさで解析したもので、面的に雨量を推定できる気象レーダーと、正確な雨量を観測できる雨量計の両方の長所を活かしたものである。
  • (b)ブライトバンドは、上空の融解層付近で気象レーダーの反射強度が強くなる現象である。解析雨量では、数値予報の気温情報を利用した処理により、ブライトバンドの影響が軽減されている
  • (c)解析雨量の算出に用いられる地上の降水量データは、気象庁のアメダスの雨量計による観測データのみが使用されている。
  • (d)解析雨量は、土壌雨量指数や表面雨量指数の算出の際の入力データとしては利用されるが、解析雨量の値に基づいて記録的短時間大雨情報が発表されることはない。
  • (a) 気象レーダーは、上空の降水を捉えてそれを降水強度に変換して、広範囲を面的に連続して観測ができるという特徴があります。しかし、気象レーダーによる降水の観測は、アメダスなどに設置されている雨量計に比べると、観測の精度が高くないのもそうなんですが、地形(グランドクラッター)や海上の波(シークラッター)による反射をも降水として認識してしまうという欠点もあります。よって、「正」
  • (b)ブライトバンドは上空で固体である雪から液体である雨に相変化する過程の中の降水粒子を気象レーダーが捉えたとき、屈折率の関係で反射強度が強くなる現象です。軽減の具体的な方法は、数値予報の気温情報から0℃の高度を求めて、この高度付近のレーダーエコーを抽出し、この中でブライトバンドと判定した領域に周囲のエコーを重み付き内挿して実際のエコー強度を推定します。 よって、「正」
  • (c) 解析雨量は面的に降水量を推定できる気象レーダーから得られた1時間積算降水強度を、約1300ヶ所の気象庁のアメダスの雨量計に国土交通省や地方自治体が設置した雨量計を加えた約10000ヶ所の観測データで補正した1km四方ごとのかつ1時間雨量の降水観測データのことをいいます。よって、「誤」
  • (d)求められた解析雨量のデータは、土壌雨量指数では、実況のタンクモデルへの入力データとして用いられ、また表面雨量指数におきましても入力データには解析雨量が用いられています。解析雨量の値に基づいて、記録的短時間大雨情報が発表されることもあります。 よって、「誤」

正解は

63回 問7 解析積雪深·降雪短時間予報 アメダスで補正

問7 気象庁が発表している解析積雪深·降雪短時間予報について述べた次の文(a)~(d)の下線部の正誤について、下記の1~5の中から正しいものを1つ選べ。

  • (a)解析積雪深は、解析雨量や数値予報モデルの気温や日射量などを積雪変質モデル(約1km格子)に与えて積雪の深さを推定し、その値をアメダスの積雪深計の観測値により補正した上で、約5km四方の平均的な値として作成されている
  • (b)解析積雪深は、雪が風に流され移動する効果を考慮していないため、風が強い場合は解析の精度が低下する可能性がある
  • (c)降雪短時間予報における1時間降雪量は、降水短時間予報の予測値などを入力値とし積雪変質モデルを用いて得られた積雪の深さの1時間毎の増加量を表しており、減少が予測される場合は0となる
  • (d)降雪短時間予報は、主に地上気温·湿度により雨雪の判別を行っているため、数値予報モデルで地上よりも少し高い百mから1000m程度の高度に、地上より暖かい空気が予想されている場合は、予測の精度が低下する可能性がある
  • (a)解析積雪深は、アメダスの積雪深計の観測値により補正した上で、約5km四方の平均的な値として作成されている よって、「正」
  • (b)解析積雪深は、雪が風に流され移動する効果を考慮していないため、風が強い場合は解析の精度が低下する可能性がある。 よって、「正」
  • (c)本文のとおり。 よって、「正」
  • (d)本文のとおり。 よって、「正」

正解は⑤ 

コメント

  1. 金太郎パパ より:

    > 気象専門過去問52s7-63s7

     問いと答えしかないんですけど…。

     あっ、「いよいよ分野の整理が面倒になりました。」と関係あるってこと?