専門過去問 問10 52回~63回

めざせ気象予報士専門分野

8月の試験まで、残り175日25週です。残り3日でこの作業を終え、「復習をしながら実技試験対策に向かっていけたらいいな。」と思います。 2025年3月2日

52回 問10 500hPa高度·渦度解析図  

問10 図ア~ウは,三つの異なる日の500hPa高度·渦度解析図である。地上における気象状況を説明した次の文(a)~(c)に対応する図ア~ウの組み合わせとして正しいものを,下記の1~5の中から一つ選べ。

  • (a)低気圧が日本海中部にほぼ停滞しており,北日本から西日本にかけての日本海側で雪が降っている。
  • (b)梅雨前線が山陰沖から北日本に停滞しており,前線の活動は活発になっている。
  • (c)九州の南に発達中の低気圧があり,北日本の一部を除き全国的に雨や雪が降っている。
  • ア:5,700m等高度線の北緯を大雑把に見る関東地方の高度を読み取ってみると 5,820m ⇒ 気温が高い ⇒ 暖候期 よって(b)に対応
  • イ:5,520m ⇒ 気温がやや低い ⇒ どっちかな 北緯30°付近で横に伸びています⇒寒候期 (c)
  • ウ:5,280m ⇒ 気温が低い ⇒ 寒候期 日本のはるか南で、北緯30°より南です⇒寒候期 (a)
  • 『イ』と『ウ』ですが、日本海側で雪なので、日本海のトラフ深い『ウ』に着目して検証します。

正解は④

53回 問10 温位,相当温位,飽和相当温位の鉛直分布

問10 図ア~ウは,3つの地点における異なる日の9時の温位(太線),相当温位(破線),飽和相当温位(細線)の鉛直分布を示している。これらの地点付近の大気の状態について述べた次の文(a)~(c)に対応する図の組み合わせとして適切なものを,下記の1~5の中から1つ選べ。なお,横軸の目盛間隔は各図とも10Kであるが,各図の左端の温位は同じではない。

  • (a)観測地点は日本海を東進する低気圧の東側にあり,およそ6時間後に周辺でダウンバーストと思われる突風が観測されている。
  • (b)観測地点は日本海側に位置し,強い寒気が流入している領域にあり,周辺では雪やみぞれが観測されている。
  • (c)観測地点は移動性高気圧に覆われた内陸部にあり,周辺は広く晴れている。
  • 「ア」は、温位と飽和相当温位の距離が近いので、雪が降るほど気温が低いです。よって、(b)
  • 「イ」は、地上付近の小さな逆転層が直射日光によって地表面が加熱されている状況を表しています。全層に渡って湿度が低く雲がないので、晴天なのでしょう。よって、(c)
  • 「ウ」は、500hPaを境にして、下層では雲がなくその上が湿潤で雲があります。
    上層雲なので、高曇り的な天候でしょう。よって、(a)

正解は④

54回 問10 北半球の偏西風帯における温帯低気圧

問10 北半球の偏西風帯における温帯低気圧について述べた次の文(a)~(d)の正誤について正しいものを,下記の1~5の中から1つ選べ。

  • (a)台風から変わった温帯低気圧では,温帯低気圧になった時点から中心気圧が低くなることはない。
  • (b)発達中の低気圧では,低気圧の東側で暖気が北上し,西側で寒気が南下するため,熱は北向きに輸送される。
  • (c)気象衛星の赤外画像でみると,低気圧の発達期には,地上低気圧中心の東側の雲域は,その北縁が寒気側にふくらむ。
  • (d)地上低気圧の中心と上層のトラフとを結ぶ軸が上層ほど西に傾いていると低気圧は発達するが,閉塞過程に入るとこの軸は次第に直立するようになる。
  • (a)事例は少なけれど、2013年の台風18号のように台風から温帯低気圧化後に気圧が低下した例があります。 よって、「誤」
  • (b)低気圧性循環ですから。よって、「正」
  • (c)低気圧性循環ですから。よって、「正」
  • (d)基本ですね。よって、「正」

正解は

55回 問10 地方別の台風接近数の月別平年値  

問10 図は,地方別の台風接近数の月別平年値を表したものである。図中のA,B,Cの組み合わせとして正しいものを,下記の1~5の中から1つ選べ。ただし,Dは「四国地方」であり,選択肢の中の「九州北部地方」には山口県を含み,「関東地方」には伊豆諸島および小笠原諸島を含まない。なお,ここで示した平年値は2020年時点での平年値である。

  • A:経路的に多いので、沖縄地方を選択
  • B:ピークが9月である。秋になる太平洋高気圧の辺縁に沿って進むので、伊豆諸島および小笠原諸島を選択
  • C:選択肢の中から、関東か九州かを選ぶことになるが、ピークが9月であることから、関東および甲信地方を選択

正解は②

56回 問10 梅雨期の気象

問10 梅雨期の気象について述べた次の文(a)~(d)の正誤について,下記の1~5の中から正しいものを1つ選べ。

  • (a)梅雨前線を維持している水蒸気輸送には,太平洋高気圧の縁に沿う南よりの気流とチベット高原の南縁を通る西よりの気流が密接に関連している。
  • (b)梅雨前線上には,数百km程度の水平間隔で形成される低気圧が見られるが,この低気圧は上層ほど強い低気圧循環を持ち,しばしば激しい雷雨を引き起こす。
  • (c)梅雨期にオホーツク海付近に形成され,「やませ」をもたらすオホーツク海高気圧は,中心付近の寒気層が下層から上層にまで達している
  • (d)一般的に,西日本以西の梅雨前線では,東日本以東の梅雨前線に比べて下層での南北方向の温度傾度が大きいため,降水量が多い傾向がある。
  • (a)梅雨前線を維持している水蒸気輸送には、東南アジア方面から流入する温暖湿潤な気流が関係している。この流れは、インド・チベット高原南縁を通ってくる。 よって、
  • (b)数百km程度の水平間隔で形成される低気圧のことを、「メソ低気圧」と呼ぶが、背が低いので大きく発達することは少なく、上層では検出されないことも多い。よって、「誤」
  • (c)オホーツク海高気圧は、シベリア高気圧と同様に下層の空気が冷却されて形成される背の低い高気圧です。よって、「誤」
  • (d)西日本側の梅雨前線は、チベット高原の北回りと南回りの風がぶつかって形成される前線であり、温度傾度はさほど大きくありません。南回りの空気塊の水蒸気含有量が大きく、南北の水蒸気傾度が大きいのが特徴です。よって、「誤」
(b)関連の「メソ低気圧」
(d)関連

正解は①

57回 問10 台風 発生数 水平風の鉛直シアー

問10 台風について述べた次の文(a)~(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを,下記の1~5の中から1つ選べ。

  • (a)台風が発生するのは,主に海面水温が26~27C以上の海域で,特に北緯5°以南の赤道付近では平均的な発生数が多い。
  • (b)発生したばかりの台風では眼ははっきりしないが,眼ができ始めるころから,中心気圧は急速に低下していくことが多い
  • (c)台風の中心に近い領域では,地表面摩擦の影響により,地表面(海面)近くで中心に吹き込む気流が生じ,その収束による上昇流が複数の積乱雲を組織化して壁雲を形成している
  • (d)台風の発達期において,積乱雲が上昇流を維持し続けるためには,平風の鉛直シアーが強い必要があることから,水平風の鉛直シアーが強いほど台風が発達しやすい
  • (a) 「赤道付近では平均的な発生数が多い。」が誤り。よって、
  • (b) 本文は正しい。よって、
  • (c) 本文は正しい。よって、
  • (d) 「水平風の鉛直シアーが強いほど台風が発達しやすい」が誤り。強いと壁雲ができない。水平風の鉛直シアーが弱いが正しい。よって、「誤」

正解は③

58回 問10 竜巻およびダウンバーストの特徴 突風被害の発生

問10 気象台が、突風被害の発生した2カ所で現地調査を行った結果1カ所では竜巻、もう1カ所ではダウンバーストが発生したものと判定された。草木の倒れている方向の調査結果(a)(b)および住民への聞き取りの調査結果(ア)~(ウ)について、竜巻およびダウンバーストの特徴を示す組み合わせとして適切なものを、下記の1~5の中から1つ選べ。

  • (a)竜巻 (ア)
  • (b)ダウンバースト (ウ)

正解は

59回 問10 地上気象観測データから台風の移動経路を考察 

問10 表のA~D 地点の地上気象観測データは、ある台風が八重山·宮古島地方を北上して通過した日の与那国島、西表島、石垣島、宮古島のいずれかの地点(図中の●印)の海面気圧と風の観測データである。この観測データから台風の移動経路を考察し、下図の台風経路1~5の中から最も適切なものを1つ選べ。なお、図中の×印は06時、▲印は18時の台風の位置を示す。

  • A地点の特徴:11時12時に風速が弱まっている。これは、A地点を通過したことを表している。風向 接近時に北東あるいは東北東から始まり南西に抜けるはずである。
  • A地点はどこかを考える。風速の時間変化から石垣島が該当する。

正解は③

60回 問10 台風 接線成分と動径成分 大きさと強さ 

問10 台風について述べた次の文(a)~(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の1~5の中から1つ選べ。

  • (a)発達した台風において、風の接線成分と動径成分は、ともに大気境界層の上の自由大気下層で最大となる。
  • (b)発達した台風の対流圏界面に近い対流圏上層では、空気が台風の中心から外側に流れ出し、中心から離れたところでは反時計回りに風が吹いている。
  • (c)発達した台風の中心付近では対流圏の下層から上層まで気温が周囲よりも高く、台風中心の低い気圧に対応している
  • (d)台風の強さは中心気圧によって分類され、中心気圧が900hPa未満の台風は、最も強い階級である「猛烈な台風」に属する。
  • (a) 発達した台風において、風の接線成分は、大気境界層の上の自由大気下層で最大となりますが、動径成分は、大気境界層で最大となります。よって、
  • (b) 中心から離れたところでは「反時計回り」ではなく、「時計回り」に風が吹いている。よって、「誤」
  • (c) 発達した台風の中心付近では対流圏の下層から上層まで気温が周囲よりも高く、台風中心の低い気圧に対応している。よって、
  • (d) よって、「誤」

(a)について 

台風の接線成分と動径成分
大気境界層と自由大気

地表面摩擦がない場合(=自由大気)の風(左図) 傾度風「気圧傾度力=コリオリ力+遠心力」のバランスで吹く風と近似できる。

地表面摩擦がある場合(=大気境界層)の風(右図) 地表面に近いほど地表面からの摩擦の影響を受け、風が等圧線を横切って吹くようになります。

台風の傾度風 摩擦力を受ける大気境界層では風が等圧線を横切って吹く
風の接線成分の鉛直断面図 最大風速は中心から100km離れた、高度2~3kmのところにある。 

この図から、台風の風の接線成分の最大値は、中心から約100km離れた地点の高度2~3kmの自由大気下層にあることが分かる。気圧傾度力がある程度大きく、遠心力もある程度小さい地点で、コリオリ力が最も大きくなる地点が、台風の中心から約100km地点(=眼の壁雲付近)というわけです。

【第60回】2023年8月試験(学科専門試験)問10(台風)

(c)について

ハリケーンにおける鉛直断面図 

台風の中心付近では対流圏の下層から上層まで、気温が周囲よりも高くなっていることが分かります。この中心付近の気温が高い部分を 暖気核 といいます。

この暖気核は、台風の強い上昇気流断熱圧縮によって形成されます。台風の眼の壁雲付近では暴風が吹き、上昇流が最も強くなっています。この強い上昇流による暖湿気の凝結によって潜熱が放出され、中心付近の大気を加熱します。

さらに、その上昇流で対流圏界面付近まで達した空気は発散し、その一部の空気は眼の中で下降流となります。この下降流の断熱圧縮による加熱も加わることによって、暖気核が形成されるのです。

(d)について

台風の強さについての分類は、風速で行っている。

因みに、台風の大きさは

正解は⑤

61回 問10 台風の特徴と予報 鉛直シア アウターバンド 熱帯低気圧の予報円 台風から温帯低気圧へ

問10 台風の一般的な特徴や台風予報について述べた次の文(a)~(d)の正誤について、下記の1~5の中から正しいものを1つ選べ。

  • (a)台風の発達期において、積乱雲が上昇流を維持し続けるためには、水平風の鉛直シアーが強い必要があることから、一般に水平風の鉛直シアーが強いほど台風が発達しやすい。
  • (b)台風の周辺の外側降雨帯(アウターバンド)では、竜巻が発生することがある。
  • (c)一般に、台風になる前の発達する熱帯低気圧の進路予報の精度は、発生直後の台風の進路予報の精度より低く、その予報円は大きい。
  • (d)台風が温帯低気圧に変わる過程では、強風域が広がったり、中心から離れた場所で風が最も強くなることがある
  • (a)「鉛直シアーが弱い」ことは、積乱雲が上昇流を維持し続ける条件です。よって、
  • (b)アウターバンドでは、台風中心までかなり距離があるのに台風に向かって流れ込む暖湿気によって大雨となるので注意が必要。またこのアウターバンドでの竜巻被害も起きます。よって、
  • (c)本文のとおり。よって、
  • (d)本文のとおり。 よって、「正」
台風の周辺の外側降雨帯(アウターバンド)では、竜巻が発生することがある。

正解は①

62回 問10 冬の日本周辺の気象現象 シベリア高気圧 JPCZ 大陸からの離岸距離

問10 冬の日本周辺の気象現象について述べた次の文(a)~(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の1~5の中から1つ選べ。

  • (a)冬にシベリア方面に現れる高気圧は、対流圏下層から上層まで寒冷な空気で満たされた背の高い高気圧であり、高気圧の圏内では気塊の沈降による下降流が見られる。
  • (b)日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)が発生するとき、上空には強い寒気が流入しており、850hPa面の気温分布は、この収束帯に沿って周辺より低温となっていることが多い。
  • (c)冬型の気圧配置のとき、大陸からの寒気の吹き出しにより海上で形成される筋状の対流雲は、強い不安定により発達して、雲頂が対流圏界面に達することが多い
  • (d)冬型の気圧配置のとき、日本海に発生する筋状の対流雲の大陸からの離岸距離は、海面水温や風速などの他の条件が同じならば、大陸から流れ込む大気の下層の気温が低いほど短い。
  • (a)高緯度に位置するシベリア地方の気温は冬に向かってどんどん低下していきます。すると、冷たい空気は重いため地表付近にたまるようになります。シベリア高気圧は、このようにして冷たい空気がたまってできた背の低い高気圧なのです。 よって、
  • (b)日本海寒帯気団収束帯 (JPCZ) が発生するとき、上空には強い寒気が流入しており、850hPa面の気温分布は、この収束帯に沿って周辺より「低温」ではなく「高温」となっていることが多い。 JPCZに沿って持続的に発達した対流雲が形成され、強い降水に伴って多量の凝結熱が発生し、対流混合によって上空へ運ばれることから、850hPa面では収束帯に沿って周囲より高温となり、気温の尾根(=等圧線が「くの字」にくぼむ)が形成されます。よって、
  • (c)上空の高気圧性の沈降流によって逆転層(安定層)が形成されるため、雲頂が対流圏界面に達することが「多い」ではなくほとんどありません。よって、
  • (d) 冬型の気圧配置のとき、この離岸距離が短いほど、大陸から流れ込む大気の下層の気温が低いことを示しています。よって、
(a)について シベリア高気圧は、冷たい空気がたまってできた背の低い高気圧なのです。

(b)について  

等圧線が「くの字」にくぼんでいるのは、温度傾度が大きいということ=周囲より気温が高いことを表している。

(c)について 冬型の気圧配置のとき、大陸から吹き出す寒冷で乾燥した空気が、日本海を通る際に、大量の顕熱と水蒸気を取り込むことで、気団変質が生じ、筋状の対流雲が発生します。このとき、日本海はシベリア高気圧の影響下にあることが多く、高気圧性の沈降流によって、上空では逆転層(安定層)が形成されます。

その結果、大陸からの寒気の吹き出しにより形成される筋状の対流雲の発達は、地表から高度約3km程度までで抑えられるため、雲頂が対流圏界面に達することはほとんどありません

【第62回】2024年8月試験(学科専門試験)問10(冬の日本周辺の気象現象)

(d)について 

【第62回】2024年8月試験(学科専門試験)問10(冬の日本周辺の気象現象) 離岸距離が短いほど、大陸から流れ込む大気の下層の気温が低い

正解は⑤

63回 問10 台風の特徴  壁雲の形成 海面水温の低下 台風構造の維持

問10 台風の一般的な特徴について述べた次の文(a)~(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の1~5の中から1つ選べ。

  • (a)台風の中心に近い領域の下層では、地表面摩擦の影響により中心に向かって吹き込む気流が生じその収束による上昇流が複数の積乱雲を組織化して、眼の壁雲を形成している。
  • (b)一般的に海面水温が高いほど台風は発達しやすいが、海面付近のごく薄い層のみで海水温が高い場合、台風の強風による海水の混合や湧昇の影響で海面水温が低下し、台風の発達は抑制される傾向がある。
  • (c)台風は、海水温が高く十分な熱と水蒸気を台風に供給できる環境が整っていれば、北上して傾圧性が大きな中緯度帯まで進入しても軸対称の構造を維持したまま発達することができる
  • (a) 本文の通り。よって、
  • (b) 本文の通りよって、「正」
  • (c) 水平温度傾度が大きな(傾圧性の大きな)中緯度まで北上すると、冷たい空気と接することになり温帯低気圧化が始まります。よって、

正解は②

コメント

  1. 金太郎パパ より:

    はい。はぃ。
    すごいペースで進んでいますね。
    がんばってくださいね。

    以下略となります。