専門過去問 問15 52回~63回 更新完了

めざせ気象予報士専門分野

52s15 月平均500hPa高度の平年差・月平均海面気圧の平年差

問15 図Aは,ある年の1月の平均500hPa高度(実線)とその平年差(塗りつぶし)であり,図Bは,同じ月の平均海面気圧(実線)とその平年差(塗りつぶし)である。このような図のパターンが現れたときの天候の特徴について述べた次の文(a)~(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを,下記の1~5の中から一つ選べ。

  • (a)東日本太平洋側では,平年に比べ降水量が多くなりやすい。
  • (b)西日本では,平年より気温が低くなりやすい。
  • (c)沖縄·奄美では,平年に比べて晴れの日が多くなりやすい。
月平均500hPa高度と平年差」の見方

500hPa高度は、大気の流れや気象パターンを把握するために重要です。「平年差」とは、観測された値と過去の平均値(平年値)との差を示します。

実線(等高度線): 500hPa高度そのものを示します。線が密集している部分は風が強く、間隔が広い部分は風が弱いことを意味します。

塗りつぶし(平年差): 平年値との差を色で表現します。例えば、赤系の色は平年より高度が高い(正偏差)青系の色は平年より低い(負偏差)ことを示します。

これを読むことで、大気の流れや異常気象の兆候を把握できます。例えば、正偏差が広がっている場合は高気圧の影響が強く、負偏差が広がっている場合は低気圧の影響が強いと考えられます。
  • (a)図Aで、日本付近は負偏差域で覆われている。これは平年よりも500hPa高度が低いことを表している。つまり、平年よりも層厚が小さい。よって平年よりも気温が低い傾向になる。図Bではユーラシア大陸では正偏差が大きいことからシベリア高気圧が強い。北太平洋にある低気圧の負偏差が大きいため、西高東低の冬型の気圧配置が平年よりも強い傾向にあると読み取る。よって
  • (b)図Aで、日本付近は負偏差域で覆われている。西日本付近でも強い負偏差域にあるので平年よりも気温が低くなりやすいと判断できる。よって
  • (c)沖縄·奄美では,図Bから「月平均海面気圧と平年差が正偏差」これは、平年より気温が高いことを表している。 よって
  • 正解は⑤

53s15 月平均500hPa高度の平年差・月平均海面気圧の平年差

問15 図Aは,ある年の2月の月平均500hPa高度(実線)と平年差(塗りつぶし)であり,図Bは,月平均海面気圧(実線)と平年差(塗りつぶし)である。これらの図から読み取れる大気と海洋の特徴について述べた次の文章の空欄(a)~(c)に入る語句の組み合わせとして正しいものを,下記の1~5の中から1つ選べ。

図Aでは,アリューシャン列島の東で正偏差,北米北部で負偏差,北米南東部で正偏差の波列パターンがみられる。これは,(a)が発生しているときに現れやすいパターンである。また,ヨーロッパから極東域にかけては,ヨーロッパ付近で負偏差,西シベリアから中央シベリアにかけて正偏差,極東域で負偏差の波列パターンがみられ,これは(b)と呼ばれる。
図Bでは,地上のアリューシャン低気圧の勢力は中心の東側で平年よりも(c)なっており,(a)が発生しているときの特徴がみられる。

赤系の色は平年より高度が高い(正偏差)青系の色は平年より低い(負偏差):テレコネクションパターン太平洋北米パターンは、太平洋と北米を結ぶ波列構造で、エルニーニョ現象・ラニーニャ現象に関連することが多いです。北米の気温や降水量に影響を与えます。

  • (a)アリューシャン列島の東で正偏差,北米北部で負偏差,北米南東部で正偏差の波列パターンラニーニャ現象と覚えるしかないかもしれませんかね。
  • (b)ヨーロッパ付近で負偏差正偏差が出てきたら、「ユーラシアパターン
  • (c)低気圧の勢力は中心の東側で暖色になっていることから平年よりも気圧が高くなっている、なのでアリューシャン低気圧の東側では平年よりも勢力が「弱い」よって「弱い」
(a)に関して
長期予報《第53回試験・専門・問15》 (考察編) | 気象予報士 瀬戸信行の 「てるてる風雲録」に定常ロスビー波が伝播するためとあります。同類の問題が、62回問15に出題されています。こちらはアリューシャン列島の東で負偏差となっていてエルニーニョ現象が発生となっています。
アリューシャン列島の東で正偏差=平年よりも500hPa高度が高い=高気圧の影響が強
「ラニーニャ現象」=正偏差=冷たい海水と高い空気(高気圧)
ラニーニャ現象が発生すると、太平洋赤道域東側の海面水温が低下し、上昇気流が弱まるため、アリューシャン列島東側で高気圧が強まりやすくなる。これが500hPa高度で正偏差として現れる。

具体的な覚え方(Copilot先生から):海水温低下の波紋: 赤道域で海水温が下がると波紋が広がり、北方では空気が盛り上がる(正偏差)
「冷たさが高気圧を引き寄せる」と連想することで、ラニーニャと高気圧、正偏差の関係を思い出しやすくなる。

エルニーニョ現象」=負偏差=暖かい海水と低い空気(低気圧)
さらに、「冷たい海水が空気を引き上げ、アリューシャン列島で500hPa高度が上がる」というストーリーで流れを覚えると、関連性を視覚化しやすいですよ。

ここで、エルニーニョ現象ラニーニャ現象の再確認をしましょう。

平常時

ペル-沖の海水温が平常。東風(貿易風)で暖かい海水が西に流され、西部太平洋に暖水がたまり、降水が起こる。ペルー沖の湧昇流が発生し、海面水温は低め

エルニーニョ現象時

ペル-沖の海水温が異常に高くなる。東風(貿易風)が弱まり、ペルー沖の湧昇流が止まる。暖水は中部太平洋に移動し、西部太平洋の降水が減少し干ばつや冷夏をもたらす。

ラニーニャ現象時

ペル-沖の海水温が低くなる(冷湧昇流が強まる)。東風(貿易風)が強まり、西部太平洋で積乱雲が活発化する。日本は、猛暑・暖冬になりやすい。

ここは、ある意味専門の重要項目かもしれませんね。

正解は

54s15 7月上旬の旬平均の500hPa高度と平年差

問15 図はある年の7月上旬の旬平均の500hPa高度と平年差である。このときの天候について述べた次の文(a)~(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを,下記の1~5の中から1つ選べ。

  • (a)北日本では,平年より気温が高かった。
  • (b)北·東日本では,太平洋側を中心に平年より日照時間が多かった。
  • (c)沖縄·奄美では,平年より日照時間が多く気温が高かった。
  • (a)北日本の太平洋側で負偏差ということは、平年より500hPaの高度が低いことを表している。これは、平年より500hPaと海面との間の層厚が薄いことを意味するので気温が低いことになる。よって、
  • (b)北海道の東の領域に南に「H」マークはないが蛇行した正偏差領域がある。この高気圧をブロッキング高気圧という。ブロッキング現象が発生し、北・東日本の太平洋側へ冷たく湿った北東風が持続的に流れ込んだと判断する。よって、
  • (c)正偏差「H」が示されて太平洋高気圧に覆われていると判断する。って、
オホーツク海高気圧は、オホーツク海や千島近海を中心に形成される冷涼で湿潤な高気圧です。主に春の後半から夏にかけて発生し、日本の気候に大きな影響を与えます。

主な特徴
1 冷涼で湿潤な性質: オホーツク海高気圧は、冷たい親潮の影響を受けて冷涼で湿った空気を含みます。このため、北海道や東北地方の太平洋側では気温が下がり、曇りや雨の日が増える傾向があります。

2 梅雨前線との関係: 夏には太平洋高気圧とぶつかり、梅雨前線を形成します。この前線が停滞すると、長期間にわたり曇天や雨が続くことがあります。

3 冷害の原因: 特に冷夏の年には、オホーツク海高気圧が長期間居座ることで、低温や日照不足が発生し、農作物に影響を与えることがあります。

4 発生要因: 冷たい海水や偏西風の蛇行が高気圧の発生を助けます。特に夏のシベリアの高温とオホーツク海の低温の対比が重要な要因です。

太平洋高気圧は、北緯30度付近の亜熱帯高圧帯に位置する広大な高気圧で、日本の夏の天候に大きな影響を与えます。以下にその主な特徴をまとめます:

主な特徴
1 温暖で湿潤な性質: 太平洋高気圧は、暖かく湿った空気を含むため、日本の夏を蒸し暑くします。この高気圧の一部である小笠原高気圧が特に日本付近に影響を及ぼします。

2 夏季に勢力を強める: 太平洋高気圧は、夏に最盛期を迎え、日本列島に張り出して高温多湿な気候をもたらします。

3 下降気流の影響: 高気圧内では下降気流が発生し、晴天が続きやすいです。ただし、周辺部では湿った空気が流れ込み、雷雨や豪雨が発生することもあります。

4 梅雨明けのサイン: 太平洋高気圧が日本列島を覆うようになると、梅雨が明けて本格的な夏が始まります。

地球規模の大気循環の一部: 太平洋高気圧は、地球規模の大気循環(ハドレー循環)の一環として形成されます。赤道付近で上昇した空気が北緯30度付近で下降し、高気圧を形成します。

正解は

55s15 12月の大気の循環場

問15図A~Cは,ある年の12月の大気の循環場を表した図である。これらの図について述べた次の文章の下線部(a)~(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを,下記の1~5の中から1つ選べ。

図Aでは,太平洋赤道域中部は外向き長波放射量 OLR が正偏差で対流が不活発,インドネシア周辺は OLR が負偏差で対流が活発となっており,(a)エルニーニョ現象時の特徴がみられている。図Aの OLR の分布に対応して,図Bでは,200hPaの大気の流れはインドシナ半島から中国付近で高気圧性循環の偏差となっており,日本付近から日本の東海上で低気圧性循環の偏差となっている。これは,(b)亜熱帯ジェット気流が日本付近で平年に比べ北に大きく蛇行していることに対応している。図Cでは,500hPa高度がシベリア北部で正偏差,日本付近で負偏差となっている。これは,(c)寒帯前線ジェット気流の蛇行により日本付近に寒気が南下しやすいことに対応している。

  • (a)外向き長波放射量(OLR)インドネシア周辺はOLR が負偏差で対流が活発よって雲頂高度の高い=OLRが少ない。つまり、エルニーニョ現象ではない。よって、
  • (b)図B「月平均200hPa流線関数と平年差」で、200hPaの大気の流れはインドシナ半島から中国付近で高気圧性循環の偏差となっており、日本付近から日本の東海上で低気圧性循環の偏差となっている。」とあります。図Bで、インドシナ半島や中国付近が特に赤色が濃いことから、平年差の赤色が濃いほど高気圧性循環の偏差が大きく、逆に南西諸島を除く日本付近から日本の東海上では青色が濃いことから、平年差の青色が濃いほど低気圧性循環の偏差が大きいことがわかります。ここで図Bにおいては亜熱帯ジェット気流の流れがどうなっているかですが、日本付近が低気圧性循環に偏差が大きいことから南に蛇行していることがわかり、これも「ラニーニャ現象時」の特徴になります。よって、
  • (c)図Cで、「シベリア北部で正偏差」とは500hPaの等圧面高度が平年値より高いことから、シベリア北部では高温傾向であること。「日本付近が負偏差」とは、平年値より500hPaの等圧面高度が低く日本付近では低温傾向であること。を表現している。(b)との関連も含め、寒帯前線ジェット気流の蛇行により日本付近に寒気が南下しやすいことを示すと考えられる。よって、

(b)のイメージ

外向き長波放射量(OLR:Outgoing Longwave Radiation)」とは、宇宙に向かって放射される赤外線の強さです。
地表面雲頂の温度が高いほど、エネルギー量は多くなります。
活発な積乱雲は雲頂が高く、温度が低いので、赤外線のエネルギー量は少なくなります。

図A では,太平洋赤道域中部は外向き長波放射量OLR が正偏差で対流が不活発,「インドネシア周辺はOLR が負偏差で対流が活発となっており,降水が多い」と考えられる。

エルニーニョ現象発生時には、インドネシア周辺対流は不活発になるので、この状況(a)はエルニーニョ現象とは考えられない。

正解は

56s15 1月の月平均500hPa高度と平年偏差

問15 図A,B,Cは異なる年の1月の月平均500hPa高度と平年偏差である。これらの図における大規模な大気循環と日本の天候の関係について述べた次の文(a)~(c)の下線部の正誤の組み合わせとして正しいものを,下記の1~5の中から1つ選べ。

  • (a)図Aでは,極域が正偏差で極渦が弱く,東アジアから北西大西洋にかけての中緯度ではほとんど負偏差となっている。このような偏差パターンは負の北極振動と呼ばれ,これが卓越するときは,日本付近では低温となりやすい。
  • (b)図Bでは,ヨーロッパに負偏差,東経90度付近に正偏差,極東域に負偏差と,ユーラシア大陸を中心とする領域に,偏差パターンが見られる。このような偏差パターンは正のユーラシアパターンと呼ばれ,これが卓越するときは,日本付近では高温となりやすい。
  • (c)図Cでは,日本付近で亜熱帯ジェット気流が平年より北側に偏って流れている。このようなパターンが卓越するときは,降水量(雪を含む)が日本海側で多くなりやすく,太平洋側で少なくなりやすい。
  • (a)月平均500hPa高度と平年偏差で負偏差ということは、その領域の層厚が薄く気温が低いことを表している。よって、
  • (b)図Bでは,日本周辺が負偏差になっているので、その領域の層厚が薄く気温が低いことがわかる。一般的に、ユーラシアパターンで西シベリアが正偏差の場合、日本周辺差は負偏差になる。よって、
  • (c)亜熱帯ジェットが北よりとは、寒気の流れ込みが弱いことを表している。よって、日本海側への吹き込みが弱く、日本海側での降水量は少ない。よって、
「北極振動(AO: Arctic Oscillation)」とは、北緯60°を境にしてその南北の領域において、高気圧と低気圧とで逆の関係になる現象のことをいいます。

図Aですと、北緯60°以北の北極域で高気圧が見られる場合、逆に北緯60°以南の中緯度域で低気圧が見られるという関係となり、この場合を「負の北極振動(AOマイナス)」、またこの逆で北緯60°以北の北極域で低気圧が見られる場合、逆に北緯60°以南の中緯度域で高気圧が見られるという関係となり、この場合を「正の北極振動(AOプラス)」とよんでいます。

正解は

57s15 観測された日本の天候と月平均海面気圧と平年偏差

問15 図A~Cは3つの異なる年の8月に観測された日本の天候(月平均気温平年差(上),月降水量平年比(中),月日照時間平年比(下))を示しており,図ア~ウはそれぞれ図A~Cのいずれかに対応する月平均海面気圧(実線)と平年偏差(陰影)を示している。図A~Cと図ア~ウの組み合わせとして正しいものを,下記の1~5の中から1つ選べ。

  • (a)図Aに着目し特徴を見る。北日本で低温かつ降水量が多く日照が少ない。よって、対応するのは図ウとなる。個人的には、図アと迷うが、図ウのほうが北日本の負偏差(気温が低い)の領域が多いので図ウと判断する。
  • (b)図Bに着目すると、北日本で高温かつ降水量が比較的多く日照が並と見る。図アと図イの比較だが、日本付近がほぼ太平洋高気圧に覆われているので図アが対応する。
  • (c)図Cに着目すると、全国的に気温が低いので、図イが対応する。

正解は④

58s15 夏のモンスーン期(6~9月)におけるアジア域の対流圏上·下層の大気循環を200hPa及び850hPaの流線関数の平年値

問15 図は夏のモンスーン期(6~9月)におけるアジア域の対流圏上·下層の大気循環を200hPa(左)及び850hPa(右)の流線関数の平年値で表したものである。この図を参照し、アジア域における夏の大気循環について述べた次の文(a)~(c)の下線部の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の1~5の中から1つ選べ。なお、風の回転成分(非発散成分)は、流線関数の大きい値を右側に見て等値線と平行に吹く

  • (a)この時期、領域(ア)を中心に対流圏上層に大きな高気圧性循環が現れる。この循環はチベット高気圧と呼ばれ、チベット高原では夏でも積雪が残り周辺より低温のために出現する
  • (b)領域(イ)では、海面水温が28℃を超えるとともに、対流圏では上·下層とも西よりの風が吹いており、水平風の鉛直シアーが弱いため、熱帯低気圧の発生·発達に適した環境となっている
  • (c)領域(ウ)は海面水温が高く、下層ではモンスーンの南西風と太平洋高気圧の南縁を吹く偏東風の収束域となるため対流雲が盛んに発生する。この領域における対流活動は、日本の夏の天候に関係し、平年より活発なときには日本付近では高温になりやすい
  • (a)「200hPa及び850hPaの流線関数の平年値の読み方」青色が濃くなるほど負の値で反時計回りの流れ、赤色が濃くなるほど正の値で時計回りの流れ。チベット高原では正の値で時計回りの流れなので、気温が高くなる。よって、
  • (b)問題文に「風の回転成分(非発散成分)は、流線関数の大きい値を右側に見て等値線と平行に吹く」とある。それで考えると200hPaでは、領域(ア)に対応する部分で東風が吹き。850hPaでは、西風が吹いている。なので「上·下層とも西よりの風が吹いており」が誤り。よって、
  • (c)問題文の「太平洋高気圧の南縁を吹く偏東風との収束域」から考えると、高気圧性循環が予想され、文意に沿う。よって、

正解は④

59s15 8月の月平均海面気圧と平年偏差

問15 図1はある年の6月から9月にかけてのフィリピン付近の外向き長波放射量の変動を示し、図2はこの年を含む2つの異なる年の8月の月平均海面気圧と平年偏差を示したものである。これに関連する日本の天候について述べた次の文章の空欄(a)~(d)に当てはまる語句や記号の組み合わせとして適切なものを、下記の1~5の中から1つ選べ。

この年の7月のフィリピン付近の対流活動は平年より(a)だったが、8月に入ると一転して(b)となった。フィリピン付近の対流活動は日本付近への太平洋高気圧の張り出しに影響することが知られており、この年の8月の海面気圧分布は図2の(ア)(イ)のうち、(c)で、東·西日本では平年と比べて(d)天候となった。

  • (a)図1の7月1日から8月1日の間の部分に着目しますと、7月は破線で示されている平年に比べて概ね外向き長波放射量が小さいことがわかります。すなわち、対流活動は活発
  • (b)「8月に入ると一転して(b)となった。」と記され、外向き長波放射量が大きいので対流活動は不活発
  • (c)問題文「フィリピン付近の対流活動は日本付近への太平洋高気圧の張り出しに影響することが知られており」と8月対流活動不活発の2つのことから、「太平洋高気圧の張り出し」の弱い図を選択する。それは、図(ア)である。
  • (d)(c)の考察で日本付近では太平洋高気圧の張り出しが弱い傾向であることがわかりましたので、(d)は曇りや雨の日が多い
「外向き長波放射量(OLR)」の概要
地球の大気上端から宇宙空間へ出ていく長波放射(地球放射)、これを「外向き長波放射」と呼ぶ。

対流活動が活発な地域では、それにより発達する対流雲の雲頂高度が高く、雲頂温度が低いために外向き長波放射量は小さくなる。

対流活動が不活発な地域(晴天域)では、地表面や海水面から出された赤外線を観測することになり、外向き長波放射量は大きくなる。

よって、外向き長波放射量(OLR)の平均偏差が大きい=対流活動不活発、小さい=対流活動活

正解は⑤

60s15 1月中旬における、対流圏上層のある気圧面の10日平均の高度とその平年偏差

問15 図1はある年の1月中旬における、対流圏上層のある気圧面の10日平均の高度とその平年偏差を示し、図2のア~ウの内の1つは同じ期間の10日平均海面気圧と平年偏差を示している。これらの図に基づき、北半球の冬季の大気循環について述べた次の文章の空欄(a)~(c)に入る語句の組み合わせとして正しいものを、下記の1~5の中から1つ選べ。

ジェット気流のうち、高緯度側に位置し(a)hPa高度付近に中心をもつものが寒帯前線ジェット気流である。その強弱の変動は北極振動と関係しており、北極振動が負の位相(海面気圧が北極域で平年より高く、中緯度域で平年より低い)のときには(b)傾向がある。ユーラシア大陸上で寒帯前線ジェット気流が大きく蛇行すると、これに伴ってシベリア高気圧が変動し、日本の天候に大きく影響する。たとえば、図1のような蛇行が起きているときには図2の(c)のような海面気圧分布が見られる。

  • (a)寒帯前線ジェット気流の出現高度は300hPa付近(高度約10km付近)に対し、亜熱帯ジェット気流の出現高度は200hPa付近(高度約12km付近)において風速が極大…これは、知識 300
  • (b)北極振動が負の場合、寒帯ジェット気流が弱まる。
  • (c)
北極振動とは何か

極側を北極域、赤道側を中緯度に分けた場合、北極域で気圧の負偏差が見られれば中緯度では気圧の正偏差が見られ、北極域が気圧の正偏差が見られれば、中緯度で気圧の負偏差が見られるという傾向がある。

このように、北緯60°を挟んだ南北の領域において気圧が逆相関を持つ関係が見られる現象のことを「北極振動(Arctic Oscillation)」と呼ぶ。

正(+)の北極振動: 北極域の気圧が平年より低く中緯度の気圧が平年より高い状態。この場合、寒帯ジェット気流が強まり、寒気の南下が抑えられるため、中緯度地域では温暖な傾向が見られます。北極(気圧低)=ジェット強=中緯度暖

負(-)の北極振動: 北極域の気圧が平年より高く、中緯度の気圧が平年より低い状態を指します。この場合、寒帯ジェット気流が弱まり、寒気が南下しやすくなるため、中緯度地域では寒冷な傾向が見られます

正解は①

61s15 冬(12月~2月)の数値予報による予想図から

問15 図A~Cは、3か月予報の基礎資料となる、ある冬(12月~2月)の数値予報による予想図である。図Aは海面水温の平年偏差、図Bは200hPa流線関数の平年偏差、図Cは500hPa高度及び平年偏差の予想図である。これらの図に基づく予想について述べた次の文章の下線部(a)~(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の1~5の中から1つ選べ。

図Aでは、太平洋赤道域の中部から東部の海面水温が(a)平年より高く、エルニーニョ現象発生時に見られる特徴が予想されている。また、インドネシア付近からインド洋東部にかけては平年並みかやや低い予想となっている。図Aの海面水温分布に対応して、インドネシア付近からインド洋東部にかけては降水量が平年より少ない予想(図略)であり、このことが影響して、図Bでは、中国大陸から日本付近にかけての流れは、平年に比べて(b)中国大陸では北に、その東側では南に蛇行する予想となっている図Cでは、(c)日本付近は正偏差に覆われており、平年に比べて寒気が南下しにくいことが予想されている

  • (a)図Aでは、太平洋赤道域かの中部から東部の海面水温が(a)平年より高く、エルニーニョ現象発生時に見られる特徴が予想されている。よって、
  • (b)問題文中の※に「流線関数と風の関係:風は流線関数の等値線に概ね平行に、数値が小さい側を左に見る向きに吹く。」に従えば、偏西風は反時計回りに向くはずである。よって、
  • (c)暖色で示された正偏差域に覆われていることから、平均気温が高いと予想されており、平年と比べて寒気が南下しにくいと考えられる。よって、

正解は②

62s15 2月の月平均500hPa高度と平年偏差

問15 図Aは、ある年の2月の月平均500hPa高度(実線)と平年偏差(陰影)であり、図Bは、同じ月の月平均海面気圧(実線)と平年偏差(陰影)である。これらの図から読み取れる大気と海洋の特徴について述べた次の文章の空欄(a)~(c)に入る語句の組み合わせとして適切なものを、下記の1~5の中から1つ選べ。

図Aでは、アリューシャン列島の東で負偏差北米北部で正偏差、北米南部から北大西洋にかけて負偏差の波列パターンがみられる。これは、(a)が発生しているときに現れやすいパターンである。また、ヨーロッパから極東域にかけては、ヨーロッパ付近で正偏差、ロシア西部で負偏差、東アジアで正偏差の波列パターンがみられ、これは(b)と呼ばれる。
図Bでは、地上のアリューシャン低気圧の勢力は平年よりも東側で(c)なっており、(a)が発生しているときの特徴がみられる。

  • (a)あえて、図bで考えてみます。アリューシャン列島の東で海水面気圧が低い、つまり低気圧と考える。53回問15の考察から、エルニーニョ現象時は低気圧で不偏差…図Aの不偏差と一致する。
  • (b)ヨーロッパ付近で正偏差ときたら、ユーラシアパターン
  • (c)気圧が低いので低気圧性が強いと判断する。
「PNAパターン」と「エルニーニョ現象」の関連

大気循環の変化: エルニーニョ現象による熱帯太平洋の海面水温の変化が、ロスビー波を通じて中緯度地域の大気循環に影響を与え、PNAパターンの発現頻度や強度を変化させることがあります。

エルニーニョ現象により、中・東部太平洋での海面水温が高くなり、対流活動が活発になり、水蒸気が凝結することによって生じた凝結熱により定常ロスビー波が伝播するため。

正解は①

63s15 日本の季節予報に関連する大気の大規模な現象

問15 日本の季節予報に関連する大気の大規模な現象について述べた次の文(a)~(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の1~5の中から1つ選べ。

  • (a)冬季の極東域の500hPa 等圧面高度場において、偏差パターンが北極を中心とする同心円状で北極域が平年より高度が高く中緯度域が平年より高度が低いときには、中緯度帯への寒気の流れ込みが弱く日本は暖冬になりやすい。
  • (b)冬季の地上気圧場において、アリューシャン近海付近で平年より気圧が高く、シベリア付近で平年より気圧が低い時には、日本付近への寒気の流れ込みが強く日本は寒冬になりやすい。
  • (c)夏季にフィリピン付近で積雲対流活動が活発な時には、太平洋高気圧の本州付近への張り出しが弱く北日本から西日本は冷夏になりやすい。
  • (d)夏季の500hPa 等圧面高度場において、沿海州やオホーツク海の上空にブロッキング高気圧が現れるときには、地上天気図にオホーツク海高気圧が現れやすく、北日本は太平洋側を中心に冷夏になりやすい。
  • (a)極域が平年より高度が高いが、中緯度域が平年より高度が低い=層厚が低い=気温が平年より低い。従って日本には、寒気が流れ込み寒冬となる。よって、
  • (b)東側のアリューシャン近海付近が高圧、西側のシベリア付近が低圧。西高東低ではなく西低東高の二つの位置関係で偏西風は弱まる。よって、寒冬にはならない。
  • (c)夏季にフィリピン付近で積雲対流活動が活発な時、日本付近は下降流域となり太平洋高気圧の張り出しが強くなる猛暑となる傾向となります。よって、
  • (d)北日本は太平洋側を中心に冷夏になりやすい。  下記参照
夏のオホーツク海高気圧は、オホーツク海や千島近海を中心に形成される冷涼で湿潤な高気圧で、日本の気候に大きな影響を与えます。以下にその主な特徴をまとめます。

主な特徴
1. **冷涼で湿潤な性質**: 冷たい親潮の影響を受けて冷涼で湿った空気を含みます。このため、北海道や東北地方の太平洋側では気温が下がり、曇りや雨の日が増える傾向があります

2. **梅雨前線との関係**: 夏には太平洋高気圧とぶつかり、梅雨前線を形成します。この前線が停滞すると、長期間にわたり曇天や雨が続くことがあります.

3. **冷害の原因**: 特に冷夏の年には、オホーツク海高気圧が長期間居座ることで、低温や日照不足が発生し、農作物に影響を与えることがあります.

4. **発生要因**: 冷たい海水や偏西風の蛇行が高気圧の発生を助けます。特に夏のシベリアの高温とオホーツク海の低温の対比が重要な要因です.

この高気圧は、冷夏や冷害の原因となることがあるため、気象学的にも注目されています。さらに詳しい情報が必要であれば教えてください!一緒に探してみましょう。

正解は⑤

コメント

  1. 金太郎パパ より:

    なぜか色刷りの図になりましたね。
    これって、必要だからですよね。

    色の違いで何を読み取らせようとしているかですね。