過去問専門 問3(63~52回)

63回 問3 二重偏波気象ドップラーレーダー 降水の観測

問3 気象庁の二重偏波気象ドップラーレーダーによる降水の観測について述べた次の文章の下線部(a)~(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の1~5の中から1つ選べ。

二重偏波気象ドップラーレーダーは、水平方向と垂直方向の2つの異なる振動面をもつ電波(それぞれ水平偏波、垂直偏波という)を送受信することで、従来の気象ドップラーレーダーよりも多くの情報を取得可能な観測装置である。
レーダーから送信された電波が反射されてから戻ってくるまでの経路上に強い降水がある場合には、それより遠方の降水については、(a)電波が減衰してしまい実際の降水よりも弱いエコーが観測されることがある。電波は雨粒のある空気中を進むとき、雨粒がない空気中と比べて伝搬速度が少し遅くなる性質がある。また、雨粒は大きいほど空気抵抗を受けて扁平になるが、氷粒子は扁平にはならない。
二重偏波気象ドップラーレーダーでは、このような電波や雨粒の特徴を踏まえて、(b)水平偏波と垂直偏波の反射波の位相差を用いることにより、雨の強さを従来の気象ドップラーレーダーより正確に推定することが可能である。さらに、降水粒子は種別によって形状が異なるので、(c)水平偏波と垂直偏波の反射波の振幅の比から降水粒子の形や種別を推定することが可能である。

  • (a)本文のとおり。よって、「正」
  • (b)本文のとおり。よって、「正」
  • (c)二重偏波気象ドップラーレーダーでは、水平偏波と垂直偏波の反射波の振幅の比から降水粒子の形や種別を推定することが可能である。よって、「正」

正解は①

62回 問3 気象レーダー観測 雨の強さ

問3 気象庁が行っている気象レーダー観測について述べた次の文(a)~(d)の下線部の正誤について、下記の1~5の中から正しいものを1つ選べ。

  • (a)気象レーダーは、発射した電波と戻ってきた電波の周波数がずれること(ドップラー効果)を利用して降水強度を観測している。
  • (b)電波が発射されてから反射されて戻ってくるまでの経路上に強い降水がある場合、それより遠方の降水からのエコーは実際よりも強く観測される傾向がある。
  • (c)気象レーダーで観測される異常伝搬に伴うエコーは、観測データの品質管理によって完全に取り除くことができる。
  • (d)二重偏波化したレーダーでは、水平偏波と垂直偏波の反射波の振幅の比から、雨の強さを推定している。

  • (a)ドップラー効果を利用して得られる情報は降水強度ではなく、降水域の動き(大気の流れ)ですので下線部の内容は誤りとなります。よって、「誤」
  • (b)電波が反射されてアンテナまで戻ってくる経路の途中に強い降水域がありますと、電波が降水粒子の散乱により減衰を受けるため強い降水域より遠方にある降水は通常よりも弱く観測される傾向があります。よって、「誤」
  • (c)異常伝搬に伴うエコーは、電波を用いた観測の特性上避けられないもので、データの品質管理において完全に取り除くことはできません。よって、「誤」
  • (d)反射波の振幅の比から降水粒子の形や種別を推定し、水平偏波と垂直偏波の反射波の位相の違いから、雨の強さを推定している。よって、「誤」

正解は⑤

61回 問3 電波や光を利用した観測機器

問3 気象庁で使用している電波や光を利用した観測機器(a)~(c)と、これらを用いて行う観測の対象ア~オの組み合わせとして最も適切なものを、下記の1~5の中から1つ選べ。


  • (a)ブリューワー分光光度計は、上空のオゾン量を測定します。よって、ア
  • (b)ドップラーレーダーは、降水強度の分布、降水域における風の分布を観測します。よって、ウ
  • (c)空港気象ドップラーライダーは、降水粒子よりも小さいエーロゾルの動きを捉えることにより、降水を伴っていないときでも上空の風を観測する機器になりますので、観測対象の中から、「非降水時の風の分布や低層ウィンドシアー」が適切と判断され、エ よって、エ

正解は

60回 問3 ラジオゾンデを用いた高層気象観測

問3 気象庁が行っているラジオゾンデを用いた高層気象観測について述べた次の文(a)~(d)の正誤について、下記の1~5の中から正しいものを1つ選べ。

  • (a)GPS ゾンデによる観測では、GPS 信号から得られた情報やゾンデ本体のセンサーで観測した気温と湿度を用いて、気圧値を求めている。
  • (b) GPSゾンデによる観測では、GPS信号から得られた情報を用いて、上空の風向·風速を求めている。
  • (c)昼間の観測では、日射の影響により温度計センサーが大気の温度より高い値を示すことがあるため、温度計センサーの値に日射の影響を補正して気温の値としている。
  • (d)ラジオゾンデ観測で得られた観測データにおいて、気温や湿度、風の鉛直分布の特徴を再現できるように選択された上空の観測点のことを「特異点」という。

  • (a)本文のとおり。よって、「正」
  • (b)本文のとおり。よって、「正」
  • (c)本文のとおり。よって、「正」
  • (d)本文のとおり。よって、「正」

正解は

59回 問3 ウィンドプロファイラ観測について

問3 気象庁が行っているウィンドプロファイラ観測について述べた次の文(a)~(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の1~5の中から1つ選べ。

  • (a)ウィンドプロファイラの観測局から上空の5方向に向けて電波を発射し、大気中の風の乱れなどによって散乱され戻ってくる電波の周波数のずれから、上空の風向·風速を測定している
  • (b)ウィンドプロファイラで温暖前線の通過を観測すると、地表付近に南よりの風が入り始め、時間とともにその層が上空に向かって厚くなる様子を捉えることができる。
  • (c)雨が降っている場合、大気による電波の散乱よりも雨粒による散乱の方が強いため、ウィンドプロファイラの観測したデータは雨粒の動きを捉えたものとなる。
  • (a)本文のとおり。よって、「正」
  • (b)前線が通過した時点で全層が南よりの風となるので よって、「誤」
  • (c)本文のとおり。よって、「正」
復習しよう!ウィンドプロファイラ【第59回-専門-問3 気象予報士試験の解説】|気象予報士ユキ

正解は

58回 問3 台風のウィンドプロファイラ観測

問3 図ア~エは、ある台風が本州に上陸した際に高田、仙台、酒田、宮古のウィンドプロファイラで観測した高層風の3時から12時の時系列図である。この台風の経路図として適切なものは図(a)~(e)のうちどれか、下記の1~5の中から正しいものを1つ選べ。
なお、経路図の△は3時の位置、■は12時の位量·12時の位置を示す。

  • ア 高田のウィンドプロファイラ3時に着目する。西寄りの風が続いているので、台風は東にある。ここから、(d)(e)は除外できる。
  • イ 仙台のウィンドプロファイラ3時から7時に着目する。北寄りの風なので、台風は仙台より東にある。(a))が除外できる。残るのは、(c) よって、③
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正解は

57回 問3 気象レーダー観測 異常伝搬 グランドクラッタ 

問3 気象庁が行っている気象レーダー観測およびそのデータの利用について述べた次の文(a)~(d)の正誤について,下記の1~5の中から正しいものを1つ選べ。

  • (a)気象レーダーの発する電波は大気の屈折率の分布状態に応じて曲げられ,通常の伝搬経路から大きく外れることがあり,降水の全くないところに強いエコーが現われる場合がある。
  • (b)山岳や地表の構造物などに電波が当たって反射され,降水のないところに強いエコーが現れることがあるが,地形のように動かないものが原因のグランドクラッタについては,降水エコーと区別して取り除く処理が行われている。
  • (c)気象レーダーで降水エコーが観測されていても,降水粒子が落下途中で蒸発して地上まで到達せず,直下の地上では降水が観測されないことがある。
  • (d)気象レーダーでは,電波が発射されてから反射されて戻ってくるまでの経路上に強い降水がある場合,その場所で電波が減衰してしまい,それより遠方では実際の降水よりも弱く観測されることがある。

  • (a)気温の逆転層や、乾燥域の存在などの気象条件により屈折率が大きく変化する層が発生しますと、大気の屈折率の分布状態に応じて電波が曲げられ、通常の伝搬経路から大きく外れることがあります。この現象を「異常伝搬」とよんでいます。送信した電波がこの層によって曲げられて、海面や地表面、山岳や構造物に当たり反射しますと、降水のないところに強いエコーが観測されることがあります。よって、「正」
  • (b)電波が曲げられなかった場合でも地形の影響で山岳や地表の構造物などに電波が当たり、降水のないところに強いエコーが現れることがあります。このような電波が曲げられなかった場合において地形のように動かないものが原因で起こる現象を「グランドクラッタ」とよんでいます。このグランドクラッタは降水のエコーと区別して取り除くことができます。しかし、風で揺れる樹木や大型の風車の羽やスキー場のリフトなどのように動くものが原因のグランドクラッタや、エコー自体が非常に強い場合は、データの品質管理において完全には取り除くことはできません。よって、「正」
  • (c)本文のとおり。よって、「正」
  • (d)本文のとおり。よって、「正」

正解は

56回 問3 ウィンドプロファイラ 高層風の時系列 

問3 下図は2月のある日の12時の地上天気図であり,図ア~エは,その日の6時~12時に(a)~(c)を含む4地点のウィンドプロファイラによって観測された高層風の時系列である。天気図中に示した地点(a)~(c)に対応する高層風の時系列の組み合わせとして適切なものを,下記の1~5の中から1つ選べ。

  • (a)12時の下層に着目すると、アとエに北成分が見られる。時系列図アに着目すると、地上付近から高度が高くなるにつれ風向が反時計回りとなっており、寒気移流場を示唆していることがわかります。
  • (b)西よりから南成分を予想するとウが選択できる。八丈島では低気圧に伴う温暖前線と寒冷前線との間に挟まれた暖域内にありますが、ここでのポイントは、12時の地上低気圧における等圧線の走向から、南南西風であることから、時系列図で12時に近い時刻で南南西風になっている時系列図を見つけるという判断 よって
  • (c)南東成分から南成分を予想する。かエ
第56回気象予報士試験 専門知識

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55回 問3 気象レーダー メソサイクロンの検出 電波の異常伝搬

問3 気象庁が運用している気象レーダーによる観測やその特性について述べた次の文(a)~(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを,下記の1~5の中から1つ選べ。

  • (a)ドップラーレーダーで観測した風のデータは,竜巻の発生と関連の深いメソサイクロンの検出に活用されている。
  • (b)非降水エコーの原因となる電波の異常伝搬は,気温が高度とともに急激に上昇するなど,屈折率が高さ方向に大きく変化する場合に発生することが多い。
  • (c)水平偏波と垂直偏波を用いる二重偏波気象レーダーでは,それぞれの反射波の振幅の比から降水粒子の形状に関する情報が得られるため,雨や雪の判別が可能となる。
  • (a)本文のとおり。よって、「正」
  • (b)本文のとおり。よって、「正」
  • (c)本文のとおり。よって、「正」
第55回気象予報士試験 専門知識 二重偏波レーダーで、雨粒の縦横比が分かります。

正解は

54回 問3 ラジオゾンデを用いた高層気象観測につい

問3 ラジオゾンデを用いた高層気象観測について述べた次の文(a)~(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを,下記の1~5の中から1つ選べ。

  • (a)高層気象観測を行う各国においては,現地時刻の9時と21時に観測を行うこととされている。
  • (b)気象庁では,GPSゾンデと呼ばれる観測機器を使用しており,風向·風速の観測データは,GPS信号を利用して算出されている。
  • (c)気象庁では,全ての気象台と海洋気象観測船で高層気象観測を行っている。
  • (d)気象庁のラジオゾンデによる高層気象観測の観測範囲は地上から上部成層圏までだが,稀に中間圏までラジオゾンデが到達することがある

  • (a)高層観測の時刻は世界同時に実施されます。日本では9時と21時です。よって、「誤」
  • (b)GPSゾンデは、位置情報を持っているのでこれを利用しています。ラジオゾンデのうち風向・風速の測定にGPS信号を利用するものを特に「GPSゾンデ」と呼んでいます。よって、「正」
  • (c)高層観測は、すべての気象官署では行っていません。よって、「誤」
  • (d)気球の大きさは、地上では直径約1.6mあり、気球の上昇とともに膨張し、高度約30km付近では直径約7mになって破裂します。中間圏まで到達することはありません。よって、「誤」

正解は

53回 問3 ウィンドプロファイラ 鉛直方向の分解能は300m

問3 気象庁のウィンドプロファイラについて述べた次の文(a)~(d)の正誤について,下記の1~5の中から正しいものを1つ選べ。

  • (a)上空に向かって発射された電波が,大気の乱れ等で散乱されて戻ってきたときの電波の強度の情報を利用して,上空の風向風速を測定する装置である。
  • (b)雨が降っている場合,大気の乱れによる散乱よりも雨粒による散乱が強いため,測定された鉛直方向の速度は雨粒の下降速度を捉えたものとなる。
  • (c)大気が乾燥しているときは電波の減衰が少ないので,高気圧の圈内では観測可能な高度が高くなる傾向がある。
  • (d)鉛直方向の分解能が高いので,接地境界層内の風の詳細な鉛直構造を把握するのに適している。

  • (a)『戻ってきたときの周波数の変化の情報を利用して』が正しいです。よって、「誤」
  • (b)問題文通りで正しい文章です。よって、「正」
  • (c)『観測可能な高度が低くなる』が正しいです。よって、「誤」
  • (d)『ウィンドプロファイラは、上空の風を高度300m毎に、10分間隔で観測しています。』つまり、鉛直方向の分解能は、300mとしているのです。ところが、接地境界層は下図に示すように地上から数十メートルですから、詳細な鉛直構造の把握はできません。よって、「誤」
第53回気象予報士試験 専門知識

正解は

52回 問3 ラジオゾンデで観測した気温,湿度,風速,風向の鉛直分布

問3 図は,南鳥島において,ある日の9時にラジオゾンデで観測した気温,湿度,風速,風向の鉛直分布である。この図の特徴について述べた次の文(a)~(c)の下線部の正誤の組み合わせとして正しいものを,下記の1~5の中から一つ選べ。

  • (a)800hPa付近には気温の逆転層がある。これは,下層の冷たい空気層の上を暖かい空気が滑昇することにより起きる前線性の逆転層である。
  • (b)気温の鉛直分布のみから対流圏界面を推定すると,80hPa付近は対流圏界面の可能性がある。しかし風向·風速はその上下で目立った変化がないことから,圏界面とはしない。
  • (c)湿度の観測データは300hPa付近までしかない。これは,気温と湿度の分布の特徴から,雷によって湿度センサーが故障したためと考えられる。

  • (a)逆転層の800hPaから上は、急激に湿度が下がっています。800hPaより下層は、湿潤な空気で、800hPaより上昇は乾燥空気が乗っかっています。乾燥した寒気が下がってきた『沈降性の逆転層』なのです。よって、「誤」
  • (b)圏界面の判定定義に、風の要素は含まれていないので、この文は誤り。定義:「500hPa面以上の高さで、ある面とそれより上2km以内の面間の平均気温減率がすべて2.0℃/kmをこえない面を「第1圏界面」とし、また「第1圏界面」の上のある面とその面より上1km以内の面との間の平均気温減率がすべて3.0℃/kmを超える層がある場合、 この層またはそれより高い層で「第1圏界面」と同様の基準により求められた面を「第2圏界面」とする。」
    (参考文献 : 阿保敏弘「高層気象観測業務の解説(改訂版)」 2006 (財)気象業務支援センター )よって、「誤」
  • (c)湿度センサーの故障ではありません。気温が-40℃以下になった場合、大気中の水蒸気量が少なくなるので、正確な湿度測定が困難になり、湿度測定を行いません。よって、「誤」

ラジオゾンデによる観測では、対流圏界面に到達した際に以下のような情報が得られる可能性があります:

  • 気温減率の変化: 対流圏界面では気温の減率が急激に変化し、通常は2.0℃/km以下になります。
  • 風速・風向の変化: ジェット気流の影響を受けることが多く、強風軸が観測される場合があります。
  • 湿度の変化: 対流圏界面付近では湿度が急激に低下し、乾燥した空気層が広がることが一般的です。
  • 安定層の存在: この層は対流活動を抑える役割を果たし、対流圏と成層圏の境界として機能します。

正解は

コメント

  1. 金太郎パパ より:

    > 過去問専門 問3(63~52回)

     お疲れさまです。

     以上!