緑色が正解した問題 赤色は誤答してしまった問題
問4 氷粒子や雪片について
氷粒子や雪片について述べた次の文(a)~(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の1~5の中から1つ選べ。
(a)気温が0℃以下で雪結晶どうしが衝突·付着して雪片ができるとき、気温が低いほど雪結晶は付着しゃすく、大きな雪片ができやすい。
(b)氷粒子と過冷却水滴が共存する雲の中では、氷面に対する飽和水蒸気圧が水面に対する飽和水蒸気圧よりも低いことにより、昇華による氷粒子の成長が卓越する環境となっている。
(c)落下する雪片は、周囲の気温が0℃以上の場合、湿度が低いほど融解して雨滴になりやすい。
正解は、(a)誤 (b)正 (c)誤
(b)氷粒子と過冷却水滴が共存する雲の中では、氷面に対する飽和水蒸気圧が水面に対する飽和水蒸気圧よりも低いことにより、昇華による氷粒子の成長が卓越する環境となっている。 『正』
氷粒子と過冷却水滴が共存する雲の中では、氷面に対する飽和水蒸気圧が水面に対する飽和水蒸気圧よりも低いという物理的性質があります。これにより、雲中の水蒸気は氷粒子の方により多く凝結(昇華)しやすくなり、氷粒子が成長しやすい環境が形成されます。
この現象は「ベルジェロン・フィンデイセン過程」と呼ばれ、氷晶成長のメカニズムとして重要です。過冷却水滴は蒸発し、氷粒子が成長することで、雪片や降雪の形成につながります。
誤答の原因:飽和水蒸気圧よりも低いことは、分かっていた。しかし、そのことで氷粒子の成長しやすいことに結び付けることができなかった。「昇華による氷粒子の成長が卓越する環境となっている。」…ここでは水蒸気(気体)から氷粒子(固体)への昇華が起こっている。
(c)落下する雪片は、周囲の気温が0℃以上の場合、湿度が低いほど融解して雨滴になりやすい。『誤』
雪片が融解して雨滴になるかどうかは、主に「気温」と「湿度」の両方に影響されます。
湿度が低い場合、空気中の水蒸気圧が低くなるため、雪片の表面からの昇華(固体→気体)が起こりやすくなります。つまり、融解(固体→液体)ではなく、昇華によって雪片が消失する可能性が高くなります。
一方、湿度が高い場合は、雪片が融けて雨滴になる可能性が高くなります。
したがって、「湿度が低いほど融解して雨滴になりやすい」という記述は誤りであり、湿度が高いほど融解しやすいというのが正しい理解です。
「湿度が低いほど融解して雨滴になりやすい。」冷静に考えれば『誤』だと判断できたはずだが、簡単だと思って、舞い上がっていたのかもしれない。「落ち着け!自分!」
問5 地球大気に入射する太陽放射
問5 地球大気に入射する太陽放射に関する次の文(a)~(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の1~5の中から1つ選べ。ただし、sin30°=0.5、sin60°=0.87とする。
(a)大気上端に入射する太陽放射エネルギーには、可視光線域の放射エネルギーと赤外線域の放射エネルギーが同程度含まれている。
(b)6月に大気上端の水平な単位面積に入射する1日あたりの太陽放射エネルギーは、赤道上の地点の方が北極点よりも多い。
(c)地球全体に入射する1日あたりの太陽放射エネルギーは、地球と太陽の距離が近い7月の方が、この距離が遠い1月よりも多い。
実は、地球と太陽の距離が最も近くなるのは1月(近日点)であり、最も遠くなるのは7月(遠日点)です。つまり、地球は1月の方が太陽に近く、7月の方が遠いのです。
そのため、地球全体に入射する1日あたりの太陽放射エネルギーは、1月の方が多くなります。ただし、地球の気候や季節は太陽との距離よりも、地軸の傾きによる日射角の違いの方が大きく影響します。これが、北半球では1月が冬、7月が夏になる理由です。
気象予報士試験ではこうした「直感と逆の事実」がよく問われるので、惑わされないようにしましょう!他にも天文・放射関連の問題があれば、ぜひ一緒に確認していきましょう。
(d)春分の日の太陽の南中時に大気上端の水平な単位面積に入射する太陽放射エネルギーは、北緯30°の地点では北緯60°の地点の約1.4倍となっている。
問6 北半球の緯度の異なる2 つの地点の温度と風の関係について
問6 北半球の緯度の異なる2 つの地点の温度と風の関係について述べた次の文章の空欄(a)~(c)に入る語句の組み合わせとして正しいものを、下記の1~5の中から1つ選べ。
ただし、この2つの地点の上空では静力学平衡および地衡風平衡が成り立っているものとする。
北半球の緯度30°の地点Aと緯度45°の地点Bにおいて、1000hPa 等圧面上で風速5m/sの南風が吹いている。また、A、B両地点では1000hPaから700hPaの層内の平均温度は、いずれも東西方向に一様で南から北に向かって低くなっており、その水平温度勾配は両地点で等しい。このとき700hPa等圧面における風速は(a)。また、地点Aと地点Bの1000hPaから700hPaの層内ではともに(b)となっており、その
大きさは(c)。
- ①(a)地点Aの方が大きい (b)暖気移流 (c)地点Aと地点Bで同じである
- ②(a)地点Aの方が大きい (b)暖気移流 (c)地点Aの方が大きい
- ③(a)地点Aの方が大きい (b)寒気移流 (c)地点Aと地点Bで同じである
- ④(a)地点Bの方が大きい (b)暖気移流 (c)地点Aと地点Bで同じである
- ⑤(a)地点Bの方が大きい (b)寒気移流 (c)地点Bの方が大きい
問6では、北半球の異なる緯度の地点における風速と温度勾配の関係について問われています。
問題のポイント:
- 700hPa等圧面における風速:
- 地衡風の法則により、風速は緯度が低いほどコリオリ力が小さくなるため、同じ気圧傾度力が働く場合、緯度30°の地点Aの方が緯度45°の地点Bよりも風速が大きくなります。
- 1000hPaから700hPaの層内の移流:
- 問題文では「南から北に向かって温度が低くなる」とあるため、暖気移流が発生していると判断できます。
- 移流の大きさ:
- 問題文では「水平温度勾配が両地点で等しい」とあるため、暖気移流の大きさは地点Aと地点Bで同じと考えられます。
正解:
① 地点Aの方が風速が大きく、暖気移流が発生しており、その大きさは地点Aと地点Bで同じである。
解説:
温度勾配が一定であるため、暖気移流の大きさは両地点で等しい。
地衡風の法則に基づき、緯度が低い地点Aの方が風速が大きい。
①か②のどちらかであるところまでは、たどり着いていました。つまり、(a)風速は地点Aの方が大きい、(b)暖気移流まではいいところまで行っていたのです。(c)地点Aと地点Bの1000hPaから700hPaの層内ではともに暖気移流となっており、その大きさは(c)。の部分です。その判断は、
移流の大きさ:
問題文では「水平温度勾配が両地点で等しい」とあるため、暖気移流の大きさは地点Aと地点Bで同じと考えられます。
よって、「(c)地点Aと地点Bで同じである」でした。誤った原因は、「その水平温度勾配は両地点で等しい。」という一文に着目できなかったことです。
問7 大気における地表面の摩擦の効果について
問7 大気における地表面の摩擦の効果について述べた次の文章の(a)~(d)に入る式と語句の組み合わせとして正しいものを、下記の1~5の中から1つ選べ。ただし、図の実線は等圧線を示し、コリオリパラメータをfとする。
北半球のある地点の水平な地表面付近で、図のように矢印で示す風速 Vの定常な風が等圧線と角度αをなす方向に吹いている。気圧傾度力の大きさをP、コリオリカの大きさをC、摩擦力の大きさをFとし、摩擦力が風の向きと逆方向に働いているとすると、3つの力のつり合いから
F=(a)
C= (b) = fV
したがって、摩擦力の大きさFは
F=(c)
これは、風速が同じであれば地表面の摩擦力が(d)ほど地表面付近の風が大きな角度で等圧線を横切って低圧部に向かって吹くことを示している。


問7では、地表面付近の風の力のつり合いに関する問題が出題されています。 北半球において、地表面付近の風は気圧傾度力、コリオリ力、摩擦力の3つの力がつり合うことで成り立っています 。
(a) 摩擦力 Fの大きさは、気圧傾度力 Pと風が等圧線を横切る角度 αを用いて「Psinα」と表されます。
(b) コリオリ力 Cの大きさは、気圧傾度力 Pと角度 αを用いて「Pcosα」と表され、さらに「fV」とも表されます。
(c) 摩擦力 Fの大きさは「fVtanα」となります。
(d) 地表面の摩擦力が大きいほど、地表付近の風は等圧線を横切る角度が大きくなり、低圧部に向かって吹くことを示しています。
正しい選択肢は「②」です。



コメント
〉 緑色が正解した問題 赤色は誤答してしまった問題
これ、読んでいてわかりやすかったです。ありがとうございます。
1月と7月の太陽とな距離は、(気象予報士試験とは関係のない)昔何かで見たことがありました。
雑学的なことも活かせる(活かさなければ)こともあるんですね。あっ。雑学なんて言ってたら叱られそうですね。ごめんなさい。