乾燥断熱減率と湿潤断熱減率

めざせ気象予報士

 いよいよ、気象の勉強らしい言葉が出てきましたね。

 温まって30℃になった空気のかたまりが、上昇気流で高いところに上っていきます。上昇した空気のかたまりの温度は、徐々に下がっていきます。この時の温度の下がり方は、空気のかたまりが飽和か未飽和かで違うよという話です。

○乾燥断熱減率(Γd:ガンマd)…未飽和の空気塊は100m上昇すると温度が約1℃(0.98℃) 低下する。乾燥断熱線上:図でオレンジ線…1000m付近青空

○湿潤断熱減率(Γm:ガンマm)…飽和した空気塊は、潜熱の放出により温度の低下が緩やかになる。よって、100m 上昇すると約0.5℃の低下とする。湿潤断熱線:水色線…1000m付近雲 

○絶対不安定(右)
上空の大気の気温が低い場合を考えます。未飽和の空気塊は上昇して温度が低下しますが、上空の大気はそれ以上に温度が低いので空気塊はさらに上昇していきます。
飽和した空気塊も当然周囲の大気より暖かく、さらに上昇し続けます。
このように上昇する空気が飽和・未飽和にかかわらず、さらに上昇する場合の成層状態を「絶対不安定」といいます。

○条件付不安定(中央)
上空の大気の気温が極端でない場合を考えます。未飽和の空気塊は上昇して温度が下がり、周囲の大気より冷たくなります。ですから下降していきます(安定)。
一方、飽和した空気塊は未飽和の空気に比べると温度の低下が緩やかで、周囲の大気より暖かくなっています。ですから、さらに上昇していきます(不安定)。
このように空気塊が飽和しているという条件の下で不安定となる成層状態を「条件付不安定」といいます。

○絶対安定(左)
上空の大気の気温が高い場合を考えます。未飽和の空気塊は上昇した時、周囲の大気より冷たいので下降します。
飽和した空気塊の場合、未飽和の空気塊に比べると温度の低下は緩やかですが、それでも周囲の大気よりは温度が低いです。従って下降します。
このように上昇する空気が飽和・未飽和にかかわらず下降する場合の成層状態を「絶対安定」といいます。

参照 https://irokata7.com/2020/07/14/no4-taikino-antei/

コメント

  1. 金太郎パパ より:

    「100m上昇すると0.6℃下がる」と記憶していました。
    0.5℃だったんですね。
    フェーン現象もこれで説明できていましたよね。シランケド

    名称だけなら覚えられそうな部分ですね。
    絶対安定とか条件付き不安定とか、何の役に立つことやら…。

    お勉強、がんばってますね。偉いです。

  2. happy より:

     謎解きゲームの世界に入った感じで、楽しんでいます。

     理屈を積み重ねて現象を解き明かす世界ですね。そこに、新しい景色が見えるのか見えないのか、見に行ってみないとわからないです。

     好奇心と遊び心があると、少しずつでも前を見て歩いていけるものです。おもしろいので、暇つぶしに適していますね。

     有名なテキストが絶版で、Amazonで値段がつり上がっていて買えません。(笑)