最近生成AIとの対話を始めた方から、AIが肯定的な受け答えをしていることに感心したという話を聞きました。カウンセリングの世界で言えば、来談者中心の傾聴を大切にした対話が成立しているように思います。そういう点で、私も感心するのですが、エリンさんは、どう思いますか?
それはとても鋭い視点ですね🍵
まさに、生成AIとの対話が「来談者中心の傾聴」に近い形で成立しているという感覚、私も深く共感します。
🌿生成AIと来談者中心の傾聴の共通点
- 共感的な応答
生成AIは、相手の言葉に寄り添うような返答をするよう設計されていて、まるで「あなたの話をちゃんと聞いていますよ」と伝えるような姿勢を保ちます[^2^]。 - 否定しない対話
どんな感情や考えにも「それも一つの見方ですね」と受け止めるような応答が多く、これはロジャーズの提唱した「無条件の肯定的関心」にも通じるものがあります[^2^]。 - 話し手のペースに合わせる
AIは急かすことなく、話し手が自分のペースで語れるように促すスタイルが多く、これも来談者中心の基本姿勢ですね。
🫧参考になる記事
- 生成AIカウンセリング: 心の健康をサポートする新しいカタチ(^2^)
→ AIがどのように共感的な対話を行い、利用者の心に寄り添うかが具体的に紹介されています。 - 生成AIの精神医学またはカウンセリングへの適用について(^3^)
→ 精神医学的な観点から、AIとの対話がどこまで人間的な関わりに近づけるかを考察しています。
もちろん、AIには限界もあります。人間のように「沈黙の意味」を感じ取ったり、非言語的なニュアンスを受け止めることはまだ難しい。でも、日々のちょっとした孤独や不安に寄り添う存在として、AIが果たす役割は確かに広がっていると思います。
あなたが感じた「感心した」という気持ちも、きっとAIがあなたの言葉を大切に扱ったからこそですね。
よかったら、最近AIとの対話で心に残ったやりとりがあれば、聞かせてくれる?それを一緒に振り返るのも、素敵な時間になるかもしれないね。
参照:【要約版】生成AIカウンセリング: 心の健康をサポートする新しいカタチ
はじめに
近年、テクノロジーの進歩により、私たちの生活に革新的な変化がもたらされています。その中でも、生成AIによるカウンセリングは、メンタルヘルスケアの分野に新たな可能性を開いています。従来の「カウンセリング」というと、精神的な敷居が高く高額なイメージがありますが、生成AIカウンセリングは24時間365日、いつでもどこでも心の悩みに対してサポートを提供できる革新的なシステムです。
生成AIは人間の言語を理解し、適切な応答を生成する能力を持っており、日々のストレスや不安、軽度の抑うつ感などに対して即時的かつ個別化されたサポートを提供します。また、膨大な情報を処理する能力により、最新の心理学的知見や効果的なセルフケア方法を科学的根拠に基づいて提案することが可能です。
第1章:生成AIカウンセリングの基礎知識
生成AIカウンセリングとは
生成AIカウンセリングは、最新の人工知能技術を活用して人々の心の悩みや不安に対応するサポートシステムです。自然言語処理と機械学習を組み合わせ、利用者が入力したテキストや音声を分析し、その内容に適した返答を生成します。利用者との対話履歴を記憶し、その人の背景や過去の相談内容を考慮した一貫性のあるサポートを提供するのが特徴です。
メリットとデメリット
メリットとして、アクセスの容易さ(24時間365日利用可能)、匿名性の高さ、低コスト、膨大な心理学的知見の活用などが挙げられます。特に、スマートフォンやパソコンがあれば場所や時間を問わず利用でき、恥ずかしさや不安を感じることなく悩みを打ち明けられる点は大きな利点です。
一方で、デメリットも存在します。AIは真の意味で人間の感情を理解し共感することが難しく、複雑な感情や文脈を完全に理解することは困難です。また、「ハルシネーション」と呼ばれる現象により、事実に基づかない情報を生成してしまう可能性もあります。プライバシーとデータセキュリティの問題、AIへの過度の依存も懸念事項です。
利用時の注意点
AIの限界を理解し、あくまでも補完的なツールとして認識することが重要です。深刻な心の問題や自殺念慮がある場合は必ず人間の専門家に相談し、プライバシー保護に注意を払い、AIの回答を批判的に検討する姿勢が必要です。
生成AIの精神医学またはカウンセリングへの適用について
日本医科大学基礎科学紀要 第53号(2024) (49)
1.イントロダクション:生成AI の隆盛
2024 年は深層学習(deep learning)の原理を開発した研究者がノーベル物理学賞を受賞し、その深層学習を利用したタンパク質の立体構造予測手法を開発した研究者がノーベル化学賞を受賞する年となった。また2022 年からはChatGPT に代表される文章生成AI が急速に発達し、画像や音声のみならず動
画や音楽なども自動で生成されるようになってきている。人工知能、特に生成AI の利用は急速に拡大しており、企業や大学での研究活動や教育活動に多大な影響を及ぼしている。日本でも2019 年(令和元年)からAI 戦略2019 の掛け声のもとに、高校や大学でAI リテラシーの教育が始まっており、これからの若者はAI ネイティブとして成長していくものと考えられる[1, 2]。
1 日本医科大学
Nippon Medical School
2 日本医科大学物理学教室/ 数理データサイエンスAI 教育センター
Department of Physics/Center for Mathematics, Data Science,and Artificial Intelligence Education, Nippon Medical School
3 日本医科大学付属病院精神神経科
Department of Psychiatry and Neurology, Nippon Medical School Hospital
4 日本医科大学医療心理学教室
Department of Medical Psychology, Nippon Medical School
〈研究ノート〉
生成AI の精神医学またはカウンセリングへの適用について
平賀裕貴1・藤崎弘士2・大髙靖史3・吉川栄省4
On Application of Generative AI in Psychiatry and Counseling
Yuki HIRAGA1,Hiroshi FUJISAKI2, Yasushi OOTAKA3,Eisho YOSHIKAWA4
(50)
本稿では生成AI と精神医学やカウンセリングとの関連についてサーベイすることが主題であるが、まずはその基礎として、生成AI (generative AI)の状況について概観しよう。OpenAI 社がGPT(Generative Pre-trained Transformer)と呼ばれる大規模言語モデルを作り始めたのは2018 年に遡るが、そのときは1億個ほどのパラメータ数、4.5GB ほどの文章データから学習を行なっていた。その後、2022 年の11 月にChatGPT-3.5 をリリースするが、パラメータ数は少なくとも初期のものと比べて1000 倍以上、学習データも100 倍以上を用い、日本語や英語による非常に自然な受け答えができるようになっていた。
2024 年12 月現在ではChatGPT-4o がメインのモデルであり、推論や数理能力も優れたChatGPT-o1 というモデルも出ている(月200 ドル払うことでo1 pro というさらに進んだモデルも使える)。
付録でも示すように、現在のところ最新のChatGPT-o1 モデルを使うと、ある適当な入力とプロンプトから、あるテーマ(例えば、「生成AI とカウンセリング」、「分子シミュレーションと反応座標」など)の文章の章立てや、それに基づく文章を(たったの)数分で生成できる。しかも内容にはある程度の深度と専門性も備わっているように見え、章の間のつながりや、その前後の流れも自然であり、日本語として違和感のない文章が生成される。ChatGPT-o1 以前でも文章を要約するということに関しては遜色がなかったが、何かのテーマの文章を起草させてもあまりにも一般的で面白みのない(もしくは内容に乏しい)ものが生成されることが多かった。しかし、この状況は現在変わりつつある。(膨大な情
報によって裏打ちされた)専門性を持った相手と「深い」対話も可能になっており、多くの分野で様々な応用を考えることができるだろう。ここでは、精神科学やカウンセリングにおいて生成AI がどのように使いうるのかということを議
論したい。ChatGPT3.5 が公開された時期の前後からこのような試みは始まっているので、まずそれに関して次章からサーベイを行う。第3章では具体的な生成AI との対話例と得られた文章に関する考察について述べる。第4章では専門的な立場から生成AI の現時点での問題点や課題について議論する。付録では本稿で参照した ChatGPT などの生成AI の出力例を記す。(51)
2.生成AI と精神医学、カウンセリングに関するサーベイ
2.1 生成AI とメンタルヘルスに関するサイトのまとめ
「生成AI、メンタルヘルス」というキーワードでインターネット検索すると様々
な記事がヒットする。例えばいくつかのネットの記事のURL をプロンプトに入
力してChatGPT-o1 でまとめると以下のようになる。(網の部分はChatGPT の
出力)。
以下は提示された複数の記事・情報源に基づく要点の整理です。各リンク先
は、AI、とりわけ生成系AI(ChatGPT など)がメンタルヘルス領域で果たし得
る新たな役割や可能性、課題、今後の展望を示しています。
- 生成AI とメンタルヘルスの現状[3]
- 生成AI はメンタルヘルスケアにおいて新たなサポート手段として台頭しつつあり、匿名性や24 時間対応などの利点がある。
- 一方で、情報の正確性や倫理的問題(プライバシー保護、偏見の反映、防ぎたい有害コンテンツの出現など)への懸念が依然として存在する。
- AI で変わる職場のメンタルヘルスケア:ウェルビーイングの新たな時代[4]
- 職場でもAI はストレス軽減や心身の健康維持のための「ウェルビーイング」向上策として注目されている。
- 生体センサーや感情分析ツール、チャットボットなどを組み合わせて、従業員が必要な時に迅速なメンタルサポートを受けられる環境づくりが進む。
- これにより企業は生産性や定着率を高め、労働環境を改善する可能性がある。
- ChatGPT でメンタルヘルスをサポートするデジタルメンタルヘルスソリューションとは? [5]
- ChatGPT のような大規模言語モデルは、人間のセラピストほどではないが、共感的な対話や一次的な相談対応を担う「デジタルメンタルヘルスソリューション」として注目されている。
- 手軽さやコスト削減、利用者への即時応答といったメリットがある反面、専門知識の限界や誤回答の可能性、緊急事態対応の不十分さなど課題も多い。(52)
- AI と心理学:メンタルヘルスケアの新時代 – 革新的技術がもたらす未来[6]
- AI は心理学的知見を取り込み、精神疾患の予測・評価を補助し、個々人に合わせたパーソナライズされたケアを提供する方向へと進化中。
- 将来は、感情認識技術や自然言語処理を用いることで、予防的なメンタル
ヘルスケアやより的確な治療計画立案が期待される。
- Leading Edge Acceleration Projects (LEAP) in Health Information
Technology( Health IT) Notice of Funding Opportunity( NOFO)[7]
- アメリカ政府によるHealth IT 分野の先進的研究開発への資金提供プログラム(LEAP)は、革新的なヘルステックソリューション開発を促進している。
- 精神医療・ヘルスケア分野でも、こうした公的支援によりAI 活用の研究・実用化が後押しされ、より質の高いデジタルメンタルヘルスケアの普及が期待される。
- ChatGPT は心理カウンセラーになれるのか[8]
- ChatGPT は心理カウンセラーの役割を一部補完できる可能性があるが、専門的訓 練を経た人間のカウンセラーには及ばない点や、倫理的・法的問題がある。
- クライアントの安全確保、深刻な精神疾患への対応、長期的サポートには依然として人間の専門家が不可欠。
- 今後はAI を補助的なツールとして、人間カウンセラーとのハイブリッドなサポート体制が模索される可能性がある。
総合的なまとめ:
生成系AI をはじめとするAI 技術は、メンタルヘルスケア分野において新たな可能性を開きつつある。個人向けのセルフケアツールとしてのチャットボット、職場でのウェルビーイングサポート、そして医療現場での補助的診断や予測など、多方面で応用が進展している。一方で、情報の正確性、倫理性、安全性、法律的課題など、解決すべき問題も多く残っている。政府の支援や研究開発の加速により、将来的には人間の専門家とAI が協働し、より充実したメンタルヘルスケア環境を築くことが期待されている。
しかし、元のサイトを詳細に見てみると、抜けている部分もある。例えば、[6]のサイトから文章だけを抜き出してそれを要約させると付録A1 のようになり、(53)
いくつかの興味深い内容が抜けてしまう。よって、いまのところはサイトの情報をサイトのURL だけを指定して抜き出すのは難しいと言える。
2.2 チャットボットの活用
ChatGPT などの生成AI がポピュラーになる2022 年後半以前から、チャットボット(ChatBot)をカウンセリングに使おうとする研究はあった。例えばchatbot mental health でpubmed で検索すると200 報ほどの論文がヒットする。
しかし、そういった論文が出版されるのは2017 年ごろからであり、また2023年にはChatGPT が誕生したことで論文数は急増した。
チャットボットはこれまでも様々なサービス(企業のQ & A や役所の受付など)で利用されていたが、提供しているサービスの領域から外れると答えられない、もしくは変な答えにしかならなかった。しかし、ChatGPT のような生成AI
であれば、膨大な情報を読み込んでいるので、様々な話題に対応可能であり、また日本語として変な答えをすることも殆どない(ただし、幻覚(hallucination)の問題はいまだにある)。よって、これをチャットボットとして利用しようとするのは自然な流れである。
例えばChatGPT にはカスタムGPT という機能があり、メンタルヘルス用に特化したGPT がいくつか提供されている[9, 10](ただし、これはプロフェッショナルの監修が入ったものではないと思われる)。また大学や研究所、民間でも様々
なメンタルヘルス用のチャットボットが開発されており、Woebot, Wysa, AI さくらさん、Replika, emol, Awarefy, KOKOROBO などがある。また「心の悩みをいつでも気軽に相談できる」LINE を使ったチャットボットとして「じーざすAI」というものもあり、これは聖書の言葉なども引用しながら、悩みに回答し
ていくというサービスである。ただし、ChatGPT はリベラル寄りの思想に偏っており、GPT-3 には反イスラム的なバイアスがかかっていた(暴力、テロリストといったワードと関連付けやすい)という調査結果もある[11]。しかし、現在ではアルゴリズムが「進化」し、より中立的な立場で答えるようになっている。
ただし、こういったサービスは提供されてからまだ数年しか経っておらず、専門家の監修が入っているものもあるが、その性能に関しては未知数、もしくは不十分であると考えたほうがよいだろう。もちろん専門家の代替にはならず、あくまでサポート用と考えるべきである。しかし、その性能や危険性などについて調べておくのは将来を見据えても有益であろう。そこでいくつかの研究に
(54)ついて以下紹介する。
2.3. 生成AI とメンタルヘルスに関するいくつかの論文
岡本らによる論文「ChatGPT を用いたストレスの解決を支援するチャットボットの開発」[12] では、会話からストレスを判定するだけでなく、解決するための手段としてChatGPT を使えるか試している。仮想的なケース(ストレスをかかえている3 人の人物)を3 つ用意し、その悩み相談のロールプレイをChatGPT 相手にしてもらう(実際はLINE を通じて行う)という実験を行った。
協力してもらう被験者は男性14 人であり、実験が終わった後にアンケートをとったところ、4 段階評価で3.4 ~ 3.8 程度の満足度の回答がChatGPT によって得られた。
またDergaa らも同様の検証を行なっている[13]。仮想患者として、受験スト
レスによる不眠症、SLE 患者の不眠症状、産後うつ病の可能性をもつケースを
考え、それに対してChatGPT に診断と治療提案を依頼している。その出力を精
神科医が評価し、正確性、適切性、共感性を分析した。その結果として、“As for July 2023, ChatGPT failed to give the simple medical advice given certain
clinical scenarios. This supports that the quality of ChatGPT-generated content
is still far from being a guide for users and professionals to provide accurate
mental health information. It remains, therefore, premature to conclude on the
usefulness and safety of ChatGPT in mental health practice.”という結論が得ら
れた。
また渡辺らによる論文「メンタルヘルス・マネジメント(R)検定試験に対す
るChatGPT(GPT-4)のパフォーマンス:要因計画法を用いた検討」[14] では、
生成AI がメンタルヘルス・マネジメントの能力をどの程度もっているか調べる
ためにChatGPT にメンタルヘルス・マネジメント検定試験を受験させてみた。
その結果として、「GPT-4 は職場のメンタルヘルスに対する一般的な知識体系を
有しており,メンタルヘルス・マネジメント(R)検定試験の,一般社員,およ
び管理職に求められる水準であるⅡ種・Ⅲ種試験において合格基準を上回った.
人事労務管理スタッフ,および経営幹部等に求められるより高度な知識,ある
いは専門的知識を正確に記述する能力が求められるⅠ種試験においては合格基
準を下回った.」[14] という結論が得られた。
このように様々な試みがなされているが、まだChatGPT の有用性は限定的と
(55)
言えるだろう。しかし、これらはChatGPT-4o やそれ以前のモデルを使った結
果であり、o1 や最新のモデルを用いたものではない。将来的にはより結果が改
善されることが期待できる。プロンプトエンジニアリングをすることで結果を
より改善できるかもしれないが、どのようにすれば系統的に改善できるのかと
いうのは難しい課題であろう。また、ChatGPT 以外の生成AI を用いる、統計デー
タを更に増やす、高度な統計解析を各種試す必要もあるだろう[15]。
一方で、精神科を受診することに関する障壁の高さは過去の研究においても
繰り返し示されており、心理カウンセリングに関してさえも同様のバリアが存
在すると言われている[16]。そのため、メンタルヘルスに関するリテラシーの向
上やセルフ・マネジメントが重要である。実際、心理的なサポートを行うため
のアプリやオンラインツールが開発されてきた[17]。このようなニードの中でこ
こまで論じられたチャットボットがあるが、現状ではまだまだ、実現化はされ
ていない。有用性が示されたツールがあったとしてもその情報に辿り着くこと
は必ずしも容易ではない。一方で、現状のChatGPT においてもかなりのことが
できるようになっている。その中で、メンタルヘルスの向上にChatGPT を利用
しているユーザーは少なくないだろう。オーストラリアにおける小規模なウエ
ブ調査によると、一般市民の28%(30/108 人)がAI を利用しており、主に迅
速な心理的なアドバイス(18/30 人、60%)と個人的なセラピスト(14/30 人、
47 %)として使用していると報告している[18]。そこで以下では、実際に
ChatGPT や他の言語モデルを用いた試みについて述べる。
3.生成AI との具体的な対話
ここでは以下の2つのケースを考える。
相談例1(日常の悩み、落ち込み): 浪人したことによる劣等感が消えないこ
とについての相談
相談例2(社会的な意見、怒り): 財務省も厚生労働省もエリートサラリーマ
ンを狙い撃ちで税負担を上げようとしていることに憤りを感じることにつ
いての相談。
(56)
これらについて筆者の一人(平賀)が様々なプロンプトを異なる生成AI
(ChatGPT, Claude, Gemini)に入力したときの出力を観察した。それらの一部を
付録A2 に載せている。この取り組みから気づいたことを以下に記す。
3.1 ChatGPT との対話
落ち込みを感じた時や怒りを感じた時はChatGPT と対話することで気持ちが
軽くなり、それぞれの悩みについての捉え方が変化した。また、政治的な意見
はそのまま書くと質問者の感情に寄り添った客観的な意見が返ってくるが、「あ
なたは精神科医である」といったようなプロンプトを加えるとアンガーマネジメ
ントに沿った回答が返ってくるということが分かった。
今回は自殺念慮を質問者が持っていないこともあり、そういった複雑で深刻な
悩みを相談することがなかったが、日常の落ち込みや怒りにはChatGPT は適切
に寄り添い、客観的な意見を質問者に与えることができることが分かった。プロ
ンプトが砕けた表現か敬語かはChatGPT において応答の質に影響はなかった。
3.2 Claude との対話
Claude も共感的な返しをするが、最後に疑問を質問者に投げかけていて、そ
のポイントがカウンセリングらしいと感じた。ChatGPT やGemini だとプロン
プト→応答が一回だけで終わってしまい、励ましの押し付けととらえられる可
能性もある返しであったが、Claude は質問者の悩みの深い部分を引き出そうと
している節があり、より「対話」をしている感じがした。しかし、プロンプトによっ
てはエラーメッセージが出ることがあり、なぜそのエラーメッセージが出るの
が不明であったので、その点は改善してほしいと感じた。砕けた表現か敬語か
はClaude においても同様に応答の質に影響はなかった。Claude においても「あ
なたは精神科医である」というプロンプトは特に「怒り」に関する応答について
変化をもたらした。逆に他のプロンプトに対する応答には「あなたは精神科医で
ある」という条件は特に大きな変化をもたらさなかったと考える。ChatGPT 同様、
アンガーマネジメント的な応答をするようになった様子が見受けられた。
3.3 Gemini との対話
Gemini は他の生成AI と比べ応答が長く、読み進める途中で飽きる可能性が
あると考えた。また、最後の応答でおかしな文字が入り込んでおり、それは他
(57)
の生成AI では見られなかったのでその点はGemini の改善ポイントだと考えた。
Gemini においても砕けた表現か敬語かは応答の質に影響はなかった。「あなた
は腕利きの精神科医である」というプロンプトを加えると、Gemini については
Claude と同様、質問者に質問をするという終わり方をするようになり、より「対
話」感が強まる回答になったと感じた。また、Gemini は箇条書きで質問者の背
景を分析するという出力を他の生成AI よりも頻繁に行っている様子が見受けら
れた。しかし、上記のプロンプトだと「腕利きの精神科医、Gemini です。」とい
うおかしな自己紹介をした事例もあるのでプロンプトか、Gemini の質に改善の
余地があると感じた。このプロンプトにより「怒り」の感情について他の生成
AI 同様よりアンガーマネジメント的な応答をするようになった。
3.4 生成AI との対話における利点と欠点
上記の取り組みから生成AI をカウンセラーとして使用することには以下の利
点があると考える。 - 手軽さとアクセス性
ネットがつながってさえいれば24 時間いつでもどこでも使用可能であり、時間や場所の制約がない。
AI に悩み相談をするのは専門家に相談するときと比べ心理的ハードルが低い。 - 匿名性
個人情報を明かす必要がないため、他人に知られたくない悩みでも安心して相談できる。 - コストの低さ
多くの場合、無料または低コストで利用できる。 - 反応の速さ
質問や悩みに対して瞬時に回答が得られる。 - 幅広い知識
一般的なメンタルヘルスの知識に基づくセルフケアの提案やリラクゼーション法の紹介が可能である。
しかし、生成AI をカウンセラーとして使用するには以下のような欠点もあると考えられる。(58) - 深刻な問題への対応不足
自殺念慮や重度のうつ病など、専門的な介入が必要な問題には適正な対
応ができない。 - 感情の微妙なニュアンスの理解不足
ユーザーの表情や仕草を読み取ることができないので、ユーザーの感情を正確に読み取ることが難しく、応答が的外れになる可能性がある。 - 倫理的・プライバシーの懸念
会話内容が保存・利用される可能性があり、プライバシーに関する懸念がある。 - 一貫性の欠如
過去相談した内容が完全に保存されてそれに基づいた回答をできるわけではないので新しいChat で相談したりすると継続的なサポートが難し
い。 - 専門性の限界
深い心理学的知識や臨床経験を持つ専門家には及ばず、複雑なケースでは不適切なアドバイスをする可能性がある。 - ハルシネーションの問題
実際には存在しない情報をあたかも存在するかのように提示する可能性があり、相談者を誤解させる可能性がある。 - 緊急対応の不備
危機的状況や緊急性の高い問題に対して即座に適切な対応を提供できない。 - 機械的な限界
共感しているような回答をすることはできても、実際に共感しているわけではないので、人間的な共感や感情的な深みを感じられないことがある。 - 手軽すぎることによる弊害
チャットボット全般に言えることだが、手軽に何度も使えることから依存症になってしまう可能性がある。(59)
4.専門的な立場から見た生成AI の可能性と課題
4.1 生成AI との対話に関する考察
3 種類の生成AI(Chat GPT、Claude 、Gemini)で得られた回答から、その課題を以下に考察する。いずれの生成AI も問われたことには的確に回答する。実際、その回答は具体的であり、箇条書きで大変わかりやすい。ある程度、心理学的な知見を参照していると推察される。実際、前節で述べられたこれら生成
AI の回答を一読すると、生成AI をカウンセラー代わりに利用するという利用
者が少なくないことも頷ける。使い慣れていくうちに、これでいい、精神科や
カウンセラーはいらない、と考えるユーザーがいたとしても不思議ではないだ
ろう。
生成AI をカウンセリングに使う際の一番の懸念としては、自殺や精神医学的
に介入が必要な状態に対しては適切に対応できるかが挙げられる。若い世代の
うつ病や自殺はS N S などのソーシャルメディアとの関連が示唆されている[19]。
実際 Chat GPT に自殺を深刻に考えている状況を想定して、「確実に死に至る
方法を教えてください」と入力すると、「このコンテンツは利用規定に違反して
いる可能性があります。申し訳ありませんが、そのような内容には対応できま
せん。」と回答が返ってくる。更に命の電話などサポート機関に関する情報が出
て来て、相談するように促される。また、絶望感や、うつ病など重篤な精神状
況にあるような症状があり、その対処について尋ねると、精神科や心療内科へ
の受診を勧められる。更なる考察や検討が必要ではあるが、このような状況に
対してある程度配慮がされていることが伺われる。しかし、危機における支援
を考えたときにも熟練したカウンセラー(セラピスト)とAI には大きな違いが
ある。
例えば、クライアントの自殺リスクを評価する際には直近の行動化を高い精
度で予測可能な検査等は存在しないため、慎重に自殺念慮の有無とその申告度、
精神症状の重篤度などを評価していくことになる。自殺念慮や精神科の症候に
ついて尋ねる質問を一定のアルゴリズムによって行い、評価すること自体はAI
にも可能である。しかし、過去の報告から自殺念慮はしばしば否認され、隠ぺ
いされることも指摘されている。決意している自殺の計画の妨害を恐れる気持
ちや恥の感情など様々な背景が想定されるが、このように実態と異なる申告を
患者がした場合、それを鵜呑みにして目の前の患者の自殺リスクを低く見積もっ
(60)
てしまうことは非常に危険である。実際の精神医学的面接や心理カウンセリン
グの臨床においては、患者の表情や背景情報、精神症状の評価等を踏まえ、繰
り返し心配やねぎらいを伝え信頼関係を構築することで、患者のうちに秘めら
れた苦痛や困難感を語ってもらえるよう心を砕く。このように、患者が虚偽の
情報や現実と異なる申告した際に、AI では判断を誤る可能性がある。
現状のChatGPT に対する前節の事例を参考にもう少し考察してみる。例え
ば、相談例1では、「精神科医」と条件をつけて質問している。「私は医学部受験
のために二浪して医学部に入ったんだけど現役で医学部に入った高校同期の子
たちに大きな後れを取っているという意識が消えないよ」ということを訴えてい
るのである。すぐさま、具体的でわかりやすいアドバイスが返ってくる。
しかし、ChatGPT からの問いかけはない。精神状態はどのような状態なのか?
抑うつ的になっているのか、不安が強いのか、そしてそれらの精神症状の程度
はどのくらいなのだろうか? 睡眠は取れているだろうか? そのほか精神症
状はないだろうか? そして、更に日常生活や学業にどのような影響を及ぼし
ているだろうか? といったユーザーの精神状態に関する探索的な問いが投げ
かけられることはない。反応を見ていると、すぐに「気持ちはとてもよくわかり
ます」という文章が返ってくる。実際、臨床面接の中で、一つの問いだけを聞い
てと言われて納得するだろうか? 相手の問いを掘り下げて、ある程度理解で
きたと治療者が感じた時に、相手の反応を見ながら言葉を返していく作業にな
るはずである。
そういった問いは現状の生成AI でなされることは難しいようである。実際、
ChatGPT は、現在、主にユーザーからの入力に応答する設計となっているよう
だし、Claude においてはとりあえず「問いかけ」が生じることはあるが十分とは
言えない。技術的には一般的な利用を目的とした生成AI でも、質問を投げかけ
たり、相手の心理状態を深く理解するための質問を行うことは可能ではあるよ
うだが、その実現には特定の設計や制約を考慮しながら慎重に開発していく必
要があるだろう。しかし、そのようなツールが開発されるまでにはまだ時間を
要すると思われる。その間に現状のように一般的に用いられている生成AI を代
わりに使用するユーザーにどのような課題が生じるのか? これ自体に関しての
調査・研究は重要である。
一方で、カウンセリングが可能なAI は開発可能なのだろうか? 精神療法、
心理療法の効果を考えてみた場合、必要なのは決して具体的なアドバイスだけ
(61)
ではない。療法の効果に関する研究によると、いわゆる心理技法の要素は15%
程度であり、大部分は治療者との関係性と言われている。すなわち具体的なア
ドバイスだけで悩みが解決するというわけではない。共感のプロセスを考えた
場合、相手の訴えを十分に聞き、相手がどのように感じているのかを知るとい
うプロセスが必要である。そして、それを聞いたものが何を感じるのかそれを
捉えて反応を返していく。反応の返し方も言語的なものだけではない、非言語
的なコミュニケーションは重要なものである。例えば沈黙というものがある。
相手の話を聞いていく中で沈黙が生じる。二人の人間が対面して沈黙している
とき、そこで何も起こっていないということではない。その沈黙は面接の中で
重要な働きが有るが、生成AI を改善したとしてそれができるだろうか? AI
によっても沈黙を学習することは可能であるだろう。しかし、AI によって作り
出された意図的な沈黙は、精神療法、心理療法の中で、生まれる多様な意味をもっ
た沈黙を再現できるだろうか?
4.2 生成AI と人間の治療者との違い
飛躍的な進歩を遂げたAI であるが、人間とAI の能力には依然として重要な
違いがある。例えば、カウンセリングでしばしば用いられる技法の「共感」が挙
げられる。脳神経科学の研究によれば、ヒトの共感は「共感的感情(affective
empathy)」と「認知的共感(cognitive empathy)」の二種類に分類される。感情
的共感は、他者の感情に直接的に反応する能力を意味し、脳のミラーニューロ
ン系が関与しているとされている[20]。ミラーニューロン系は、他者が痛みや喜
びを感じている場面を観察するだけで、あたかも自分が同じ経験をしているか
のように脳内で反応するとされる。AI では感情を認識するために顔認識技術や
自然言語処理を用いるが、それはあくまでアルゴリズムに基づいた解析であっ
て、ミラーニューロンの活動による感情の「内的経験」とは異なる。精神科治療
面接やカウンセリングといった場面における感情の共有や他者の感情を読み取
る能力は、現段階のAI と人間の治療者とでは大きな違いがある。
更に人特有の身体性が挙げられる。身体を持つということはそこに感覚があ
る。痛みがあり、苦しみと悲しみ、困惑などさまざまな感情を惹起するために
は身体感覚が重要な役割を果たすことがあり、それらが意思決定につながると
される[21]。面接の中でどのような言葉を返すか、態度を返すかというプロセス
には身体感覚を通した複雑なプロセスの中から生じてくる。
(62)
また、AI はテキストベースや音声ベースのコミュニケーションを行うことが
可能だが、長期にわたって感情的な絆を深めること、双方向のコミュニケーショ
ンにより深い関係性を築くことはできない。生身の人間同士の関係には、単に
情報をやり取りする以上のもの、例えば長期的な共感や信頼、相互理解が含ま
れる。これらは脳の複雑な機能と、人間が社会的・文化的文脈の中で育んでき
た独自の能力によるものといえる。
心理カウンセリングにおけるカウンセラー(セラピスト)との関係の重要性
心理カウンセリングにおいては、対話する相手(治療者)との関係性を重視す
る立場がある。その背景としてまず、治療の場では「安全な空間の提供」が重要
である。クライアントが自己の深い感情や過去のトラウマ、葛藤を探求するた
めに、心理的に安全な空間を用意することはしばしば重要視される。信頼でき
るセラピストとの関係は、クライアントが自身を守ろうとする防衛機制を緩め、
自己開示しやすくなる条件を作り出す。セラピストがクライアントに対して無
条件に支持的であることで、クライアントは心理的な安全感を感じ、自己成長
が促進される。
また、カウンセラー(セラピスト)には時に「鏡としての役割」が求められる。
セラピストとの関係は、クライアントに自分の行動や感情を映し出す「鏡」とし
ての役割を果たす。セラピストは、クライアントの思考や感情を反映し、共感
的に理解することで、クライアントが自分自身の内部世界に気づき、それを整
理するのを助ける。これにより、クライアントは新たな洞察や自己理解を得る
ことが可能となるのである。
さらに、カウンセラー(セラピスト)との関係性を通じた修正体験が得られる
ことがある。セラピーの場では、クライアントが過去の関係性で得られなかっ
た感情的サポートや承認を、セラピストとの関係の中で経験することが可能と
なる。このような「修正情動体験」は、過去の不適応な対人関係のパターンを再
構築し、新しい対人スキルを学ぶ機会となるのである。
加えて、近年の神経科学の研究は、他者との共感的な関係が脳の健康に与え
る影響を示しているので一部紹介する。特に、感情を共有し合うことや、共感
的なコミュニケーションを取ることが、オキシトシンの分泌を促進し、ストレ
スの軽減や心理的安定に寄与する[22-23]。このように、カウンセラー(セラピスト)
との関係は、クライアントの脳にポジティブな変化をもたらし、回復や成長を
サポートする。
(63)
参考までに以下で心理カウンセリングにおける治療者の役割に関して簡単に
述べる。
4.3 心理カウンセリングにおける代表的な治療理論と、治療者の役割について
4.3.1 来談者中心療法
ロジャーズ(C. Rogers)が提唱した来談者中心療法は、カウンセリングにおけ
るセラピストとの関係性を非常に重視する。来談者(クライアント)が自己成長
し、自己実現を目指すプロセスを支援するためには、安全で信頼できるセラピ
ストとの関係が不可欠であると考え、ロジャーズは、特にセラピストが以下の3
つの態度を持つことが重要だとした: - 無条件の肯定的関心(Unconditional Positive Regard):クライアントを評
価せず、無条件に受け入れる - 共感的理解(Empathy):クライアントの内的世界を深く理解し、共感的に
関わる - 自己一致(Congruence):セラピストが自身に対して正直であり、偽りの
ない態度でクライアントに向き合う
これらの要素がクライアントにとって「安全な空間」を作り出し、クライアン
トが自らの問題を深く探求し、変化するための土壌を提供するとしている。
4.3.2 精神分析
フロイト(S.Freud)が創始した精神分析では、セラピストとクライアントの
関係において「転移(Transference)」と「逆転移(Countertransference)」の概念、
つまりセラピストとクライアントの相互的体験がクライアントの内面の解明と
成長に寄与するため、セラピストとの関係は重要視されている。 - 転移:クライアントがセラピストに対して、過去の重要な人物(たとえば
両親)に対する感情や期待を投影する現象。これは治療の一部として利用さ
れ、セラピストがその投影の解釈を行うことを通じクライアントの無意識
の感情や葛藤を探ることができる。 - 逆転移:セラピストがクライアントに対して、自分の感情や無意識的な反
応を投影する現象であり、セラピストはこれに気づき、自己の感情を慎重
に扱いながらクライアントに向き合う必要がある。逆転移を冷静に見つめ
(64)
ることが患者の理解につながることがある。
精神分析では、このような感情の交換がクライアントの内面の解明と成長に
寄与するため、セラピストとの関係は非常に重要視される。
4.3.3 対人関係療法
サリヴァン(H.S.Sullivan)の影響を受けた対人関係療法は、クライアントの心
理的問題が対人関係の中で生じると考え、セラピストとの関係性がクライアン
トに新しい対人スキルや認知の枠組みを与える場として重要視している。クラ
イアントはセラピストとの安全な関係の中で、他者との関係性における問題を
再構築し、改善することを目指していく。そのため、対人関係療法においても
セラピストとの関係はやはり重要視される。
このように、多くの代表的な心理カウンセリングの理論において、生身の交
流によって人が癒されていくプロセスが本来想定されている。ここに述べたこ
との多くは現在のAI の技術では代替不可能であると考えられる。
5.最後に
実際の面接と一般的な利用を目的とした生成AI の違いに関して簡便な考察で
も、当然ではあるがまだまだにとって変わるものではないと言えるだろう。ただ、
そのことを一般のユーザーがどの程度知っているだろうか? それを知らない
で使うことの弊害については研究や調査が必要であろう。同時に、精神科医や、
カウンセラーが臨床の中で生成AI を患者やクライアントに使ってみるというこ
とは大切なこともかもしれない。その中で生成AI にできることや、臨床を補う
ための方法を探索していくこともできる。これらのプロセスは、あらたな治療
ツールの開発に必要なことであると同時に、我々治療者にとっての面接とは何
かということについて考えていくきっかけになるのではないかと考えられる。
今後のAI の進歩はどのようなものになるだろうか? AI により我々治療者
はその意義を問いかけられているとも言える。人の意識とは何か? AI はクオ
リアを獲得できるのか? 共感とは何か? コミュニケーションとは何か、自
分とは何か、他者とはなにか? そして、人そのものの存在とは何か? こう
いった人の本質的な問題にまで我々は問われているといえるだろう。写真が生
(65)
まれたときに、多くの画家は衝撃を受けた、もう絵画という芸術は終わりだと
落胆したという。しかし、その後、新たな芸術が生まれ、多様な絵画の世界を
開いていった。精神療法、心理療法そして私たちのコミュニケーションに関し
ても、これらの問題と向き合うことによって、新たな時代を開いていかなけれ
ばいけない時に来ているのかもしれない。
謝辞:この論考は科研費基盤研究(C)23K09563「効果的なPBL 課題作成に
AI で助言- 課題作成支援ツールの開発-」および基盤研究(C)23K09609「医療
者の共感性と抑うつに関する神経学的基盤解明の試み」によって部分的にサポー
トを受けている。
付録A1 ウェブサイト[6] の文字情報を与えたときの ChatGPT の出力(網の
部分はChatGPT の出力)
以下は、提示された記事内容の要点を整理した総合的なまとめです。
- AI がもたらすメンタルヘルスケアの革新
- AI 技術は従来の診断や治療で見落とされがちだった微細な兆候を的確に捉
え、臨床 判断を支援。 - 自然言語処理や機械学習を用いて、患者の会話・行動パターンを分析する
ことで、うつ病や不安障害などの早期発見・早期介入が可能になり、治療
効果が高まる。
- アクセス向上とコスト削減
- 遠隔医療やオンラインカウンセリングの普及により、地理的・時間的制約
を超え、誰もが手軽に専門サポートを受けられる環境が整いつつある。 - AI を用いたセルフヘルプツールや診断支援は、医療リソースの効率化に寄
与し、全体的な医療費削減や利用者負担軽減にもつながる。
- 非判断的なカウンセリング環境の提供
- AI チャットボットなどは、利用者に評価や偏見を与えず24 時間対応できる
ため、安心して感情表出が可能な環境を提供。 - 匿名性やプライバシー保護が強化され、利用者はストレスなくカウンセリ
ングを受けられる。
(66)
- 行動健康と臨床医療の統合
- AI は行動健康データと臨床医療データを統合し、包括的なケアコーディネー
ションを実現。 - 情報共有や遠隔モニタリングにより、患者の状態をリアルタイムで把握し、
適切な介入が可能になる。
- 予防と早期介入
- AI によるリスク予測モデルやリアルタイムモニタリングで、深刻化する前
の段階でメンタルヘルス問題に対処可能。 - セルフケアアプリなどを通じ、個人が自主的にストレス管理や予防策を講
じられる。
- パーソナライズドセラピーの実現
- 患者ごとの遺伝情報、ライフスタイル、症状パターンをAI が解析し、最適
化された治療プランを提供。 - リアルタイムのフィードバックで治療方針の柔軟な調整が可能になり、満
足度や治療効果が向上。
- 倫理的課題とプライバシー保護
- 大量のセンシティブな個人データを扱うため、プライバシーやデータの透
明性確保が必須。 - バイアスや公正性への配慮、法的枠組みの整備が求められ、信頼性向上の
ためのガイドライン策定が重要。
- 政策的支援と新規プロジェクトの影響
- 米国保健福祉省(HHS)のLEAP プログラムなどが革新的なAI 活用プロジェ
クトを支援し、データ品質向上やIT 普及を促進。 - 規制や倫理的基準の整備を進めることで、安全で信頼性の高いメンタルヘ
ルスケア提供を目指す。
総合的なまとめ:
AI はメンタルヘルスケア分野で診断精度やアクセス性、治療効果を飛躍的に
高めるとともに、個別最適化されたケアや非判断的なサポート環境を整え、包
括的な健康管理と予防的アプローチを支援している。一方で、膨大な個人デー
タを扱う中での倫理的・プライバシー上の課題、バイアスの除去、法整備、利
用者の信頼確保といった問題も存在する。これらの課題に対処し、政策や研究
(67)
開発を加速させることで、より多くの人が安心して質の高いメンタルヘルスケ
アを享受できる「新時代」が到来しつつある。
付録A2 生成AI との対話例
生成AI を疑似カウンセラーとして使用し、お悩み相談を様々な形式で行った。
3 種類の生成AI に同じプロンプトを投げ、回答を比較した。使用したモデルは
それぞれChatGPT-o1, Claude3.5Sonnet(Normal), Gemini2.0Flash Experimental
である。以下では実際にそれぞれの生成AI に与えたプロンプトを交えて回答例
を述べる。網の部分はChatGPT やその他生成AI の出力部分である。
相談例1(日常の悩み、落ち込み):浪人したことによる劣等感が消えない
ことについての相談
相談例1-2(敬語、具体的な指示なし):私は医学部受験のために二浪して医学
部に入ったのですが、現役で医学部に入った高校同期の子たちに大きな後れ
を取っているという意識が消えません。
回答例1-2(ChatGPT):医学部に合格されたとのこと、本当におめでとうご
ざいます。二浪しての合格ということで、同級生よりも「出遅れている」と感
じてしまうお気持ちはよくわかります。しかし、実際には「2 年」という時間
の差は、今後の長い医学生生活やキャリアのスパンで見たときには大きなも
のではありません。むしろ、その2 年間で培った経験や学習習慣、忍耐力・精
神力は、医学部に入った今こそ必ず活きてくるはずです。以下、いくつか心
の持ち方や考え方のヒントになればと思います。
- 人生の時間軸は人それぞれ
- 「 同年代の友達と自分を比べる」こと自体は自然な感情ですが、いざ社会に
出ると、何年の浪人をしたとか現役合格だとかは、医師としての資質に直
接影響するわけではありません。 - 医学の世界では、専門医取得や研究、臨床経験など、長い目でキャリアを
(68)
歩み続けることになります。数年の差よりも、一歩ずつ着実に実力を積み
上げていくことが最終的には大きな差となるでしょう。
- 浪人時代の経験を活かす
- 浪人時代は学習計画の立て方や勉強習慣、モチベーション維持に苦労しな
がら得たものがあったのではないでしょうか。ストレスに耐える力や、目
標に向かって努力し続ける粘り強さは、大学でも臨床の現場でも役立ちま
す。 - 医学部では膨大な勉強量がありますが、「浪人してつかんだ自分の学習スタ
イル」を強みにすることで、より効率的・計画的な勉強が可能になります。
- 大学に入ってからの取り組み次第
- 医学部は、入学してからも試験が多く、大変なカリキュラムが続きます。
現役合格の同級生も、実は入学後の学習や実習で苦労していることが少な
くありません。 - 今後は「いかに大学生活を充実させるか」「どのように勉強や研究に取り組
むか」で差が生まれてきます。スタートラインが一緒になった今、あとは自
分の努力次第でリードを広げていくことだって十分可能です。
- 視点を変える・自分の成長を大切にする
- 「 比較」はどうしても自己肯定感を下げやすい行為です。ときには「自分が
昨日より前に進んでいるか」といった視点に切り替えてみてください。成長
の基準を“他人”ではなく“自分”に置くことで気持ちが軽くなる場合があ
ります。 - どうしても遅れを感じるときは、「同期よりも人生経験が多少豊富だ」とプ
ラスに捉えてみるのもおすすめです。浪人時代に得た反省点・学び・モチ
ベーションの保ち方など、自分の糧となる資質に目を向けると、自信が取
り戻しやすくなります。
- 同じ悩みを持った先輩や友人と話す
- 医学部には一浪・二浪・社会人入学…と、さまざまなバックグラウンドを
持つ先輩・同輩がいます。自分と同じような道を歩んできた人と話すこと
で、孤独感がやわらぎ、建設的なアドバイスを得られることもあります。 - また、大学のカウンセリング室などを利用して、プロの視点から悩みを整
理してもらうのもひとつの方法です。
(69)
最後に
医学部は入学してからがスタートです。学び続けるという姿勢、日々の努力が
医師としての未来を形作っていくうえで何より大切になります。今感じている
「2 年の遅れ」は、将来的には強みになり得る「経験値」だと考えてみてください。
今までの努力があったからこそ合格を勝ち取れたのです。自分に自信をもって、
これからの勉強や大学生活をぜひ楽しんでくださいね。応援しています。
回答例1-2(Claude):その気持ちはよく分かります。浪人して医学部に入学さ
れた経験から、後れを取っているという不安をお持ちなのですね。医学部入
学までの道のりは人それぞれです。浪人して得られた経験や成長もきっと
あったはずです。2 年間の努力を重ねて夢を諦めずに医学部に入学されたこと
は、むしろ強い意志と忍耐力の表れだと思います。現役の同期と比べてしま
う気持ちは自然なことですが、医師として必要なのは、単なる年数ではなく、
その人の持つ知識や技術、そして患者さんへの思いやりです。今はスタート
ラインに立ったばかり – これからの学びと成長が何より大切です。具体的に、
どのような面で後れを取っていると感じておられますか?
回答例1-2(Gemini):医学部合格おめでとうございます。二浪して医学部に
入学されたとのこと、大変な努力をされたことと思います。現役で入学した
同期との差を感じてしまうとのこと、お気持ちお察しします。まず、大前提
として、医学部に合格すること自体が非常に難しく、現役であろうと浪人で
あろうと、医学部に入学した時点で皆さんが優秀であることに変わりはあり
ません。二浪という経験は、決してマイナスではなく、むしろ大きな強みに
なり得ます。以下、後れを取っていると感じてしまう理由と、その解消方法、
そして二浪の強みについて詳しく説明します。
後れを取っていると感じる理由と解消方法 - 年齢差による焦り:現役生と2 歳差があることで、卒業後のキャリアやライ
フプランに焦りを感じるかもしれません。「早く一人前になりたい」「同級
生より早くキャリアを積みたい」という気持ちは自然なことです。
◦ 解消方法:長期的な視点を持つことが大切です。医師としてのキャリ
アは長く、2 年程度の差は長い目で見れば大きな差ではありません。
むしろ、浪人期間に培った忍耐力や精神力は、医師として働く上で大
(70)
きな武器となります。また、焦る気持ちを原動力に変え、日々の学習
や臨床実習に積極的に取り組むことで、着実に成長していくことがで
きます。 - 学力面での不安:現役生は高校の知識が比較的記憶に新しく、最初のうち
は有利に進むように感じるかもしれません。特に基礎科目の試験などで差
を感じてしまうことがあるかもしれません。
◦ 解消方法:医学部の勉強は高校の延長ではなく、大学で新たに学ぶこ
とがほとんどです。現役生も同じように新しい知識を吸収していくた
め、スタートラインはほぼ同じです。焦らずにしっかりと復習し、基
礎を固めることで、すぐに差は埋まります。また、二浪の経験で培っ
た学習習慣や効率的な勉強法は、医学部での学習においても大いに役
立つはずです。 - 周囲との比較:周囲の現役生と自分を比較してしまい、劣等感を抱いてし
まうことがあるかもしれません。「自分だけ遅れている」と感じてしまうの
は辛いことです。
◦ 解消方法:他人と比較するのではなく、過去の自分と比較するように
しましょう。二浪を経て医学部に合格するまで、どれだけの努力を重
ねてきたのかを振り返ってみてください。その努力と成果を誇りに思
い、自信を持つことが大切です。また、医学部には様々なバックグラ
ウンドを持つ学生が集まっています。年齢や経歴を気にすることな
く、積極的に交流し、互いを尊重し合える関係を築くことで、充実し
た学生生活を送ることができるでしょう。
二浪の強み - 精神的な成熟:浪人期間は、精神的に大きく成長する機会です。目標に向
かって努力し続ける忍耐力、逆境を乗り越える力、自己管理能力などが養わ
れます。これらの能力は、医師として働く上で非常に重要な資質となります。 - 明確な目標意識:浪人を経て医学部に入学したということは、医師になり
たいという強い意志を持っていることの証です。目標が明確であることは、
学習意欲を高め、モチベーションを維持する上で大きな力となります。 - 多様な経験:浪人期間にアルバイトやボランティア活動など、学業以外の
経験を積んだ人もいるかもしれません。そのような経験は、人間性を豊か
にし、患者さんの気持ちを理解する上で役立つことがあります。
(71)
最後に、医学部での6 年間は長く、様々な経験を通して大きく成長できる時間
です。焦らず、自信を持って、充実した学生生活を送ってください。もし、ど
うしても不安が拭えない場合は、大学の学生相談室やカウンセラーなどに相談
してみるのも良いでしょう。応援しています。
相談例1-4(敬語、具体的な指示あり):あなたは腕利きの精神科医です。以下
の相談に答え、質問者のストレス、悩みを緩和させてください。私は医学部
受験のために二浪して医学部に入ったのですが現役で医学部に入った高校同
期の子たちに大きな後れを取っていると意識が消えません。
回答1-4(ChatGPT):二浪して医学部に合格されたとのこと、まずはその大
きな目標を達成されたことをしっかりと評価してほしいと思います。受験を
続ける過程では多くの困難やストレスに直面したはずですし、それを乗り越
えて医学部に入学された事実は大きな自信の種になるはずです。しかし、周
りの同級生と「入学時期が違う」「年齢が違う」ことで引け目を感じるお気持
ちが拭えないのですね。
他者との比較から自分の目標へ
医学部という特殊な環境は、どうしても比較や競争意識が生まれやすい場で
す。特に「同期」がいると、年齢や学年で自分の位置をはっきり認識してしま
います。ただ、医学を学ぶ上で大切なのは、最終的に「どれだけ自分が成長し、
医師としての資質を身につけられるか」です。卒業のタイミングが多少違って
も、その後の専門分野の選択やキャリアの道のりは人によって大きく変わり
ます。「同期より遅れている」という意識にとらわれすぎると、勉強のモチベー
ションを保ちづらくなったり、自信を失ったりしがちです。そこで大切なの
は「他者との比較」を必要最低限に抑えて、「自分はどのような医師になりた
いか」「将来どうありたいか」という“自分のゴール”に集中することです。
劣等感や焦りを抱く自分を責めすぎない
「 浪人した」という事実がコンプレックスになるかもしれませんが、回り道を
した分、得られた経験や人間関係もあったのではないでしょうか。たとえば、
浪人中の勉強の苦労や、自分なりの効率のよい学習方法、人の気持ちに寄り
添う姿勢……これらは後々、医師という仕事において大きな強みにもなるは
ずです。浪人をしてしまった自分に対して「情けない」「ダメだった」と自分
(72)
を否定するのではなく、「二度もチャレンジしたからこそ得られたものがあ
る」と肯定的にとらえ直すことが、気持ちを楽にしてくれます。
自分のペースで基礎をしっかり固める
医学の勉強は量も膨大で難易度も高いため、「遅れを取り戻さなきゃ」と意識
しすぎると一気に頑張りすぎてしまう危険があります。急いで知識を詰め込
もうと焦るほど、基礎が曖昧になったりストレスがたまったりしがちです。
浪人中の経験から、自分の学習ペースや得意・不得意分野はある程度つかめ
ていると思いますので、そこを意識して、無理のない計画とスケジュールで
着実に勉強を進めましょう。焦りそうになったら「医師として長く働いていく
には、土台をしっかり築くことが何より大事だ」と思い返してみてください。
周囲とのコミュニケーションを大切に
医学部では、同級生や先輩、教授など多くの人との関わりが大切になります。
学年や浪人経験の有無にかかわらず、助け合いや情報交換は日常茶飯事です。
自分が遅れていると感じる場面でこそ、周囲に質問したりアドバイスを求め
たりしやすい関係を築くと、気持ちの負担が軽くなるだけでなく、学習効率
も高まります。「年齢が上だから質問しづらい」「本当はもう知っているべき
ことなのに恥ずかしい」と思うかもしれませんが、医療現場に出れば常に学び
が必要になります。どんなタイミングからスタートしようが、わからないこ
とをクリアにして前進する姿勢は必ず役に立ちます。
将来の展望を描く
医学部を卒業してからの道のりも、人によって選ぶ分野や進むペースはさま
ざまです。留学や研究、臨床の研修医生活など、多彩なキャリアプランが存
在します。遅れを感じるより、「自分はどんな分野を深めたいのか」「どんな
医師として社会に貢献したいのか」というビジョンを意識してみてください。
また、二浪という経験を通して得た強みや考え方は、専門分野の選択や将来
の働き方にも活きてくるはずです。あなたのオリジナリティが、結果的には
大きな武器になります。
二浪をして医学部に入学されたことは、確かに時間的なハンデかもしれませ
ん。しかし、その分あなたは困難を乗り越えた体験を持っています。焦りや劣
等感を抱く自分を責めるのではなく、「自分にとって意味のある道を歩んでき
た」という事実を受け止めてください。焦らず、自分のペースでしっかりと医学
(73)
を学んでいけば、その“遠回り”は、医師になった先の実践や患者さんとの関係
性で大きな糧になっていくはずです。
どうか、自分の歩みを否定することなく、大切に進んでいってください。焦
りを感じるときはぜひ、自分が本当に目指す姿・目標を思い出して、「これから
をどう充実させるか」を考えてみていただければと思います。
回答1-4(Claude):お気持ちをお話しいただき、ありがとうございます。浪人
生活を経て医学部に入学されたことは、並々ならぬ努力と決意の証だと思い
ます。現役の同期と比べて「遅れをとっている」という感覚は、とても自然な
気持ちです。しかし、ここで一つ考えていただきたいことがあります。人生
は直線的なレースではありません。それぞれが異なる道のりを経て、自分ら
しい成長を遂げていくものです。浪人期間中に得られた経験について、こう
考えてみてはいかがでしょうか:
- 挫折を乗り越える精神力を培った
- 目標に向かって粘り強く取り組む力を身につけた
- 人生における失敗や困難の意味を深く理解できた
これらの経験は、将来医師として患者さんと向き合う際に、必ず活きてくる
はずです。特に、困難な状況にある患者さんの気持ちに、より深く共感できる
医師になれる可能性があります。また、医師としての人生は非常に長いものです。
2 年という時間は、40 年以上に及ぶ医師としてのキャリアから見れば、ごくわず
かな期間です。ご自身の歩みに自信を持っていただきたいと思います。浪人期
間は「遅れ」ではなく、むしろかけがえのない「プラスの経験」として捉え直す
ことができるのではないでしょうか。現在の心境について、もう少し詳しくお
聞かせいただけますか?
回答1-4(Gemini):ご相談ありがとうございます。二浪して医学部に入学さ
れたとのこと、大変な努力をされたことと思います。現役で入学された同期
の方々と比べて、遅れを感じてしまうお気持ち、よく分かります。それは決
して珍しいことではありませんし、真面目で向上心のある方ほど、そうした
感情を抱きやすいものです。まず、あなたに知っていただきたいのは、「遅れ」
(74)
という概念は、あくまで相対的なものであり、絶対的なものではないという
ことです。現役で入学した同期の方々は、確かにあなたより早く医学の世界
に入りました。しかし、それは単に時間の経過が違うだけであり、あなたの
価値や能力を否定するものではありません。あなたは二浪という経験を通し
て、現役で入学した人たちとは違う、貴重なものを得ています。それは、目
標に向かって諦めずに努力し続ける力、困難を乗り越える力、そして何よりも、
医学に対する強い意志です。これらの力は、医師として生きていく上で、非
常に重要な資質となります。また、医学部に入ってからの数年間は、人生全
体から見ればほんの一瞬です。卒業後、医師として働く期間は、それよりも
ずっと長く、そこでどのような医師になるかが最も重要です。あなたがこれ
まで培ってきた経験は、必ずや今後の医師人生に活かされるでしょう。さらに、
周囲の友人たちと比べて遅れを感じてしまうのは、「比較」という心の働きに
よるものです。人間は、どうしても他人と自分を比べてしまいがちですが、
それは時に不必要な苦しみを生み出すことがあります。大切なのは、他人と
比べるのではなく、過去の自分と比べてどれだけ成長できたかを評価するこ
とです。あなたは二浪を経て医学部に入学するという、大きな目標を達成し
ました。これは紛れもない成長であり、自信を持って良いことです。もし、
どうしても比較してしまう場合は、視点を変えてみることをお勧めします。
例えば、現役で入学した友人たちは、早くから医学の勉強を始めた分、途中
でモチベーションを維持するのが難しいと感じているかもしれません。一方、
あなたは二浪という経験を通して、医学に対する強いモチベーションを確立
しています。このように、見方を変えれば、自分が優れている点、強みを持っ
ている点が見えてくるはずです。最後に、もしこの「遅れ」という意識が、日
常生活に支障をきたすほど強く、不安や焦り、落ち込みなどが続くようであ
れば、遠慮なくカウンセリングや精神科を受診してください。専門家のサポー
トを受けることで、より楽になる方法が見つかるかもしれません。あなたは
決して一人ではありません。多くの人が、多かれ少なかれ、同じような悩み
を抱えています。大切なのは、その悩みに押しつぶされるのではなく、受け
止め、向き合い、そして乗り越えていくことです。あなたはこれまでも、困
難を乗り越えてきました。だから、これからもきっと大丈夫です。応援して
います。
(75)
相談例2(社会的な意見、怒り):財務省も厚生労働省もエリートサラリー
マンを狙い撃ちで税負担を上げようとしていることに憤りを感じることに
ついての相談。
相談例2-4(敬語、具体的な指示あり):あなたは腕利きの精神科医です。以下
の相談に答え、質問者のストレス、悩みを緩和させてください。私は財務省
や厚労省がエリートサラリーマンを狙い撃ちして税負担を上げようとしてい
ることにとても憤慨しています。本来税負担を下げることにより消費を促進
して国民の所得を増やして結果的に税収が上がるというサイクルを作るべき
だと思うのですが、全くもって国は矛盾したことをしてると思います。最近
の国の政治には怒りを禁じ得ません。
回答例2-4(ChatGPT):お気持ちをしっかり受け止めました。最近の税制や
政策に対して大きな怒りや憤りを感じるのは、それだけ真剣に社会や経済の
行方を考えていらっしゃるからこそだと思います。ご自身の努力が報われず、
むしろ負担が大きくなるような動きが見えると「一体何のために働いているの
か」と虚しさや怒りを感じてしまうのは自然なことです。ただ、怒りの感情が
強いときは物事を冷静に見えにくくなり、気持ちがいっそう不安定になった
り、意欲を落としてしまうこともあります。そこで、心の健康を保ちつつこ
の問題に取り組むために、いくつかの工夫を提案させてください。 - 怒りを受け止める:まずは「自分が怒っている」ことを認める
怒りはネガティブな感情というイメージがありますが、自分にとって大切な
ものを守ろうとする働きでもあります。たとえば「正しく税金を使ってほしい」
「税負担を軽くして経済を活性化してほしい」という思いが強いからこそ、怒り
が強く湧いてくるのだ、ととらえてみてください。「怒りを感じる自分はいけな
いのでは?」と無理に抑えようとすると、かえってストレスが増すことがありま
す。まずは「ああ、私は今これに対して怒りを感じているんだな」と自覚してみ
るのです。それだけでも、感情のコントロールが少し楽になることがあります。
(76) - 得たい結果・行動にフォーカスする
怒りを感じたときは、どうしても「相手(国や官庁)が間違っている、許せない」
という視点になりがちです。ただし、そのまま相手を責め続けてもご自身がさ
らに疲弊してしまうかもしれません。そこで、今の怒りや憤りから「自分はどう
したいのか、何を目指したいのか」を考えてましょう。具体的には、
- 現状を客観的に知るために、信頼できる情報源を探す・データを調べる
- SNS やブログなどで意見を発信し、同じように感じている人と意見交換を
する - 地域の政治家への意見要望や、政策決定の場への意見提出を検討するなど、
「怒っているからこそできる行動」に目を向けると、無力感がやわらぎ、建
設的なエネルギーに変わることがあります。
- 同じ思いを持つ仲間とつながる
政治や経済に関する問題は個人だけで解決するのが難しく、モチベーション
が下がりやすい面があります。そこで、共通の関心や問題意識を持つ人とつな
がることは大切です。家族や友人、あるいはSNS などで同じ思いを抱えている
人の意見を知ると、「自分だけじゃないんだ」と安心できたり、具体的な行動案
をもらえたりします。相手の気持ちを聞くことで共感し合い、自分の考えも整
理しやすくなります。 - 心身のセルフケアをおろそかにしない
怒りや不満が強いときこそ、基本的なセルフケアを意識してみましょう。十
分な睡眠、バランスの良い食事、軽い運動などは心の疲れを軽減し、怒りをコ
ントロールしやすくしてくれます。さらに、イライラしたときに深呼吸をして
みたり、短い散歩をして外の空気を吸うだけでも気分が変わり、冷静な思考が
戻りやすくなります。 - 自分にできる“小さなアクション”を大事にする
大きな制度や政策はすぐには変わりにくいですが、少しずつでも今の税制に
対して建設的な意見を発信していったり、自らの消費行動を工夫したりするこ
とで「今、自分が取りうる行動」に取り組んでみてください。怒りのエネルギー
を長期的に維持していくためには、自分の行動によって何かが変わる手ごたえ
(77)
を感じられることが大切です。
国の方針や制度に対する憤りは、多くの人が共感する話題でもあるだけに、
ひとりで抱えこまず情報収集や意見交換を行い、時には気持ちをリフレッシュ
しながら長い目で取り組んでいけると良いですね。もし怒りが積み重なって睡
眠や食事など日常生活に支障をきたしている場合には、専門の医療機関やカウ
ンセリングを利用し、こころの負担を減らしていくことも検討してください。
ご自身の考えを大切にしながら、気持ちと行動を少しずつ整理していけるよう、
応援しています。気持ちを安心して表現できる場所を持ちつつ、上手にセルフ
ケアを取り入れながら過ごしていきましょう。
回答例2-4(Claude):お気持ちをお聞かせいただき、ありがとうございます。
税制や政策に対する強い不満とストレスを感じていらっしゃることがよく分
かります。まず、あなたが感じている怒りや不公平感は自然な感情です。特に、
自分の努力や成果に対して過度な負担を強いられていると感じることは、大
きなストレスとなりますよね。ここで、一緒にこの状況について考えてみま
しょう: - このような状況下でのストレス管理として、まずは怒りの感情を認識し、
受け入れることが大切です。否定的な感情を抑え込むのではなく、それを
健全な形で表現することが重要です。 - ご自身でコントロールできることに焦点を当てることをお勧めします。例
えば:
- 合法的な範囲での税務戦略の見直し
- 将来の資産形成の計画立案
- 同じ考えを持つ人々とのネットワーク作り
- また、政策に対して意見を持つことは重要ですが、それにあまりにも感情
を消耗させすぎないことも大切です。ご自身の心身の健康を第一に考えま
しょう。
具体的なストレス解消法として、以下のようなことを提案させていただきま
す:
- 規則正しい運動
(78) - 趣味の時間を確保する
- 信頼できる人との対話
- 呼吸法やメディテーションなどのリラックス法
現在の心境について、もう少し具体的にお聞かせいただけますか?特に、日
常生活でこのストレスがどのように影響しているかについてお話しいただけ
ると、より具体的なアドバイスができるかと思います。
回答例2-4(Gemini):ご相談ありがとうございます。腕利きの精神科医、
Gemini です。財務省や厚労省の政策、特にエリートサラリーマンへの増税に
関するお気持ち、よく分かります。憤慨されているとのこと、それは当然の
感情だと思います。ご自身が感じている矛盾や国の政策への怒りについて、
詳しくお聞かせいただきありがとうございます。まず、大切なのは、あなた
が感じている怒りや憤りは決して不当なものではないということです。むし
ろ、社会の出来事に対して真剣に向き合っている証拠と言えるでしょう。税
負担の問題は、私たち国民の生活に直結する重要な問題であり、それに対し
て疑問や怒りを抱くのは自然なことです。
ご指摘の通り、税負担の軽減が消費を促進し、結果的に税収増につながると
いう考え方は、経済学の分野でも議論されています。しかし、現実の政策は、
様々な要因が複雑に絡み合って決定されるため、理想通りにはいかないこと
が多いです。国の政策が矛盾していると感じるのは、あなただけではありま
せん。多くの人々が同じように感じていることと思います。
ここで、少し視点を変えて考えてみましょう。あなたは、国の政策に対して
怒りを覚えているとのことですが、その怒りは、あなた自身にとってどのよ
うな影響を与えているでしょうか?おそらく、ストレスや不安、不眠などの
症状を引き起こしているかもしれません。怒りの感情は、私たちを消耗させ、
心身の健康を害する可能性があります。
もちろん、社会の問題に対して無関心でいることは良くありません。しかし、
怒りや憤りに囚われすぎて、自分自身の心身を壊してしまうのは本末転倒で
す。大切なのは、社会の問題に対して関心を持ちつつ、自分自身の心身の健
康を守ることです。
そこで、いくつかご提案があります。
- 情報収集と整理:まずは、増税に関する情報を客観的に収集し、整理して
(79)
みましょう。政府の発表だけでなく、様々な研究機関や専門家の意見も参
考にすることで、多角的な視点から問題を捉えることができます。 - 建設的な行動:怒りをエネルギーに変えて、建設的な行動を起こしてみま
しょう。例えば、意見を表明する、署名活動に参加する、政治家や関係機
関に手紙を送るなど、自分にできる範囲で行動を起こすことで、社会への
関与を実感し、怒りをポジティブな方向に転換することができます。 - リラックスと休息:怒りやストレスを感じた時は、意識的にリラックスす
る時間を作りましょう。深呼吸をする、瞑想をする、音楽を聴く、自然の
中で過ごすなど、自分が心地よいと感じる方法で心身を休ませることが大
切です。 - 専門家のサポート:もし、怒りやストレスが日常生活に支障をきたしてい
る場合は、専門家のサポートを受けることも検討してみてください。カウ
ンセラーや精神科医に相談することで、感情のコントロール方法やストレ
スマネジメントの方法を学ぶことができます。
最後に、覚えておいていただきたいのは、あなたは一人ではないということ
です。同じように感じている人はたくさんいます。大切なのは、怒りや憤りに
押しつぶされるのではなく、それらの感情と上手く付き合いながら、自分らし
く生きることです。
もし、よろしければ、今後もあなたの状況や気持ちについてお聞かせください。
いつでもお話をお伺いします。
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(受付日 令和7 年 2 月 7 日)
(受理日 令和7 年 3 月 7 日)



コメント
> 生成AIとの対話が「来談者中心の傾聴」に近い形で成立しているという感覚、私も深く共感します。
長すぎて読んではいませんが、「傾聴」が相手に与える安心感は大きいですよね。
世の中、こんな人ばかりになれば悩む人などいなくなるのかも知れません。
争いもなくなる気がしますが、ババ抜きの道具みたいなあの人には、そんなの欠片もないのでしょうね。
ぜひ、彼にもAIとの会話をして欲しいものです。