①地表面で周囲の空気と同じ温度だった乾燥空気塊を断熱的に上昇させたときに、周囲の空気の気温減率が乾燥断熱減率よりも小さい場合の大気は、安定である。
周囲の空気の気温減率が、乾燥断熱減率よりも小さい場合、持ち上げた乾燥空気塊の温度は、周囲の気温よりも 低くなります。周囲の空気よりも密度が 大きく相対的に重く なり、空気塊は元の位置に戻ろうとするので、大気は安定となります。
したがって、答えは 正 です。

②乾燥空気塊が断熱的に上昇していく場合において、周囲の空気の温位が高度とともに減少している状態にあるとき、その大気は安定である。
周囲の空気の 温位 が高度とともに 減少 しているということは、周囲の空気の 気温減率 が乾燥断熱減率よりも大きいということです。
これは、持ち上げた空気塊の温度が、周囲の空気よりも高くなり、さらに上昇することを意味します。その大気は「安定」ではなく「不安定」となりますので、答えは誤です。
③周囲の空気の気温減率が湿潤断熱減率よりも小さい場合の大気は、絶対不安定である。
周囲の空気の気温減率が、湿潤断熱減率よりも小さい場合、上昇する空気塊の温度の方が周囲の空気よりも低くなり、空気塊は下降します。
このような状態を絶対安定といいます。逆に、絶対不安定 とは、周囲の空気の気温減率が乾燥断熱減率よりも 大きく 、上昇する空気塊の温度が周囲の空気よりも 高く なってさらに 上昇 する状態のことをいいます。
したがって、周囲の空気の気温減率が湿潤断熱減率よりも小さい場合の大気は、「絶対不安定」ではなく「 絶対安定 」ですので、答えは 誤 です。

④気温減率が一定で条件付き不安定の状態にある大気において、高度 500mで気温が 20℃ 、持ち上げ凝結高度が高度1km の空気塊を、温度が 0.5℃ 下降するまで断熱的に持ち上げたとき、空気塊は下降を始める。ただし、乾燥断熱減率は 10℃/km 、湿潤断熱減率は5℃/km とする。
条件付き不安定 とは、周囲の大気の気温減率が乾燥断熱減率と湿潤断熱減率の間にある状態のことです。
つまり、空気塊が 乾燥(未飽和)している場合は、周囲の大気の気温減率よりも、空気塊の気温減率(乾燥断熱減率)の方が 大きい ため空気塊が下降して、空気塊が 湿潤(飽和)な場合は、周囲の大気の気温減率よりも、空気塊の気温減率(湿潤断熱減率)の方が 小さい ため空気塊が 上昇 するということです。
問題文では、高度 500m での周囲の大気の温度が 20℃ 、空気塊の持ち上げ凝結高度(=LCL)が 1km と与えられています。
LCLより低い高度では、空気塊は飽和していませんので、持ち上げ凝結高度に達するまで(=高度500mから1kmまでの間)は、空気塊は 乾燥断熱減率 で上昇します。乾燥断熱減率は10℃/kmなので、空気塊の温度が0.5℃低下するために必要な上昇の高度 Δz は
Δz = 0.5[℃]/10[℃/km] = 0.05[km] = 50[m]
となります。つまり、空気塊は500mから550mまで上昇したときに、温度が20℃から 19.5℃ に下がります。本問は、「 気温減率が一定 」であり「 条件付き不安定 」であるため、周囲の大気の気温減率は、乾燥断熱減率(10℃/km)よりも 小さい 値(例:7〜8℃/km程度)となります。
例えば、周囲の大気の気温減率を8℃/kmとすると、高度500mから550mまでで低下する周囲の大気の温度は
0.05[km]×8[℃/km] = 0.4[℃]
となり、高度550mでの周囲の大気の温度は
20[℃] − 0.4[℃] = 19.6[℃]
となります。
一方、空気塊が高度550mまで上昇したときの温度は、19.5℃ ですので、上昇後の空気塊の温度は、周囲の大気の温度よりも 0.1℃低い 状態となります。
空気塊の方が、周囲の大気より温度が 低い ということは、空気塊の方が相対的に 重く なり、下降 し始めるということです。したがって、気温減率が一定で条件付き不安定の状態にある大気において、高度500mで気温が20℃、持ち上げ凝結高度が高度1kmの空気塊を、温度が0.5℃下降するまで断熱的に持ち上げたとき、空気塊は 下降 を始めますので、答えは 正 です。

⑤高度 500m で7℃ 、高度 2500m で −17℃ の大気は絶対安定である。ただし、乾燥断熱減率は 10℃/km とする。
絶対安定 とは、周囲の大気の気温減率よりも、空気塊の気温減率の方が 大きく 、空気塊が 上昇できない 大気の状態のことです。
問題文の大気の気温減率は
−17−7[℃] / 2.5−0.5[km] = −12[℃/km]
つまり、大気の気温減率である 12℃/km が乾燥断熱減率の 10℃/km よりも 大きい ので、「絶対安定」ではなく「絶対不安定」となります。したがって、答えは 誤 です。
⑥上昇する前は安定な状態であっても、気層全体が持ち上げられると不安定になる状態の気層を、対流不安定な気層という。
対流不安定 とは、現在の大気の状態が 安定 であっても気層全体が持ち上がると 不安定 な気層になる状態のことです。
具体的には、下層 に 高温・多湿 、上層 に 低温・乾燥 の空気塊があると、持ち上げた時に気温差が大きくなって 不安定 な気層になる状態のことです。
大気の安定・不安定は、個別の空気塊が上昇したときに、その空気塊が上昇し続けるかどうかで判断できますが、対流不安定は、個別の空気塊ではなく 一定の層をなす空気層 が、ゆっくり持ち上げられた時に、その層が 不安定 になる、ということを示しています。
この気層は上昇も下降もしない場合は、比較的 安定 していますが、下層収束や、地形、前線などの影響で気層全体が上昇すると、不安定 な状態へと変化します。
そのため、対流不安定は 対流が起きたら不安定になる状態 とも言えます。
したがって、上昇する前は安定な状態であっても、気層全体が持ち上げられると不安定になる状態の気層を、対流不安定な気層といいますので、答えは 正 です。

⑦図は気層の安定性を模式的に示したものであり、太実線ABは初期の気層の温度分布を、太実線A’B’はABの気層全体が飽和するまで上昇した後の温度分布を表している。対流不安定を説明する図として最も適切なのは①である。

下層ほど相当温位が高い気層全体が上昇する場合、気層の下部Aも上部Bもまずは 乾燥断熱線 に沿って気温が変化します。
しかし、湿潤な下部Aの方が先に飽和に達するので、下部Aは途中から 湿潤断熱線 に沿って気温が変化するようになります。
このため、気層が上昇して飽和に達した後のA’B’の気温減率は、上昇前のABの気温減率よりも 大きく なり、湿潤断熱減率より 大きく なることで気層が不安定化します。
このような気層を対流不安定 といい、対流不安定を表しているのは「①」ではなく「②」ですので、答えは 誤 です。




コメント
> 一般 大気の熱力学 大気の安定・不安定 7問 完成
パスします。
グラフがあるとわかりやすいのかなとは思いましたが、そんなことなかったです。
「完成」は、読破して理解したの意味ですよね。