S4気象衛星画像29問2回目 実行中

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①雲域Aは、日本の南海上で西南西から東北東に連なり、その多くが対流雲で構成された雲列で、発達した積乱雲が含まれている。🟢

雲域Aは、赤外画像、可視画像 ともに明るい ため、下図(雲型判別ダイヤグラム)より、積乱雲 が含まれていることが分かります。また、可視画像では 白く凹凸した雲頂 が見られるため、西南西から東北東にかけて発達した 団塊状の雲 が連なっていると推定できます。したがって、雲域Aは、日本の南海上で西南西から東北東に連なり、その多くが対流雲で構成された雲列で、発達した積乱雲が含まれていると推定できますので、答えは 正 です。

②雲域Bには、北縁が寒気側に凸状に膨らむ「バルジ」がみられ、この雲域に対応する低気圧が、発生期・発達期・最盛期・衰弱期のうちの最盛期であることを示している。🟢

雲域Bは、北端が寒気側(極側)に凸状に膨らむ「 バルジ 」になっており、温帯低気圧 に伴う雲であることが分かります。温帯低気圧は、下図のように、発生期 、発達期 、最盛期 、衰弱期 と経過します。温帯低気圧に伴う雲のパターンとして、雲域Bにあるような バルジが明瞭化 してくるのは、発達期 です。バルジの成因は以下のとおりです。

  • ① 温暖前線上を暖湿空気が滑昇しながら低気圧の北〜北東側に雲を作ります。
  • ② その低気圧の北側に強風軸があり、雲がその強風軸に流されることによって、高気圧性曲率を持った凸状の雲域(バルジ)ができます。

つまり、バルジが明瞭化 しているということは、低気圧の前面で暖気移流が流入し、上昇が活発であるということですので、温帯低気圧が 発達中 であることが分かります。また、最盛期 になると、低気圧の中心に向かって ドライスロット と呼ばれる雲がない領域が入ってきます。雲域Bは、まだドライスロットが はっきりしていない ことから 発達期 と判断できます。したがって、雲域Bの「バルジ」に対応する低気圧は、「最盛期」ではなく「 発達期 」ですので、答えは 誤 です。 「バルジは、発達期と覚えよう!」

③領域Cの筋状の上層雲は、上層風の流れにほぼ直交して北西から南東方向にのびる「トランスバースライン」であると判断される。🟢

域Cは、赤外画像で 明るく 、可視画像で やや暗い ため、下図(雲型判別ダイヤグラム)より、上層雲 であることが分かります。しかし、これが「トランスバースライン」であるかどうかの判断が難しいところです。トランスバースライン とは、ジェット気流などの強い風が吹く領域に沿って現れる雲のことです。これらの雲は、風の流れに対して ほぼ直角 に並んでおり、小さな波 のような形状をした雲列が特徴です。

トランスバースラインの成因は「ケルビン・ヘルムホルツ不安定」や「レイリー・ベナール対流」が有力だと言われています。ケルビン・ヘルムホルツ不安定 とは、異なる速度で動く2つの流体(例:空気や水)の境界で、その速度差が大きくなると、波のような渦が発生する現象です。

下が温かく、上が冷たいと、温かい部分の軽い流体が上昇し、冷たい部分の重い流体が下降することで、対流が起こります。この現象でできた、対流の上昇気流部分に雲が形成され、縞状の雲列が現れると考えられています。領域Cの雲を見てみると、トランスバースラインにしては 雲が長すぎる こと、雲列と列の間にも 弱いながら雲がある ことから、トランスバースラインではない と推測できます。
では、領域Cの雲は、どうやってできた雲なのでしょうか?
下図左は、本問の図と同じ日の300hPa天気図で、領域Cの西側には寒冷低気圧があることが分かります。

一般に、寒冷低気圧の 南東側 では 積乱雲 が発達しやすいと言われています。
実際、上図の寒冷低気圧の南東側には、赤外画像でも可視画像でも 白く 、発達した積乱雲 があることが分かります。また、領域Cの雲は、この 積乱雲から流れてきている ようにも見えます。
つまり、領域Cは、上空の寒冷渦の南東側に並んでいる 発達した積乱雲の雲頂付近の巻雲 が、上空の風によって流されて形成されたもの と推定できます。

(問題では、この300hPa天気図は与えられていないので、寒冷渦の存在まで推測するのは難しいですが、似たような問題が出題されることもあるため、この事例は今後の対策として覚えておきましょう。)したがって、領域Cの筋状の上層雲は、「トランスバースライン」ではなく「 積乱雲の雲頂付近の巻雲が風に流されてできたもの 」であると推定できますので、答えは 誤 です。

④領域Dには、この時期に北太平洋からオホーツク海にかけて広く分布する移流霧と呼ばれる霧が存在するとみられる。🟢

解説図

雲域Dは、赤外画像で暗く、可視画像でやや明るいため、下図(雲型判別ダイヤグラム)より、雲頂高度が低い霧または層雲であることが分かります。
移流霧 とは、暖かく湿った空気が、冷たい地表面や海上を移動するときに、冷やされることで発生する霧です。特に春から夏にかけては、北太平洋やオホーツク海の冷たい海域に、暖湿気が流れ込みやすいため、この地域では移流霧が発生しやすくなります。
下図は、本問で使用している画像と同じ時間(2022年6月12日9時)の天気図です。
これを見ると、北太平洋に高気圧があり、冷たい海域に向かって、南からの暖湿気が流れ込みやすい場になっていることが分かります。したがって、領域Dの雲は「移流霧」と推定できますので、答えは 正 です。

⑤Aの雲域は、華南の沿岸で発生した東西にのびる地形性巻雲とみられる。🟢

地形性巻雲 とは、山脈の風下側に発生する停滞性の上層雲のことです。      
地形性巻雲は、赤外画像で白く 、風上側の雲の端が山脈と平行な直線状 となり、風下側に長く伸びる という特徴があります。
しかし、雲域Aを見ると、赤外画像、水蒸気画像ともに団塊状で非常に明るい 雲域であることから、地形性巻雲ではなく、発達した積乱雲 であると推定できます。
したがって、雲域Aは、華南の沿岸で発生した東西にのびる「地形性巻雲」ではなく「 発達した積乱雲 」と推定できますので、答えは 誤 です。

⑥Bの雲域はCiストリークであり、上層の強風軸に対応しているとみられる。🔴

Ciストリーク(シーラスストリーク)とは、細長く筋状に伸びる巻雲(Ci)のことです。
Ciストリークは、上層の強風軸などに沿って形成されることが多く、雲の形から大気の動きを読み取る手がかりになります。また、Ciストリークは上層のトラフの前面で発生し、下層の雲と重なることで、雲全体の発達を促すこともあります。
雲域Bは、赤外画像では白く 、水蒸気画像では暗域と明域の境界(バウンダリー)に位置していることから、上層の強風軸 に対応した Ciストリーク であると推定できます。
したがって、雲域BはCiストリークであり、上層の強風軸に対応しているとみられますので、答えは 正 です。

⑦Cの領域には、大きな雲域はなく細かな対流雲しか存在しないことから、背の高い高気圧の圏内と判断される。🟢

領域Cにまとまった雲域はなく、小さな孤立した対流雲が散在 している程度ですが、水蒸気画像では暗域と明域が渦 を巻いており、上層に渦が存在 することを示唆しています。
また、領域Cの南にあるCiストリーク(雲域B)が 低気圧性の曲率 を持つことからも、領域Cは、背の高い高気圧の圏内ではなく、トラフ(気圧の谷)に位置していると推定できます。
したがって、領域Cには、大きな雲域はなく細かな対流雲しか存在しないことから、「背の高い高気圧の圏内」ではなく「 トラフ(気圧の谷)」と判断されますので、答えは 誤です。

⑧D、Eの雲域はともに台風に伴うものであり、より発達した対流雲が存在しているEの台風の方が中心気圧が低いと推定される。🟢

雲域Eは、台風に伴う雲域であり、発達した積乱雲 を多く含んでいますが、台風中心を示すような曲率を持った雲バンドや眼は存在しません。また、発達した対流雲は台風中心(図の✕印)の 東側 に偏っており、全体的に 対称性がほとんどない ため、まだ発達の 初期段階 にあると考えられます。
一方、雲域Dも 台風に伴う雲域 であり、雲頂高度は雲域Eよりも 低く 、発達した対流雲の数も 少ない ものの、台風中心(図の✕印)に巻き込む雲バンド や、台風中心を取り囲む雲バンドによる 眼 が確認できます。

このことから、雲域Dは十分に発達し、最盛期をやや過ぎた台風 に伴う雲域であると考えられますので、中心気圧は雲域Eよりも 低い と推定できます。したがって、雲域D、Eはともに台風に伴うものであり、より発達した対流雲が存在している「Eの台風」ではなく「Dの台風」の方が中心気圧が低いと推定されますので、答えは 誤 です。

⑨水蒸気画像は、「大気の窓」と呼ばれる水蒸気の吸収の影響の少ない波長領域における放射量を画像化したもので、その明暗は対流圏上・中層の水蒸気量の多寡に対応している。🟢

水蒸気画像とは、赤外画像の一種で、地上や大気から放射される赤外線のうち、大気中の水蒸気による吸収を最も受けやすく、その水蒸気からも放射される波長帯である6.5〜7.0μm付近の赤外線を観測して得られる気象衛星画像のことです。(現在運用中のひまわり8・9号による水蒸気画像では、6.2μm(バンド8)、6.9μm(バンド9)、7.3μm(バンド10)の3つの波長帯を観測していますので、赤外3画像と呼ばれたりもします。)
水蒸気画像は観測の制約から、大気下層の水蒸気量は把握できないため、対流圏上・中層の水蒸気量の解析に利用されます。簡単に説明すると、水蒸気画像の明域(=明るく写っている領域)は、対流圏上・中層の水蒸気量が多く、湿潤な領域に対応しており、暗域(=暗く写っている領域)は、対流圏上・中層の水蒸気量が少なく、乾燥した領域に対応しています。
大気の窓 とは、大気による吸収の影響が小さい(=大気を通過しやすい)波長帯のことです。
地球放射はその大部分が赤外線であり、そのほとんどが地球大気によって吸収されてしまいます。ただし、その赤外線の中でも波長が11μmあたりを中心とした8〜12μm付近の波長帯では、大気による吸収が弱い部分があります。
この大気による吸収が弱い波長帯を大気の窓といいます。

(現在運用中のひまわり8・9号による「大気の窓」を用いた赤外画像では、3.9μm(バンド7)、8.6μm(バンド11)、10.4μm(バンド13)、11.2μm(バンド14)、12.4μm(バンド15)の5つの波長帯の放射強度を観測しています。)したがって、水蒸気画像の「明暗は対流圏上・中層の水蒸気量の多寡に対応している」という記述は正しいですが、水蒸気画像は「『大気の窓』と呼ばれる水蒸気の吸収の影響の少ない波長領域における放射量を画像化したもの」ではなく、「水蒸気の吸収の影響が多い波長領域における放射量を画像化したもの」ですので、答えは 誤 です。

⑩図A及び図Bの暗域の部分では、対流圏の上・中層で、周辺より温度が高く、乾燥していると判断される。🟢

水蒸気画像で対流圏上・中層の水蒸気量を観測できる理由は、赤外画像(水蒸気画像を含む)の観測方法が関係しています。赤外画像(水蒸気画像を含む)とは、地球や大気からの赤外線(=放射エネルギー)を輝度温度に変換し、その温度分布を画像化したものです。

輝度温度 とは、簡単に言うと、赤外線の強さを測ったもので、気象衛星に届く赤外放射量が多い(=輝度温度が高い)ほど暗く(=黒く)、気象衛星に届く赤外放射量が少ない(=輝度温度が低い)ほど明るく(=白く)表現されます。
水蒸気画像では、地上や大気から放射される赤外線のうち、大気中の水蒸気による吸収を最も受けやすく、その水蒸気からも放射される波長帯である6.5〜7.0μm付近の赤外線を観測して得られる気象衛星画像のことです。この大気中の水蒸気による吸収を最も受けやすく、水蒸気からも同じ波長帯の赤外線が放射されるという特性を利用することで、対流圏上・中層の水蒸気量を観測することができるのです。
では、どのような原理なのか、具体的に考えてみましょう。下図は、大気(=対流圏)を上・中・下層と3つの層に単純化したもので、水蒸気画像における地表及び各層からの吸収・放射を表しています。
地表からの赤外放射まずは地表からの赤外放射を考えてみましょう。

地表からの赤外放射は多いですが、下層では相対湿度が低い状態でも水蒸気の絶対量は多いので、そのほとんどが下層大気に吸収されます。
対流圏上・中層が湿潤な場合(図の一番左)
対流圏上・中層が湿潤な場合、下層大気からの放射は中層大気に吸収され、中層大気からの放射は上層大気に多くが吸収されますので、結果として上層大気からの放射は少なくなります。その結果、気象衛星で観測される赤外放射量は最も少なくなります。


対流圏中層が乾燥で上層が湿潤な場合(図の左から2つ目)
対流圏中層が乾燥で上層が湿潤な場合、下層大気からの赤外放射の多くは乾燥した中層大気を透過しますが、湿潤な上層大気によって多くが吸収されます。また、乾燥した中層大気からの赤外放射は少ない上、湿潤な上層大気にその多くが吸収されます。さらに、湿潤な上層大気からの赤外放射は少ないです。その結果、気象衛星で観測される赤外放射量は少なくなります。


対流圏中層が湿潤で上層が乾燥している場合(図の左から3つ目)
対流圏中層が湿潤で上層が乾燥している場合、下層大気からの赤外は湿潤な中層大気で吸収されます。
一方、湿潤な中層大気からの赤外放射の多くは、乾燥した上層大気を透過します。その結果、気象衛星で観測される放射量は多くなります。


対流圏上・中層が乾燥している場合(図の一番右)
対流圏上・中層が乾燥している場合、水蒸気による赤外放射の吸収の影響は小さいため、下層大気及び中層大気からの赤外放射の多くが乾燥した上・中層大気を透過します。その結果、気象衛星で観測される放射量は最も多くなります。水蒸気画像では、気象衛星に届く赤外放射量が多い(=輝度温度が高い)ほど暗く(=黒く)、気象衛星に届く赤外放射量が少ない(=輝度温度が低い)ほど明るく(=白く)表現されます。
したがって、水蒸気画像の暗域の部分は、「対流圏の上・中層で、乾燥している領域」という記述は正しいですが、「周辺より(物理的な)温度が高い領域」ではなく「周辺より輝度温度が高い領域」ですので、答えは 誤 です。

⑪水蒸気画像で白くあるいは灰色に見える領域は、「暗域」に対して「明域」と呼ばれている。図A及び図Bにおいて、暗域とその南側の明域の境界付近は、強風軸に対応していると判断される。🟢

水蒸気画像で白くあるいは灰色に見える領域は、「暗域」に対して「明域」と呼ばれている。図A及び図Bにおいて、暗域とその南側の明域の境界付近は、強風軸に対応していると判断される。
水蒸気画像の有効な利用法の一つに、強風軸の解析があります。
強風軸とは、ジェット気流(=対流圏界面近くの強風帯)の中心付近にある最も風が強いところです。
一般にジェット気流は、極側の冷たく乾燥した気団(=暗域)と、(=明域)の境界に存在しています。また、この暗域と明域の境界のことを バウンダリー といいます。
したがって、強風軸の北側には乾燥した空気を示す暗域、南側には湿った空気を示す明域が存在しますので、答えは 正 です。

⑫図Aの暗域は、24時間後の図Bでは東端部分や黄海から華北にかけて暗化している。暗化域は強い下降流の場に対応しており、この変化はトラフの深まりを示唆している。🟢

水蒸気画像の 暗化域 とは、暗域が時間とともに暗さを増したり、領域が広がったりする領域ことです。
問題の図Aの暗域は、24時間後の図Bでは東端部分や黄海から華北にかけて暗化しており、暗化域になっていることがわかります。
この暗化域は、上・中層の活発な沈降場が強化されていることを示しており、下降流による断熱膨張によって空気が乾燥し、水蒸気量が減少しているため、一般にトラフの深まりや高気圧の強まりに対応していることが分かっています。
また問題の図は、バウンダリーの曲率の変化から、概ねの上層トラフの深まりであることが推察できます。したがって、問題の図の暗化域は強い下降流の場に対応しており、この変化はトラフの深まりを示唆していますので、答えは 正 です。

⑬気象衛星ひまわりは、日本列島のみが鮮明に観測されるように、常に日本の上空約36,000kmに位置している静止衛星である。🟢

気象衛星ひまわり9号は、東経140度付近の赤道上空約36,000kmに位置する静止気象衛星(公転周期が地球の自転周期とほぼ等しい)で、10分ごとに 衛星から見える範囲の地球全体を観測しています。
実際に、気象庁ホームページでは気象衛星ひまわりが撮影した地球全体の画像を見ることができます。
したがって、気象衛星ひまわりは、「日本列島のみ」ではなく「 衛星から見える範囲の地球全体 」が観測されるように、常に日本の上空約36,000kmに位置している静止衛星ですので、答えは 誤 です。

⑭静止気象衛星ひまわり9号に搭載されているセンサーの水平距離分解能は、可視センサーのほうが赤外線センサーより高い。🟢

ひまわり9号の衛星直下の水平距離分解能(解像度)は、可視画像 では 0.5km~1km、赤外画像 では1km~2km なので、解像度は 可視センサーのほうが高い です。ちなみに、衛星の直下から 高緯度 に行くほど解像度は 低下 します。したがって、答えは 正 です。

⑮極軌道気象衛星(アメリカの「NOAA」)は、静止気象衛星に比べて低高度を南北に周回する軌道を持つ衛星なので、静止衛星に比べて画像の解像度は優れているが、同じ場所は1日に2回しか観測できない。🟢

極軌道気象衛星(アメリカの「NOAA」)は、静止衛星よりもはるかに 低高度 を周回しているため、解像度は静止気象衛星よりも 優れています。
しかし、周期が12時間 なので、同じ場所は1日に2回 しか観測できません。したがって、答えは 正 です。

⑯静止気象衛星ひまわり9号で得られた輝度温度のデータは数値予報の客観解析に取り込まれ、上空の気温や水蒸気量の初期値として利用されている。

客観解析 とは、数値予報を実行するにあたり、不規則に分布した観測データから三次元格子点上の気温・風・水蒸気量など大気および海洋・陸地の状態の初期値を与える過程のことです。
より正確な初期値を作成することが精度の高い数値予報につながるため、客観解析の手法にも多くの改良が重ねられてきました。
現在は、観測データと数値予報モデルで計算する大気の時間変化がバランスした初期値を作成する「 四次元変分法 」という高度な手法や、最新の観測データをいち早く取り込むために計算負荷が比較的小さい「 三次元変分法 」による解析を高頻度に行う手法を用いています。
この客観解析には、ひまわり9号で得られた広範囲な中・上層の気温や水蒸気量 のデータや、地上観測、高層観測 などのデータがリアルタイムで取り込まれ、初期値 として利用されています。
したがって、答えは 正 です。

⑰可視画像は、地球で反射された太陽光をとらえたもので、厚みの薄い雲ほど白く表現される。

可視画像 は、雲や地表面によって反射された 太陽光 を観測した画像です。    
雨を伴うような発達した雲は厚みがあり、太陽光を強く反射するため 白く 写り、薄い雲は 灰色 に写ります。
視覚的にわかりやすい画像ですが、夜間は太陽光の反射がないことから雲は可視画像に写りません。
したがって、可視画像は、地球で反射された太陽光をとらえたもので、厚みの薄い雲ほど「白く」ではなく「 灰色 」に表現されますので、答えは 誤 です。

⑱可視画像において雲の表面がなめらかに見える場合、その雲は対流性の雲と判断できる。

可視画像 は、雲や地表面によって反射された 太陽光を観測した画像です。    
対流性 の雲は、主に強い上昇気流によって発生し、鉛直方向(上下方向)に大きく発達する雲です。
積雲(Cu)や積乱雲(Cb)が代表的で、塊状で輪郭がはっきりしており、雲の表面には凹凸が多く見られます。
層状性 の雲は、主に弱い上昇気流や大気の広い範囲での緩やかな上昇によって発生し、水平方向に広がるのが特徴です。
雲の厚さ(鉛直方向の広がり)よりも、水平方向への広がりがはるかに大きく、雲の表面は滑らかで一様、雲頂高度の変化も少ないです。このため、可視画像において雲の表面がなめらかに見える場合、その雲は「対流性」ではなく「層状性 」の雲と判断できますので、答えは 誤 です。

⑲赤外画像は、雲や大気などから放射される赤外線を観測したもので、雲頂高度が低く、雲頂温度の高い雲ほど白く表現される。

赤外画像 は、雲、地表面、大気から放射される赤外線を観測した画像です。   
放射される赤外線の強さは雲の 温度 により変化する特性をもっており、下層の温度の 高い 雲(赤外放射が強い)ほど 黒く、上層の温度の 低い 雲(赤外放射が弱い)ほど 白く 表現されます。
したがって、赤外画像は、雲頂高度が低く、雲頂温度の高い雲ほど「白く」ではなく「 黒く 」表現されますので、答えは 誤 です。

⑳赤外画像では、下層雲や霧は灰色や黒色に表現され、地表面や海面との区別が困難なため赤外画像で特定することは難しい。

雲頂高度の 低い下層雲 や 霧 は、地表面や海面とほとんど同じ温度で 灰色 や 黒色 に表現されるため、地表面や海面との区別がほとんどできません。したがって、答えは 正 です。

㉑水蒸気画像では、対流圏の上・中層に水蒸気が多いほど暗く(黒く)表示され、水蒸気が少ないほど明るく(白く)表示される。

水蒸気画像 は赤外画像の一種で、大気中にある水蒸気と雲からの赤外放射(6.2μm帯)を観測した画像です。この波長帯の赤外線は、大気中に存在する水蒸気によく吸収されると同時に、その水蒸気からの放射が行われる特性をもっています。
この特性を利用して、雲がないところでも対流圏上・中層にあるごくわずかの水蒸気からの放射を観測することができます。
水蒸気画像では、対流圏上・中層の水蒸気の 多い ところが 明るく(白く)、少ない ところが 暗く(黒く)写るように処理を施し、上空の大気の湿り具合をわかりやすくしています。
また、水蒸気画像で周囲よりも白い部分を 明域、黒い部分を 暗域 といいます。
したがって、水蒸気画像では、対流圏の上・中層に水蒸気が多いほど「暗く(黒く)」ではなく「 明るく(白く)」表示され、水蒸気が少ないほど「明るく(白く)」ではなく「 暗く(黒く)」表示されますので、答えは 誤 です。

㉒水蒸気画像では、雲がなくても水蒸気をトレーサとして上・中層の大気の流れを可視化できるので、上・中層のトラフやリッジ、ジェット気流の位置を推定することができる。

水蒸気画像では雲がなくても水蒸気をトレーサ(=対象物の移動や変化などを追跡するための物質)として、上・中層の大気の流れ を可視化できます。
これにより、水蒸気画像の明域や暗域のパターンから上・中層の トラフ や リッジ、ジェット気流 の位置を推定することができます。
また、明域や暗域の時間変化から トラフの深まり などの時間変化を推定することもできます。したがって、答えは 正 です。

㉓気象衛星の水蒸気画像で、暗域が時間とともにさらに暗さを増すことを暗化という。暗化域は、上層のトラフの深まりや、高気圧の強まりを示している。

暗化域 は次第に 乾燥 している領域を表しています。              
このため、暗化域は上・中層の活発な 下降流域 に対応しており、トラフの深まり や 高気圧の強まり を表していますので、答えは 正 です。

㉔赤外画像では暗灰色に表現され、可視画像では白色で蜂の巣状の穴の閉じた形状の雲域は、寒冷な季節風が海上を吹走する際に気温と海面水温の差が比較的大きい場合に形成されるクローズドセルである。

クローズドセル とは、蜂の巣状の穴が閉じた形をした雲域で、主に 層積雲 から構成されます。
赤外画像では 暗灰色、可視画像では 白色 に見え、雲頂高度が比較的 低い のが特徴です。
このクローズドセルは、気温と海面水温の差が 小さい 場合に、比較的暖かい海上へ寒気が流入することで形成されます。
一方、気温と海面水温の差が 大きい 場合には、穴が開いた形の オープンセル が形成されます。
したがって、赤外画像では暗灰色に表現され、可視画像では白色で蜂の巣状の穴の閉じた形状の雲域は、寒冷な季節風が海上を吹走する際に気温と海面水温の差が比較的「大きい」ではなく「 小さい 」場合に形成されるクローズドセルですので、答えは 誤 です。

㉕低気圧の北側において、赤外画像では明白色に表現され、可視画像では灰色から暗灰色で雲域の北縁が高緯度側に大きく膨らんでいる雲域は、発達した低気圧の北側にみられるバルジ状の上・中層雲と考えられる。

バルジ とは、発達した低気圧の北側に現れる、雲域の北縁が高緯度側に大きく膨らんだ形状のことです。
このバルジ状の雲域は、主に上層雲や中層雲で構成されており、赤外画像 では雲頂の高い雲が 明白色、可視画像 では 灰色から暗灰色 で表現されます。
低気圧が発達すると、南から暖かく湿った空気が 温暖前線面 に沿って滑昇し、北側で上昇流が強まることで、上・中層雲が発達し バルジ状の雲域 が形成されます。
したがって、低気圧の北側において、赤外画像では明白色に表現され、可視画像では灰色から暗灰色で雲域の北縁が高緯度側に大きく膨らんでいる雲域は、発達した低気圧の北側にみられるバルジ状の上・中層雲と考えられますので、答えは 正 です。

㉖可視画像や赤外画像で、ジェット気流の強風軸の高緯度側において、気流と平行方向にのびる帯状の巻雲は、シーラスストリークである。

シーラスストリーク とは、ジェット気流の強風軸の 低緯度側、つまり北半球では 南側 に沿って気流と平行に伸びる帯状の巻雲のことです。
上空の強い風( ジェット気流 )に沿って水蒸気が運ばれ、上層で氷晶として雲が形成されることで形成されます。したがって、可視画像や赤外画像で、ジェット気流の強風軸の「高緯度側」ではなく「 低緯度側 」において、気流と平行方向にのびる帯状の巻雲は、シーラスストリークですので、答えは 誤 です。

㉗可視画像や赤外画像で、ジェット気流の強風軸に沿って、気流の方向とほぼ直角にさざ波状に見える雲列は、トランスバースラインと呼ばれる巻雲である。

トランスバースライン とは、ジェット気流の強風軸に沿って、気流の方向とほぼ直角に波状の巻雲が並ぶ雲列のことです。
高度10~15km付近で発生し、衛星画像でよく観察されるこの雲列は、強風軸 付近に見られる特徴的な雲パターンであり、その周辺では 乱気流 が発生しやすいことが知られています。
成因については、従来は異なる速度の風が接する境界で起こる ケルビン・ヘルムホルツ不安定 による渦の発生が主な原因とされてきましたが、近年の研究では温度差による対流現象である レイリー・ベナール対流 も関与している可能性が指摘されています。
いずれの場合も、上昇気流 が雲を形成し、波状に並ぶ縞模様 の雲列が現れるため、トランスバースラインは ジェット気流の強風軸 や 台風の上層吹き出し流 の存在を示す重要な気象現象です。
したがって、可視画像や赤外画像で、ジェット気流の強風軸に沿って、気流の方向とほぼ直角にさざ波状に見える雲列は、トランスバースラインと呼ばれる巻雲ですので、答えは 正 です。

③類似参照

㉘3月のオホーツク海上において、赤外画像では周辺の領域との温度の違いを確認することができず、可視画像では表面がでこぼこした灰色から明灰色に見え、動きが非常に遅い場合は、海霧である可能性が高いと判断される。

3月のオホーツク海上で赤外画像において周囲との温度差が見られず、可視画像で表面がでこぼこした灰色から明灰色に見え、動きが非常に遅い場合、それは「海霧」ではなく「 海氷(流氷)」である可能性が高いです。
3月はオホーツク海で海氷が最も広がる時期であり、海氷 は可視画像で表面が でこぼこして見えます。
また、海氷は風や潮流によりゆっくりとしか動かないため 動きが遅く 見えます。
一方、海霧 は可視画像で一様に広がり、表面が 滑らか に見えるため、でこぼこした見た目や動きの遅さは「海霧」ではなく「 海氷(流氷)」の特徴です。したがって、答えは 誤 です。

㉙南西諸島付近において、可視画像で毛筆状あるいはにんじん状の形状を呈した雲域で明白色の凹凸のある雲頂が見られ、赤外画像で白く輝いて見える雲域は、発達した積乱雲群であると考えられる。

南西諸島付近で見られる毛筆状やにんじん状の雲域を テーパリングクラウド といい、これは 複数の積乱雲 が連なった対流雲列の一種です。
テーパリングクラウドは 対流不安定 の時に発生しやすく、可視画像 では 明るく凹凸 のある雲頂が見え、赤外画像 でも 白く 輝きます。
したがって、南西諸島付近において、可視画像で毛筆状あるいはにんじん状の形状を呈した雲域で明白色の凹凸のある雲頂が見られ、赤外画像で白く輝いて見える雲域は、発達した積乱雲群であると考えられますので、答えは 正 です。

専門 観測成果の利用:気象衛星画像 29 問

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