①風の鉛直シアが弱い場に発生する積乱雲は、通常、水平スケールが1km未満、時間スケールが1時間未満の現象である。🔴
風の鉛直シアが弱い場に発生する積乱雲は、通常、水平スケールが「1km未満」ではなく「 10km程度 」、時間スケールが「1時間未満 」の現象ですので、答えは 誤 です。
②条件付き不安定の大気中で、何らかの原因で地上付近の空気塊が持ち上げ凝結高度まで持ち上げられると、空気塊は浮力により自力で上昇するようになり、積乱雲を発生させることがある。🔴
条件付き不安定の大気中で、何らかの原因で地上付近の空気塊が「持ち上げ凝結高度」ではなく「自由対流高度」まで持ち上げられると、空気塊は浮力により自力で上昇するようになり、積乱雲を発生させることがありますので、答えは 誤 です。

③雨粒の蒸発や、あられやひょうなどの氷粒子の融解により冷却された空気が積乱雲の下にたまることにより、局地的な高気圧が形成されることがある。🟢
積乱雲の下で局地的な高気圧が形成される理由は、降水による下降気流 と 蒸発冷却 の影響です。
積乱雲の発達に伴い、雨粒や氷粒子が蒸発・融解する過程で周囲の空気が冷却され、密度が大きく なります。この冷たい空気は「 冷気プール 」を形成し、周囲より気圧が 高く なることで、局地的な高気圧 が積乱雲の下に発生することがありますので、答えは 正 です。
④竜巻は、上空に積乱雲がなくても、日射による地表面付近の加熱が原因で発生する場合がある。🔴
竜巻とは、積乱雲に伴う強い上昇気流により発生する激しい渦巻きで、多くの場合、漏斗状または柱状の雲を伴います。一方、日射による地表面付近の加熱が原因で発生する渦巻きは、じん旋風(=つむじ風)であり、積雲や積乱雲に伴うものではありません。したがって、上空に積乱雲がないと発生しないのは「竜巻」であり、上空に積乱雲がなくても、日射による地表面付近の加熱が原因で発生するのは「 じん旋風」ですので、答えは 誤 です。

⑤日本では、地形の影響で竜巻が減衰しやすいため、竜巻が5km以上移動した事例は報告されていない。🟢
竜巻①の被害の長さは 32km、竜巻②の被害の長さは 21km、竜巻③の被害の長さは 17km となっており、いずれの竜巻も 5km以上 移動したことを表しています。したがって、日本で竜巻が5km以上移動した事例は存在しますので、答えは 誤 です。

⑥スーパーセルに伴う竜巻は、フックエコーと呼ばれる、かぎ針の形をしたレーダー反射強度の強い領域付近で発生することが多い。🟢
スーパーセルは、非常に強い上昇気流を伴う巨大な積乱雲で、内部ではストーム全体が 回転 しています。この回転により、雨粒が回り込みながら降ることで、降水域がフック状に見える フックエコー が形成されます。この付近では、直径数kmの 低気圧性の渦(メソサイクロン) が発生し、強い上昇気流と下降気流の衝突により 局所的な気圧差 が生じます。
この結果、渦の回転が強まり、地表付近で 竜巻 が発生しやすくなります。したがって、スーパーセルに伴う竜巻は、フックエコー と呼ばれる、かぎ針の形をしたレーダー反射強度の強い領域付近で発生することが多いので、答えは 正 です。


⑦北半球で発生する竜巻には、渦の向きが反時計回りのものと時計回りのものがあるが、いずれの回転方向の竜巻も中心の気圧は周囲よりも低い。🟢
竜巻は北半球において、ほとんどが 反時計回り に回転しますが、時計回り の竜巻も発生することがあります。これは、竜巻がコリオリ力の影響をほとんど受けない小規模な現象であり、気圧傾度力と遠心力の釣り合いによって生じる 旋衡風 であるためです。また、竜巻は一種の低気圧であり、中心部の気圧が周囲よりも 低い のが特徴です。したがって、北半球で発生する竜巻には、渦の向きが 反時計回り のものと 時計回り のものがあり、いずれの回転方向の竜巻も中心の気圧は周囲よりも 低い ので、答えは 正 です。
⑧孤立型の積乱雲(降水セル)は、一般風の鉛直シアーが強い状況で発生しやすく、積雲対流によって発達する。🟢
一般風の鉛直シアーが 強い と、上昇気流が傾いて風に流され、対流が分散してしまいます。
一方、一般風の鉛直シアーが 弱い と、上昇気流がまっすぐ伸び、風に流されず局所的に激しい対流(積雲対流)が発生するため、孤立型の積乱雲(降水セル)が発達しやすくなります。
したがって、孤立型の積乱雲(降水セル)は、一般風の鉛直シアーが「 弱い 」状況で発生しやすく、積雲対流によって発達しますので、答えは 誤 です。
⑨積乱雲の発達期に降雨が生じないのは、この段階では降水粒子が形成されていないためである。🔴
積乱雲の 発達期 では、空気の急激な上昇による断熱冷却が起こるため、水蒸気が凝結して雨や雪などの 降水粒子が形成 されます。
しかし、これらの降水粒子は、重力よりも 強い上昇気流 に支えられているため、地上に落ちてきません。さらに、降水粒子が形成される際に放出される 潜熱 が雲内の温度を周囲より高めることで、浮力が増して雲がさらに発達します。したがって、積乱雲の発達期に降雨が生じないのは、「この段階では降水粒子が形成されていないから」ではなく「 形成された降水粒子が強い上昇流によって地上に落ちてこないため 」ですので、答えは 誤 です。
⑩対流圏界面の高度まで発達した積乱雲内で成長した雪やあられが落下しながら融けて雨粒となるときの蒸発・融解による冷却や、大きな水滴や氷の粒子による周囲の空気の引きずり下ろしによって下降流が作り出され、下降流は上昇流の源となる暖かく湿った空気の流入を阻んでしまうため、積乱雲は急速に衰弱して一生を終える。🟢
対流圏界面の高度まで積乱雲が発達すると、その内部では 雪やあられ が形成されます。これらが、落下しながら融けて雨粒となるとき、蒸発や融解 によって周囲の空気からエネルギーを奪うため、空気自体が 冷却 されます。さらに、大きな水滴や氷の粒子の落下に伴って、周囲の空気が引きずり下ろされることで、下降流 が作り出されます。通常、積乱雲は上昇気流によって、暖かく湿った空気が供給されることで発達しますが、強い下降流ができると、この上昇気流が遮断 されてしまいます。結果として、積乱雲は発達に必要な暖湿気の供給を失い、急速に衰弱して一生を終えますので、答えは 正 です。
⑪一般風の鉛直シアーが小さい孤立型の積乱雲の寿命は、30分~1時間程度である。🟢
孤立型の積乱雲(シングルセル)とは、単一のセルから構成された積乱雲のことです。
孤立型(シングルセル)の積乱雲は、局所的に暖かく湿った空気が急速に上昇して形成されます。
しかし、一般風の鉛直シアーが 小さい と、上昇流を維持することができません。
具体的には、雲内で成長した雨やあられが落下する際、その過程で周囲の空気から 融解熱 や 蒸発熱 を奪い、空気を 冷却 します。冷却された空気は重くなるため、下降気流 が発生します。
この下降流は、積乱雲が発達するために必要な 上昇気流と暖湿気の流入を遮断 するため、積乱雲の維持が難しくなるのです。その結果、上昇流が急速に弱まり、積乱雲自体も 30分~1時間程度 で急速に衰退してしまいます。
したがって、一般風の鉛直シアーが小さい孤立型の積乱雲の寿命は、30分~1時間程度ですので、答えは 正 です。

⑫積乱雲の下降流が地表付近で広がり、その先端にできたガストフロントが湿った暖かい空気を押し上げて新しい積乱雲が形成される。この過程を繰り返しながら移動する雷雨を、組織化されたマルチセル型雷雨という。🟢
組織化されたマルチセル型雷雨 とは、複数の積乱雲から組織的に構成され、発達度の異なるセルが世代交代を繰り返しながら移動する雷雨のことです。具体的には、以下のようなプロセスで形成されます。
第1段階 下層に暖かく湿った空気がある環境場において、発生期の雲が誕生します。第2段階 発生期の雲は中層の風に流されながら成長期に移行します。第3段階 成長期の雲は成熟期を迎え、雨を降らせることにより下降流であるガストフロント(冷気外流出)が発生します。下降流と下層の風がぶつかることで成熟期の雲の後面に新たな雲が発生します。第4段階 雨を降らせた雲は衰退期となり次第に消散していきますが、後面に出来た雲が新たに成熟期を迎え、後面に新たな雲を発生させます。
こうして、複数の積乱雲が世代交代を繰り返しながら移動する雷雨のことを 組織化されたマルチセル型雷雨 といいます。したがって、積乱雲の下降流が地表付近で広がり、その先端にできたガストフロントが湿った暖かい空気を押し上げて新しい積乱雲が形成される過程を繰り返しながら移動する雷雨を、組織化されたマルチセル型雷雨といいますので、答えは 正 です。

⑬スーパーセル型ストームは、長時間持続する積乱雲で、周囲の風の鉛直シアーが小さい場合に生じやすく、雹、ダウンバースト、竜巻などを伴うことがある。
スーパーセル型ストーム とは、単一の巨大な積乱雲のことです。
スーパーセル型ストームの発生と持続には、周囲の風の鉛直シアーが 大きい 環境が必要です。
具体的には、上層と下層の風速や風向の差(鉛直シアー)が大きいと、下層の暖かく湿った空気が強い上昇流として吸い上げられ、かぎ状の上昇流を形成します。この上昇流は、雲頂付近で雲の進行方向に沿って吹き出し、レーダーエコー上では フックエコー として観測されるため、スーパーセルの存在を示す特徴的なサインとなります。この強い上昇流と明確に分離された下降流域の存在が、雹 、ダウンバースト 、竜巻 などの激しい気象現象を伴う要因となっています。したがって、スーパーセル型ストームは、長時間持続する積乱雲で、周囲の風の鉛直シアーが「小さい」ではなく「 大きい 」場合に生じやすく、雹、ダウンバースト、竜巻などを伴うことがありますので、答えは 誤 です。
⑭大気下層を中心に大量の暖湿気の流入が持続し、大気の状態が不安定な状態の中で地形や局地前線などで上昇流が強化されて発達した積乱雲が、上空の風の影響で線状に並ぶことで、線状降水帯が形成される。
線状降水帯 とは、同じ場所に雨雲が通過または停滞することで大雨災害をもたらす、線状に伸びた降水域のことです。気象庁では、「次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなした、組織化した積乱雲群によって、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される、線状に伸びる長さ50~300km程度、幅20~50km程度の強い降水をともなう雨域」と定義しています。
通常、積乱雲は雨を降らせると1時間程度で消滅してしまいます。
線状降水帯の場合でも同様で、1つ1つの積乱雲は雨を降らせるとたちまち消滅してしまいますが、次々と発生した積乱雲が、積乱雲群となって同じ場所を通過することで 長時間の強雨 をもたらします。
線状降水帯の発生メカニズムは下記のとおりです。まず 下層の暖湿気 が大量に流入し、その空気が 地形や局地的な前線 などの影響によって、持ち上げられて雨雲が発生します。
大気の状態が不安定な状態の中では、雨雲は 積乱雲 にまで発達し、さらに次々と積乱雲が発生します。
さらに、上空の風がこの積乱雲を押し流し、発生した積乱雲が列になることで、同じ場所で長時間の強雨 となります。その結果、上空から見ると線状に連なる強い降水域が、同じ場所で停滞しているように見えるのです。したがって、大気下層を中心に大量の暖湿気の流入が持続し、大気の状態が不安定な状態の中で地形や局地前線などで上昇流が強化されて発達した積乱雲が、上空の風の影響で線状に並ぶことで、線状降水帯が形成されますので、答えは 正 です。

⑮谷風により大気が山の斜面に沿って上昇すると気温が下がる。このとき、水蒸気が凝結して発生する雲は、ほとんどの場合層状性の雲である。
谷風 とは、谷風とは、日射によって温められた谷底の空気が軽くなり、山の斜面に沿って発生する上昇気流のことです。谷風による上昇気流は強く、局所的な不安定 を作り出すため、水蒸気の凝結により形成される雲は、広範囲に薄く広がる層状性の雲ではなく、局所的で盛んに発達する 対流性の雲 がメインとなります。したがって、谷風によって発生する雲は、ほとんどの場合「層状性の雲」ではなく「 対流性の雲 」ですので、答えは 誤 です。
⑯熱的低気圧は、春から夏の晴れた日などに、昼間の地表面の加熱に伴い中部山岳地帯などの内陸部に発生し、夜間には消滅する。
熱的低気圧(ヒートロウ)とは、春から夏の青天時の昼間に、日射によって地表面が加熱されることで中部山岳地帯などの内陸部に発生する局地的な低気圧のことです。なお、夜になると日射がなくなり、地表面が冷却されるため、熱的低気圧は消滅します。したがって、答えは 正 です。

⑰発達した積乱雲の中で降水を伴う下降流が生じ、地表面まで達すると外出流となって周辺に拡がっていくことがあり、ガストフロントはこの外出流の先端が周囲の空気と衝突する部分に形成される。
ガストフロント とは、積乱雲からの下降気流の先端と、周囲の暖気の間で形成される局地的な前線のことです。したがって、答えは 正 です。


⑱ガストフロントが通過すると、地上では気圧が下降する。
発達した積乱雲の下で発生した 冷たい(=密度が 大きい )空気が周囲の相対的に 暖かい(=密度が 小さい )空気へ流れ込みますので、気圧は「下降」ではなく「 上昇 」します。したがって、答えは 誤 です。
⑲積乱雲直下からのガストフロントの到達距離は、最大で3km程度である。
下図を見ると、ガストフロントの到達距離は、最大で「3km程度」ではなく「 数十km以上 」に達していますので、答えは 誤 です。




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