S16局地風14問1周目

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①風の弱い晴れた日に発生する海陸風循環は、海面上と陸面上の気温の高低が昼夜で逆転することにより、1日周期の変化が卓越する。

「1日周期の変化が卓越する」という表現は、海陸風が1日の中で規則的に変化することが最も顕著である、という意味を伝えています。…不思議な表現ですが、独特な表現として慣れなければなりません。

海陸風循環 とは、1日を周期として、日中は海から陸に向かう風(海風)、夜間は陸から海に向かう風(陸風)が吹く現象です。この現象は、気圧傾度が小さく、穏やかで晴れた日の海岸近くで起こります。海陸風循環が起こる要因は、陸上と海上の暖まり方の違いにあります。陸は比熱(=物質が暖まる速度)が 小さい ため、日中はすぐに暖まりますが、夜になると急速に冷えやすいという特徴があります。一方、海 は比熱が 大きい ため、暖まりにくく冷えにくいという特徴があります。

日中、日射により、陸上の気温が海上より高くなると、陸上で気圧が 低く 、海上で気圧が高くなります。このとき、陸上で上昇気流が発生し、それを補うために海上から陸上に風( 海風 )が吹きます。また、上空では海向きの風になり、地表面近くでは海上から陸上、上空では陸上から海上への循環した流れ( 海風循環 )が形成されます。

逆に、夜になると、日射の影響がなくなり、陸上の気温が海上より低くなるため、陸上から海上に向かう風( 陸風 )が吹きます。また、上空では陸向きの風になり、地表面近くでは陸上から海上、上空では海上から陸上への循環した流れ( 陸風循環 )が形成されます。
このように、昼夜で陸上と海上の気温が逆転 することが、海陸風循環を生じさせる要因となります。

海陸風循環は、陸上が日射で暖められることによって発生しますので、晴れて風が弱い日 によく見られ、1日周期 で安定して変化します。したがって、風の弱い晴れた日に発生する海陸風循環は、海面上と陸面上の気温の高低が昼夜で逆転することにより、1日周期の変化が卓越しますので、答えは 正 です。

②日本における海陸風において、一般に、海風は陸風に比べて風の吹く層の厚さが厚く、風速も大きい。

一般に、海風 は陸風に比べて風の吹く層が 厚く 、風速も 大きく なります。   
これは主に 日射による地表面の加熱 と、陸上と海上の温度差 が関係しています。

海風の場合
日中は日射により、地表面が加熱されますが、陸上の方が(比熱が小さいので)海上よりも強く加熱されます。この加熱によって、陸上の気温が大きく上昇し、陸上と海上の温度差が 大きく なります。
これにより、気圧差も 大きく なり、結果として、風の吹く層が 厚く 、風速も 大きく なります。
ごく大まかにいうと、海風の最大風速は 約5~6m/s であり、風が吹く層の厚さは 約 200 ~ 300 m に達します。

陸風の場合
夜間になると、陸上が急激に冷やされることで、陸上と海上の温度差が 小さく なります。
これにより、気圧差も 小さく なり、結果として、風の吹く層が 薄く 、風速も 小さく なります。
ごく大まかにいうと、陸風の最大風速は 約2~3 m/s 程度で、風が吹く層の厚さは 約 50 ~ 100 m ほどです。したがって、一般に、海風は陸風に比べて風の吹く層の厚さが厚く、風速も大きくなりますので、
答えは 正 です

③日本における海陸風において、一般に、明瞭な海風循環は冬季より夏季の方が出現しやすい。

海風は、日射で陸上が強く加熱 されることによってできる、陸上と海上の温度差 によって発生します。つまり、陸上がより 強く加熱 されるほど、陸上と海上の温度差が 大きく なり、海風も 発生しやすく なります。このため、日射が強い 夏 の方が、冬よりも海風が 起こりやすく なります。

さらに、海風は 晴れて風が弱い日 に発生しやすいため、北風が強く吹く冬よりも、高気圧に覆われて風が弱い夏 の方が、明瞭な海風が出現しやすいのです。したがって、一般に、明瞭な海風循環は冬季より夏季の方が出現しやすいので、答えは 正 です。

海陸風は、日射が強い夏の方が、冬より起こりやすい。

④日本における海陸風において、晴天日の日中に内部に向かって吹く海風は、大気下層で水平収束をもたらし、雷雨などの不安定性降水を発生させる要因となることがある。

下図のように、海風の先端部と陸上の大気の間では、風や露点温度、気温などが不連続的に変わっていることがあり、これを 海風前線 といいます。海風前線付近では、大気下層で水平収束 が起こり、地面から暖められた空気が上昇しますので、雷雨などの不安定性降水 を発生させる要因になることがあります。日本では、夏の関東平野の内陸部などで、このような局地的な前線が形成して 雷雨 が発生することがあります。したがって、晴天日の日中に内部に向かって吹く海風は、大気下層で水平収束をもたらし、雷雨などの不安定性降水を発生させる要因となることがありますので、答えは 正 です。

⑤海風の風向は、コリオリ力の影響を受けて海岸線に直角な方向から次第にずれていく。正

海風 は日中に海から陸へ向かって吹く風で、最初は海岸線に 直角 な方向に吹き始めます。
しかし、海風は局地風とはいえ、規模は 10~100km と大きく、コリオリ力 の影響を受けます。
その結果、コリオリ力によって海風の風向が曲げられ、海岸線に対して直角方向から 少し傾いて 吹くようになります。したがって、答えは 正 です。

⑥山地の風下側で局地的に風が強まるおろし風は、大気の成層状態が不安定なときに発生する。誤

おろし風 とは、山地の風下側で局地的に強風が吹く現象のことで、山脈を越えてきた冷たい空気が重力に引かれて山の斜面を勢いよく吹き降ります。この現象は、大気の成層状態が 安定 しているときに発生します。安定した大気では空気の層がしっかり分かれているため、重い空気が山を越えて風下側に一気に降りて 強風 を生じさせます。一方、大気の成層状態が 不安定 なときは、空気が上下に混ざりやすく、重力による下降気流が 弱まる ため、おろし風は 起こりにくく なります。したがって、山地の風下側で局地的に風が強まるおろし風は、大気の成層状態が「不安定」ではなく「 安定 」なときに発生しますので、答えは 誤 です。

⑦フェーン現象と同じように山地の風下側に吹き降りてくるおろし風は、風下側で断熱昇温しないことでフェーン現象と区別される。誤

フェーン現象 とは、湿潤な空気が山を越えて反対側に吹き下りたときに、風下側で乾燥した高温の風が吹く現象のことです。おろし風 とは、山脈を越えてきた冷たい空気が重力に引かれて山の斜面を勢いよく吹き降りる現象のことです。フェーン現象とおろし風は、どちらも山を越えて風下側に吹き降りる際に 断熱昇温 が起こります。ただし、おろし風はもともと 冷たい空気 が山を越えてくるため、断熱昇温しても風下側での気温は それほど高くなりません。したがって、おろし風は、風下側で「断熱昇温しない」ではなく「 断熱昇温します 」ので、答えは 誤 です。

⑧夜間、山の斜面が放射冷却などによって冷えると山風となって麓に流れ出す。山の斜面で冷やされた空気のうち、その斜面における温度が麓の平地の空気の温度より低いものは、そのまま麓の平地まで下りてきて冷気湖を形成する。正

夜間に山の斜面が放射冷却で冷えると、冷えた空気は重くなり 山風 となって斜面を下り麓に流れます。しかし、斜面を下る空気は標高が 下がる につれて気圧が 高く なり、断熱圧縮 によって気温が 上昇 します。このため、斜面で冷やされた空気がそのまま麓の平地まで下りてきて 冷気湖 を形成するわけではありません。冷気湖 とは、地形の低い場所に冷たい空気がたまる現象のことです。したがって、山風となって麓に流れ出した空気は、麓の平地で冷気湖を「形成する」ではなく「 形成しません 」ので、答えは 誤 です。

⑨竜巻の発生確認時の気象条件としては、前線、寒気や暖気の移流などによる大気の状態が不安定な場合が多い。

竜巻は、前線、寒気や暖気の移流 等による大気の状態が 不安定 な場合に発生することが多く、全体の 約60% を占めています。次いで、低気圧 や 台風・熱帯低気圧 が要因として続きます。
また、ダウンバースト や ガストフロント は、雷雨、寒気や暖気の移流 等による大気の状態が不安定な場合に多くなる傾向があります。したがって、竜巻の発生確認時の気象条件としては、前線、寒気や暖気の移流などによる大気の状態が不安定な場合が多いので、答えは 正 です。

⑩竜巻のろうと雲は、竜巻の渦の中心付近に吹き込んだ空気塊が気圧低下に伴う断熱膨張により水蒸気の凝結を起こすことによって形成される。正

竜巻 とは、積乱雲に伴う上昇流によって発生する激しい渦巻のことです。竜巻の中心付近は周囲に比べて 数十hPa も気圧が低いため、竜巻の中心に吹き込んだ空気は急速に 断熱膨張 して温度が 下がり ます。これによって水蒸気が凝結し、目に見える雲となって形成されるのが ろうと雲 です。したがって、竜巻のろうと雲は、竜巻の渦の中心付近に吹き込んだ空気塊が気圧低下に伴う断熱膨張により水蒸気の凝結を起こすことによって形成されますので、答えは 正 です。

⑪ダウンバーストとは、積雲や積乱雲からの強い下降流が、地面に衝突して周囲に吹き出す突風であり、しばしば強雨やひょうを伴う。被害域は竜巻と同じく帯状または線状となる。誤

ダウンバースト とは、積乱雲の成熟期に発生する強い下降気流が地面に達し、そこから周囲に強風が放射状に吹き出す現象のことです。ダウンバーストは 強雨 や ひょう を伴うことがありますが、被害域の形は 円形 や 楕円形 になることが多いのが特徴です。したがって、ダウンバーストの被害域は「竜巻と同じく帯状または線状」ではなく「 円形や楕円形 」となりますので、答えは 誤 です。

⑫日本において、発達した積乱雲がもたらす竜巻やダウンバースト、ガストフロントは、いずれも沿岸部で多く発生する傾向がある。誤

竜巻は海からの湿った空気と陸上の空気がぶつかりやすい沿岸部で多く発生する傾向があります。
しかし、ダウンバーストやガストフロントは沿岸部に限らず、関東地方の山間部周辺などの 内陸部 でも広く発生しています。したがって、答えは 誤 です。

⑬ダウンバーストの乾いた下降気流は、気象ドップラーレーダーによって観測することができる。正

ダウンバーストには、激しい降雨を伴う 湿った ダウンバーストと、地上での降雨を伴わない 乾いた ダウンバーストがあります。ドップラーレーダーは 降水粒子 に当たって反射してくる電波を受信して降水粒子の3次元的な動きを観測するものなので、降雨を伴わない 乾いた ダウンバーストは 観測できません。したがって、答えは 誤 です。

⑭ガストフロントは雲を伴わないため、静止気象衛星で観測することはできない。誤

ガストフロント とは、積乱雲の下で冷たい空気が吹き出し、周囲の暖かい空気とぶつかることでできる前線のことです。この境界では空気が持ち上げられて対流雲が発生し、特にアーチ雲や棚雲と呼ばれる円弧状の雲が形成されます。
アーチ雲は特徴的な形をしており、静止気象衛星で観測することができます。
したがって、ガストフロントは雲を「伴わない」ではなく「伴う」ため、静止気象衛星で観測することは「できない」ではなく「できます」ので、答えは 誤 です。

コメント

  1. 金太郎パパ より:

    > 「1日周期の変化が卓越する」という表現は…

     どこかの国の言葉を和訳したのかと思えるほどの表現ですね。

    > ③日本における海陸風において、一般に、明瞭な海風循環は冬季より夏季の方が出現しやすい。

     これは理解できたけど、他の文章はダメでした。

     色分けは何を意味しているんだろう…。
     はたから見ている自分にとってはどうでもいいけど…。