I9雲の生成と成長22問

①一般に、海洋上では陸上に比べて単位体積に含まれるエーロゾルの数が少なく、より大きな粒径の雲粒子が存在する。🟢

エーロゾルの数密度は、陸上(特に都市部)では 約 1011 個/m3 と高いですが、海洋上では 約 109 個/m3 と低いです。この差により、陸上 では水蒸気が多くのエーロゾルに分散して凝結するため 雲粒が小さく、海洋上 では1粒に凝結する水蒸気量が多くなるため 雲粒が大きく なります。
したがって、一般に、海洋上 では陸上に比べて単位体積に含まれるエーロゾルの数が 少なく、より 大きな 粒径の雲粒子が存在しますので、答えは 正 です。

②水溶性のエーロゾルの働きによって大気中に発生した水滴は、化学物質が溶解しているため、相対湿度が100%未満でも水滴として存在できる場合がある。

水溶性エーロゾルによって形成された水滴(溶液)は、純水の水滴よりも 飽和水蒸気圧が低く 、相対湿度が 100%未満 でも安定して存在できることがありますので、答えは 正 です。

③一般に、大気中の氷晶核の数は凝結核の数に比べて少ない。

凝結核は水蒸気を凝結させる役割を持ち、海上では 109 個/m3 程度、陸上では 1010 個/m3 程度、都市部では 1011 個/m3 程度と非常に多く存在します。
一方、氷晶核は氷晶の形成を助ける役割を持ちますが、その数は極めて少なく、例えば、気温が−20℃では 103 個/m3 程度、−10℃の時は 10 個/m3 程度しかありません。
したがって、一般に、大気中の氷晶核の数は凝結核の数に比べて 少ない ので、答えは 正 です。

④過冷却水滴を含む雲の中で、水滴よりも氷晶のほうが速く成長するのは、0℃未満では、氷面に対する飽和水蒸気圧が水面に対するものより高いからである。

過冷却水滴を含む雲の中で、水滴よりも氷晶のほうが速く成長するのは、0℃未満では、氷面に対する飽和水蒸気圧が水面に対するものより「高い」ではなく「 低い 」からですので、答えは 誤 です。

⑤氷晶の生成に重要な働きをする氷晶核は、エーロゾルの一種で、水蒸気を凝結させる働きをする凝結核よりも一般に数が少ない。

氷晶核は エーロゾルの一種 であり、凝結核よりも 数が少ない ので、答えは 正 です。

⑥氷粒子と過冷却水滴が共存する雲の中では、氷面に対する飽和水蒸気圧が水面に対する飽和水蒸気圧よりも低いことにより、昇華による氷粒子の成長が進みやすい環境となっている。

氷粒子と過冷却水滴が共存する雲の中(=つまり、同じ温度の時)では、氷面 に対する飽和水蒸気圧は 水面 に対する飽和水蒸気圧より 低く なります。
したがって、氷粒子と過冷却水滴が共存する雲の中では、氷面 に対する飽和水蒸気圧は 水面 に対する飽和水蒸気圧よりも 低く、昇華 による氷粒子の成長が進みやすいので、答えは 正 です。

⑦異なる落下速度の氷粒子どうしが衝突して付着する割合は、氷粒子の形や大きさにより違うが、温度には依存しない。

異なる落下速度の氷粒子(=氷晶)どうしが衝突して付着・成長したものを 雪の結晶 といいます。
下図のように、雪の結晶の種類には、柱状結晶や、角板状結晶、樹枝状結晶などがあります。
この雪の結晶の成長には、氷粒子の形や大きさだけでなく、温度(上図の横軸)や 水蒸気量(上図の縦軸。過飽和度や氷過飽和水蒸気密度ともいう)も影響しています。
さらに、過飽和度が 大きい ということは、氷面から出ていく水分子よりも、氷面に入ってくる水分子の方が 多い ということなので、過飽和度が 大きい ほど雪の結晶は 成長しやすく なります。
例えば、同じ気温でも、過飽和度が大きいときにできる 樹枝状結晶 の方が、過飽和度が小さいときにできる 厚角板状結晶 よりも 成長しやすい ということになります。
したがって、異なる落下速度の氷粒子どうしが衝突して付着する割合は、氷粒子の形や大きさにより違い、「温度には依存しない」わけではなく「 温度と水蒸気量にも依存します 」ので、答えは 誤 です。

⑧雪が落下するとき、空気が乾燥しているほど、雪は融解して雨になりやすい。

雪が落下するとき、空気が乾燥しているほど、雪は 昇華によって質量が失われて、粒径が小さくなります。昇華には固体(雪)から気体(水蒸気)になるための大量の熱(= 昇華熱 )が必要で、その熱は雪の結晶から奪われます。
その結果、雪の結晶自体は昇華により小さくなりますが、雪の結晶そのものが冷やされるので、雪が融解して雨になりやすくなるわけではありません 。
雨か雪かの判別は 気温 と 湿度 で推定することができます。上図のように、同じ気温 であっても、湿度が低い(=乾燥している)ほど、雨ではなく 雪 として降ってきやすいという特徴があります。
これは、湿度が低いほど 昇華 が激しく起こり、雪の結晶の 温度が大きく下がる ためです。したがって、雪が落下するとき、空気が乾燥しているほど、雪は融解して 雨になりやすいわけではない ので、答えは 誤 です。

⑨雲内での水滴の併合過程では、単位体積に含まれる水滴の質量の合計が同じであれば、大きさの異なる水滴が多数存在している場合よりも、大きさが一様な水滴が多数存在している場合の方が、水滴が速く成長する。

単位体積に含まれる水滴の質量の合計が 同じ であれば、大きさが 一様 な水滴が多数存在している場合よりも、大きさの 異なる 水滴が多数存在している場合の方が、水滴が 速く 成長しますので、答えは 誤 です。

⑩過冷却水滴を含む雲内に生成された氷晶は、過冷却水滴と衝突・併合する過程がないと雪に成長して地上に降ってくることはできない。

氷晶の成長過程は「過冷却水滴との衝突による成長 」の他に「水蒸気の昇華凝結による成長 」と「氷晶同士の衝突による成長 」があるため、答えは 誤 です。

⑪凝結核を持たずに形成された純水の微小水滴では、表面張力の作用により、水滴が小さいほど、より小さな過飽和度で水蒸気が凝結する。

凝結核を持たずに形成された純水の微小水滴では、水滴が小さいほど水蒸気が凝結するためにはより「小さな」過飽和度ではなく「 大きな 」過飽和度が必要であるため、答えは 誤 です。

⑫水溶性のエーロゾルを凝結核として形成された微小水滴は、同じ大きさの純水の微小水滴よりも、水滴の表面に対して平衡する水蒸気圧が低いため、凝結による成長が起こりやすい。

一般に化学物質が溶けた水(=溶液)に対する飽和水蒸気圧は、純粋な水の飽和水蒸気圧より 低い という性質があります。「塩の潮解性を考えると…水と仲が良いと考えるとよい。つまり成長しやすい。」

水溶性のエーロゾルを凝結核として形成された微小水滴は、同じ大きさの純水の微小水滴よりも、水滴の表面に対して平衡する水蒸気圧が 低く、凝結による成長が 起こりやすい ため、答えは 正 です。

⑬上空では雪片だった降水粒子が、落下して周囲の気温が0℃となる高度を通過すると、融けて雨滴になる。雪片が融けて雨滴になる途中の状態は、雨滴よりも粒が大きく、固体(雪)の表面が液体で覆われている状態で、いわゆる「みぞれ」である。

雨粒の大きさは 直径約1~2mm のものが多く、直径約0.5mm以下になると霧雨、雷雨の時は直径約3~5mmになることもあります。
(ちなみに、これまで観測された雨粒の最大の大きさは 直径約7mm で、それ以上の大きさになると、空気抵抗などの影響により分裂し、小さくなってしまいます。)
一方、雪片は落下途中で衝突してくっついたりすることで成長し、大きな雪片では 直径約3cm になることもあります。
みぞれ は、融けかけの雪ですので、大きさは雪片とあまり変わらず 直径約3cm になることもあります。
したがって、雪片が融けて雨滴になる途中の状態(=みぞれ)は、雨滴よりも粒が大きく、固体(雪)の表面が液体で覆われていますので、答えは 正 です。

⑭凝結核となる微粒子を含まない過冷却水滴は、周囲の気温が−20℃まで低下すると自発的に氷晶となる。

水滴が凝結核となる微粒子を含まない場合、0℃以下になってもすぐに凍結せず、過冷却水滴 として存在し続けます。
特に、不純物を全く含まない純水の水滴は、−40℃程度 までは自発的に凍結することなく、過冷却水滴として存在することが分かっています。
したがって、凝結核となる微粒子を含まない過冷却水滴は、周囲の気温が「−20℃」ではなく「 −40℃以下 」まで低下すると自発的に氷晶となりますので、答えは 誤 です。

⑮日本では、氷晶と過冷却水滴が共存している冷たい雲から冷たい雨が降ることはほぼない。

氷晶と過冷却水滴が同時に存在する雲を 冷たい雲 といい、冷たい雲から降る雨を 冷たい雨 といいます。
日本では、雲が形成される高度での気温が 0℃以下 である場合が多いため、冷たい雲ができやすく、冷たい雨も多く観測されています。
したがって、日本では、氷晶と過冷却水滴が共存している冷たい雲から冷たい雨が降ることは「ほぼない」ではなく「 よくあります 」ので、答えは 誤 です。

⑯暖かい雲の中では、凝結過程と併合過程により雲粒が生成されて成長する。

雲の温度が0℃以上で、雲の形成過程において氷晶を含まない雲を 暖かい雲 といい、暖かい雲から降る雨を 暖かい雨 といいます。
暖かい雲の中では、過飽和の状態になった水蒸気が凝結核の働きによって凝結し、異なる大きさの雲粒となります。この成長過程を 凝結過程 といいます。
さらに、大きい雲粒ほど落下速度が大きいので、雲粒が落下する過程で大きい雲粒が小さい雲粒にぶつかってくっつくことでより大きく成長します。
この成長過程を 併合過程 といいます。したがって、暖かい雲の中では、凝結過程と併合過程により雲粒が生成されて成長しますので、答えは 正 です。

⑰一般に、雲内の水滴が併合過程で成長する場合の水滴の半径の単位時間あたりの増加率は、水滴の成長に伴って大きくなる。

雲内に異なる大きさの水滴が存在する場合、半径が大きく、落下速度が大きな水滴は、衝突・併合過程 によってさらに大きくなりますので、水滴が大きく成長するのに伴って、水滴の半径も加速度的に大きく なります。
したがって、一般に、雲内の水滴が併合過程で成長する場合の水滴の半径の単位時間あたりの増加率は、水滴の成長に伴って大きくなりますので、答えは 正 です。

⑱気温が同じ場合、大気が乾燥しているほど、氷晶は落下途中で融解しやすく、地上では雨になりやすい。

氷晶の融解速度は、氷晶が周囲の空気から熱伝導で受け取る熱( 顕熱 )と、氷晶の昇華の際に氷晶の表面から奪われる熱( 潜熱 )の大小関係で決まります。
気温が同じ場合、空気が乾燥しているほど、氷晶の表面からの昇華が多くなるので、氷晶が受け取る熱より 氷晶の表面から奪われる熱のほうが多く なります。
したがって、気温が同じ場合、大気が乾燥しているほど、氷晶は落下途中で融解「しやすく」ではなく「 しにくく 」、地上では「雨」ではなく「 雪 」になりやすいので、答えは 誤 です。

⑲氷晶の形状は、氷晶が成長しているときの温度と相対湿度によって決まる。

氷晶の形状は、温度 によって、細長い柱状 になるか 薄く広がる板状 になるかが決まり、相対湿度 によって、扇形 や 樹枝状 などの形が決まります。したがって、答えは 正 です。

⑳ひょうは、積乱雲の内部に多数の過冷却水滴があり、また強い上昇流が存在するときに、上昇と下降を繰り返して成長する。

氷粒子が過冷却水滴を捕捉しながら落下して直径が 2~5mm程度 に成長したものを あられ といい、直径が 5mm以上 に成長したものを ひょう といいます。
したがって、答えは 正 です。

㉑雲の形成初期における微小水滴はほぼ球形であるが、落下して水滴の半径が大きくなるにつれて水滴に働く表面張力が弱まることで、球形から扁平へと変化する。

雲の形成初期の微小水滴は、表面張力が 強く 働いているため、ほぼ 球形 になっています。しかし、水滴の半径が大きくなるにつれて表面張力が 弱まり 、周囲の空気から空気抵抗を受けて 扁平(水滴の底の部分がつぶれて平らな形状)になります。したがって、答えは 正 です。

㉒雲粒の落下の終端速度は、雲粒の大きさによらない。

雲粒の落下の終端速度は、「 雲粒の半径の2乗に比例します 」ので、答えは 誤 です。

コメント

  1. 金太郎パパ より:

    > 一般 降水過程:雲の生成と成長 22問 問題

     「青」が出てきましたね。
     …ということは、前段の問題たちは完璧ってことなんですね。

     パス3