I21中層大気の運動10問

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①下部成層圏では、高緯度で生成・蓄積されたオゾンがプラネタリー波により低緯度に運ばれる。🟢

オゾンは、紫外線による光化学反応で主に 低緯度の成層圏 で生成されます。
生成されたオゾンは、プラネタリー波 や ブリューワー・ドブソン循環 によって中高緯度へ運ばれ、下降して蓄積されます。この輸送は冬季に活発化するため、 冬季から春季にかけて中高緯度の下部成層圏 でオゾン量が増加します。したがって、下部成層圏では、「高緯度」ではなく「 低緯度 」で生成・蓄積されたオゾンがプラネタリー波により「低緯度」ではなく「 高緯度 」に運ばれますので、答えは 誤 です。

②1月の北半球中高緯度における経度方向に帯状平均した東西風は、成層圏ではほぼ西風、中間圏ではほぼ東風となっている。🔴

1月の北半球中高緯度における経度方向に帯状平均した東西風は、成層圏ではほぼ 西風、中間圏でもほぼ「東風」ではなく「 西風 」となっていますので、答えは 誤 です。

北半球では、中間圏でも成層圏でも西風が読み取れる。

③成層圏突然昇温は対流圏からのプラネタリー波の伝播により引き起こされ、下層から昇温が始まる。🟢

成層圏突然昇温は、プラネタリー波 (=対流圏の偏西風の大きな蛇行)と、それに伴う 成層圏へのエネルギーの伝播 によって引き起こされます。また、下図は1952年に成層圏突然昇温が初めて発見されたときのベルリン上空における気温の時間変化です。

上図を見ると、15hPa(高度約30km)→ 25hPa(高度約24km)→ 100hPa(高度約16km)と、 上層から昇温が始まり 、気温が急激に上昇していることが分かります。したがって、成層圏突然昇温は対流圏からの プラネタリー波の伝播 により引き起こされ、「下層」ではなく「 上層 」から昇温が始まりますので、答えは 誤 です。

④赤道付近の成層圏では、東風と西風が約2年周期で入れ替わる準二年周期振動が観測される。🔴

準二年周期振動(quasi-biennial oscillation:QBO)とは、赤道域の下部成層圏で、東風と西風が約26か月ごとに交代 する現象のことです。
下図(カントン島における下部成層圏の月平均東西風の時間・高度変化図)をみると、東西風の変化が約2年周期 で発生していることが分かります。

したがって、赤道付近の成層圏では、東風と西風が約2年周期で入れ替わる 準二年周期振動 が観測されていますので、答えは 正 です。

⑤北半球中高緯度の成層圏で、夏季に等高度線が北極付近を中心とする同心円状になるのは、対流圏で励起されたプラネタリー波が成層圏に伝播しなくなるためである。

プラネタリー波 とは、偏西風が大規模な山脈や地形にぶつかることで、対流圏に生じる非常に大きな停滞性の大気の波動であり、
波数が1~3、波長は約10,000km以上に達します。
プラネタリー波は 偏西風(=対流圏の西風)によって励起されますので、成層圏も 西風 である場合、プラネタリー波の波動のエネルギーを成層圏に 効率よく 伝播させることができるという特性があります。

しかし、成層圏が 東風 の場合、風向が偏西風とは逆向きで波動のエネルギーが分散しやすくなるため、プラネタリー波の波動のエネルギーを成層圏に伝播することが 困難 になります。

このため、成層圏において、西風 が吹いている 冬半球 ではプラネタリー波が伝播しやすく、東風 が吹いている 夏半球 では伝播しにくくなります。

実際に、北半球の成層圏が 夏半球 の時と 冬半球 の時の天気図を比較すると、夏半球 の時は、北極付近に高気圧があり、中高緯度で東風、等温線および等高度線はともに 同心円状 になっていることが分かります。
一方、冬半球 では、北極付近に低気圧があり、その周辺で西風が 蛇行 しています。
したがって、北半球中高緯度の成層圏で、夏季に等高度線が北極付近を中心とする同心円状になるのは、対流圏で励起されたプラネタリー波が成層圏に伝播しなくなるためですので、答えは 正 です。

⑥一般的に、上部成層圏の気温の鉛直勾配は下部成層圏に比べて大きい。

上部成層圏 は 下部成層圏 に比べて、上空に行くほど 気温が大きく変化 しています(= 気温の鉛直勾配が大きく なっています)。
その理由は、オゾンの紫外線吸収による大気の加熱 が関係しています。

オゾンは、生成・消滅の過程で紫外線を吸収し、大気を加熱しますので、その加熱率は
① 紫外線の量が多い 上層 ほど
② 酸素分子の数が多い 下層 ほど
③ 熱容量が小さい 上層 ほど
大きくなります。

その結果、成層圏の大気の加熱量は、上空ほど大きくなるため、上部成層圏 の方が気温の鉛直勾配が 大きく なるのです。

したがって、一般的に、上部成層圏 の気温の鉛直勾配は 下部成層圏 に比べて大きいので、答えは 正 です。

⑦成層圏と中間圏では、北半球の夏季の気温は北極付近で最も高くなる。

下図(1月の平均気温の緯度・高度分布図)のように、成層圏 では、夏半球 で気温が 高く、冬半球 で気温が 低く なっており、中間圏 では、夏半球 で気温が 低く、冬半球 で気温が 高く なっています。
これは、成層圏では オゾンの紫外線吸収 による大気の加熱、中間圏では 大気の大規模循環 による空気の断熱変化が関係しています。

成層圏では、オゾンが紫外線を吸収することで大気が加熱されるため、日射量の多い 夏半球 の北極付近で最も気温が 高く なります。

一方、中間圏では、大気の大規模循環による空気の断熱変化により、夏半球 では上昇気流による断熱膨張によって気温が 低く なるのに対し、冬半球 では下降気流による断熱圧縮によって気温が 高く なります。
したがって、北半球の夏季の気温は、成層圏 では北極付近で最も 高く、中間圏 では最も 低く なるため、答えは 誤 です。

⑧7月の成層圏内の高度30km~50km付近は、北極周辺が全球の中で最も気温が低く、北極を中心とする高層天気図で見ると、気圧の等高度線が北極を中心とする同心円状の低気圧となっている。

成層圏に存在するオゾン層は、太陽の紫外線を吸収 することで、大気を暖めます。特に、夏季の北極は1日中日射が当たる 白夜 となるため、日射量が他の緯度帯より大きくなります。これにより、オゾン層が太陽の紫外線を1日中吸収し、大気を 加熱 することで、夏季の成層圏は、北極付近で気温が最も 高く なり、高気圧 が形成されます。

下図は、1975年7月2日の北極を中心とした成層圏(5hPa(=高度約35〜37km))の天気図です。

上図を見ると、気温は赤道から中緯度に向かって次第に 高く なり、北極周辺で最も 高い ことがわかります。

また、北極付近で等圧面高度が最も 高く なっており、北極を中心とする同心円状の 高気圧 となっていることもわかります。

したがって、7月の成層圏内の高度30km~50km付近は、北極周辺が全球の中で最も気温が「低く」ではなく「 高く 」、北極を中心とする高層天気図で見ると、気圧の等高度線が北極を中心とする同心円状の「低気圧」ではなく「 高気圧 」となっていますので、答えは 誤 です。

⑨1月の成層圏内の高度30km~50km付近は、一般に北極周辺が全球の中で最も気温が高く、高気圧となっている。

下図は、1975年12月31日の北極を中心とした成層圏(5hPa(=高度約35〜37km))の天気図です。

図を見ると、気温は赤道から中緯度に向かって次第に 低く なり、北極周辺で最も 低い ことが分かります。

また、北極付近で等圧面高度が最も 低く なっており、北極を中心とする 低気圧 となっていることも分かります。

したがって、1月の成層圏内の高度30km~50km付近は、一般に北極周辺が全球の中で最も気温が「高く」ではなく「 低く 」、「高気圧」ではなく「 低気圧 」となっていますので、答えは 誤 です。

⑩1月の北極付近の成層圏内の高度30km~50km付近は7月と比べて、等高度線は同心円状ではなく南北に蛇行しており、しばしばアリューシャン列島付近に低気圧が現れる。

アリューシャン列島とは、アラスカからカムチャツカ半島へ連なる諸島群です。
下図は、1975年12月31日の北極を中心とした成層圏(5hPa(=高度約35〜37km))の天気図です。
図では、アリューシャン列島は等高度線が密な部分にかかっていますが、少し南側の北部太平洋に 高気圧 が出現していることがわかります。

ちなみに、この高気圧は、冬季にアリューシャン列島付近に比較的長い期間に存在することから、アリューシャン高気圧 と呼ばれます。
したがって、1月の北極付近の成層圏内の高度30km~50km付近は7月と比べて、等高度線は同心円状ではなく南北に蛇行しており、しばしばアリューシャン列島付近に「低気圧」ではなく「 高気圧 」が現れますので、答えは 誤 です。

コメント

  1. 金太郎パパ より:

    > 一般 気象現象:中層大気の運動 10問

     う~ん…。パス!

     800問って、ずいぶんありますね。
     まだまだでしょうか?(笑)