①数値予報モデルの結果である未来の気象状態を予測した気圧、気温、風、湿度などの数値データを応用処理することで得られる資料を、プロダクト(応用プロダクト)という。
数値予報モデル は、未来の気圧や気温、風、湿度などの大気の状態を数値データとして計算・出力します。しかし、そのままの数値データは予報に使いやすい形ではないため、これらのデータに対して加工や解析を行う 応用処理 が行われます。この応用処理によって作られる資料を プロダクト(応用プロダクト)といいます。プロダクトには、高層天気図 や 数値予報天気図 、降水確率のガイダンス など、実際の天気予報に直結する重要な情報が含まれています。したがって、数値予報モデルの結果である未来の気象状態を予測した気圧、気温、風、湿度などの数値データを応用処理することで得られる資料を、プロダクト(応用プロダクト)といいますので、答えは 正 です。
②数値予報モデルのプロダクト(ガイダンスに加工される前の格子点値をさす)として出力される地上における気温や風などの物理量は、実際の地形ではなく、モデル地形に対して算出される。
数値予報モデルのプロダクトとして出力される地上の気温や風などの物理量は、実際の地形ではなく、モデルが持つ 平滑化された地形データ に基づいて算出されます。
モデル地形は格子間隔に応じて地形の凹凸が なめらかに表現 されるため、実際の複雑な地形とは 異なります。そのため、例えば標高や地形の起伏が異なることで、モデル上の気温や風の値と実際の観測値に 誤差 が生じることがあります。
こうした地形の違いによる誤差は、特に 山岳地帯 や 海岸線付近 など地形の影響が大きい場所で顕著となり、数値予報の精度に影響を与えます。
したがって、数値予報モデルのプロダクト(ガイダンスに加工される前の格子点値をさす)として出力される地上における気温や風などの物理量は、実際の地形ではなく、モデル地形に対して算出されますので、答えは 正 です。
③数値予報プロダクトの渦度は鉛直成分で表され、北半球における渦度の鉛直成分は、低気圧性循環の場合に負の値となる。
渦度 は大気の回転の方向と強さを表す物理量であり、数値予報では主に鉛直成分が用いられます。
北半球においては、低気圧性循環 の回転方向は 反時計回りであり、この場合の渦度は 正 の値をとります。
一方、高気圧性循環 は 時計回り で、渦度は 負 の値となります。
したがって、数値予報プロダクトの渦度は鉛直成分で表され、北半球における渦度の鉛直成分は、低気圧性循環の場合に「負」ではなく「 正 」の値となりますので、答えは 誤 です。
④数値予報プロダクトとして出力される物理量のうち、12時間降水量は、予報時刻の6時間前から6時間後までの12時間の積算降水量を表している。
12時間降水量 とは、予報時刻の「6時間前から6時間後」までの降水量ではなく、予報時刻の「 12時間前から予報時刻 」までの降水量の合計のことです。
つまり、12時間降水量は過去12時間の積算値であり、未来の時間帯は含まれません。
したがって、答えは 誤 です。
⑤数値予報プロダクトの天気図で表現される上昇流の大きさは、700hPa面での鉛直p速度で表現されている。
数値予報プロダクトの天気図では、上昇流の大きさ を 700hPa面の鉛直p速度 で表しています。
鉛直p速度 とは、気圧面における空気塊の鉛直運動を気圧の変化率(hPa/h)で示したもので、負 の値が 上昇流 を意味します。
700hPa面は高度約3km付近にあたり、上昇流の強さが最も顕著に現れる ため、この層の鉛直p速度が上昇流の代表値として使われています。
典型的な鉛直p速度の最大値は 100hPa/h以下 で、風速に換算すると 約0.3m/s程度 です。
したがって、数値予報プロダクトの天気図で表現される上昇流の大きさは、700hPa面での鉛直p速度で表現されていますので、答えは 正 です。
⑥数値予報プロダクトの海面気圧は、数値予報モデルで求めた地表面気圧を海面更正した値である。
数値予報モデルが計算する 地表面気圧 は、その地点の標高における気圧の値です。
しかし、天気図で用いられる気圧は 海面気圧 であるため、標高の影響を取り除く 海面更正 が必要です。
具体的には、標高が高いほど気圧は低くなるため、地表面気圧を海面気圧に換算し直すことで、異なる場所の気圧を比較 できるようにしています。
したがって、数値予報プロダクトの海面気圧は、数値予報モデルで求めた地表面気圧を海面更正した値ですので、答えは 正 です。
⑦予報プロダクトにおいてショワルターの安定指数(SSI)が負の場合、大気の成層状態は安定である。
ショワルターの安定指数(SSI)とは、850hPaにある空気塊を500hPaまで断熱的に持ち上げたときの、500hPaの周囲の気温と空気塊の温度の差のことです。
具体的には、周囲の大気の温度から空気塊の温度を引いた値が SSI です。
もしSSIが 負 の値であれば、持ち上げられた空気塊の温度が周囲よりも 高い ことを意味し、その空気塊は浮力を得てさらに 上昇 を続けます。
つまり、大気の成層状態は 不安定 であることを意味します。
逆に、SSIが 正 の値なら空気塊は周囲より 冷たい ため 上昇しにくく、大気は 安定 しています。
したがって、ショワルターの安定指数(SSI)が負の場合、大気の成層状態は「安定」ではなく「 不安定 」ですので、答えは 誤 です。
⑧水平解像度2kmの局地モデルでは、大雨などの局地的な現象を精度良く表現できるため、予測結果について、位置や時間のずれを考慮する必要はない。
水平解像度2kmの 局地モデル は、比較的小さなスケールの積乱雲による大雨などの現象をある程度細かく表現できます。
しかし、実際の大気の動きは非常に複雑で、観測データのわずかな違いやモデル自体の限界によって、予測される現象の発生する 位置や時間がずれる ことがあります。
そのため、たとえ高解像度のモデルであっても、予測結果を利用する際には、現象の位置や時間が多少ずれる可能性を「考慮する必要はない」ではなく「 常に考慮する必要があります 」ので、答えは 誤 です。
⑨数値予報モデルの初期値として利用される解析値の精度は、モデルの格子点の位置によらず、空間的に一様であるとみなしてよい。
数値予報モデルの初期値として利用される解析値とは、第一推定値を観測データで修正 した値のことで、その精度は空間的に 一様ではありません。
これは、観測データの分布が場所によって 大きく異なる ためです。
例えば、陸上 では観測点が密集しているのに対し、海上 や 山岳地帯 では観測が少なくなります。
また、観測データや第一推定値に含まれる 誤差 も地域ごとに異なります。
さらに、地形や気象現象の複雑さによってモデルの 予報誤差 も変わるため、解析値の精度は空間的に 一様ではありません。したがって、答えは 誤 です。
⑩異なる複数の初期条件から計算した数値予報の結果は、予報時間が短い間は差が大きいが、予報モデルが同じならば、予報時間が長くなるにしたがってほとんど差がなくなる。
数値予報では、大気の状態を初期条件として計算を始めますが、大気は カオス的な性質 を持っているため、わずかな初期条件の違いが時間の経過とともに 大きく 広がっていきます。つまり、異なる初期条件から出発した予報結果は、予報時間が短い間は似ていても、時間が長くなるにつれて次第に差が 大きく なっていきます。
このため、同じ予報モデルを使っていても、予報時間が長くなるほど予報結果のばらつきは増え、差がなくなることはありません。異なる複数の初期値の予報値を平均して行う アンサンブル予報 の結果も、予報時間が長くなるにしたがってバラツキ(差)が 大きく なってしまいます。
したがって、異なる複数の初期条件から計算した数値予報の結果は、予報時間が長くなるにしたがって「ほとんど差がなくなる」ではなく「 差が大きくなります 」ので、答えは 誤 です。
⑪数値予報モデルの予測の誤差の成長の程度は、同じモデルであれば気象場によらず常に同程度となる。
数値予報モデルの予測誤差の成長は、大気の状態や気象場によって 大きく異なります。
大気は カオス的な性質 を持っており、初期のわずかな誤差が時間とともに急速に 増幅 されるため、誤差の成長速度はその時々の 気圧配置 や 大気の流れ によって変わります。
例えば、台風 や 低気圧 が発達している場所では誤差が急激に 大きく なる一方で、高気圧 に覆われて安定している地域では誤差の成長が 抑えられる ことが多いです。
このように、数値予報モデルの予測の誤差の成長の程度は、同じモデルであれば「気象場によらず常に同程度」ではなく「 気象場が異なれば誤差の成長の程度も異なります 」ので、答えは 誤 です。
⑫地形が原因となって生じる現象の予測が十分でない場合があるのは、予報モデルに組み込まれている地形データでは小さな山や谷が表現されていないためである。
数値予報モデルの地形データは、モデルの格子間隔に合わせて 平滑化 しています。
そのため、小さな山や谷などの 細かい地形 は十分に表現されていません。
地形は天気に大きな影響を与えるため、解像度が粗く地形がなめらかになると、地形性降水 や 局地的な風の変化 などの現象を正確に予測できなくなります。
また、標高の違いが 気温 の予測にも影響し、山岳部 では予報と実際の気温に差が生じることがあります。
したがって、地形が原因となって生じる現象の予測が十分でない場合があるのは、予報モデルに組み込まれている地形データでは小さな山や谷が表現されていないためですので、答えは 正 です。
⑬初期時刻における予報変数の真の値と計算に用いる初期値との差が初期誤差であり、一般に初期誤差が小さいほど数値予報結果の誤差が小さくなる。
数値予報において、初期時刻の予報変数の真の値と計算に用いる初期値の差を 初期誤差といいます。
この初期誤差は予報の出発点となるため、その大きさが予報結果の 精度 に大きく影響します。
一般に、初期誤差が 小さい ほど、その後の時間の経過に伴う誤差の増加も抑えられるため、予報結果の誤差も 小さく なります。
これは、数値予報モデルが持つ誤差拡大の性質によるもので、初期誤差が 大きい と誤差が急速に 増幅 されてしまうのに対し、初期誤差が 小さい 場合は誤差の成長が 抑えられる ためです。このため、気象予報では観測データの精度向上やデータ同化技術によって初期誤差をできるだけ 小さく することが非常に重要とされています。
したがって、初期時刻における予報変数の真の値と計算に用いる初期値との差が初期誤差であり、一般に初期誤差が小さいほど数値予報結果の誤差が小さくなりますので、答えは 正 です。
⑭数値予報モデルの格子間隔が粗くなるほど、じょう乱の予報精度は低下する。
数値予報モデルでは、大気の状態を 格子点 と呼ばれる一定間隔の点で表し、その間隔を 格子間隔 といいます。
格子間隔が 粗く なると、各格子点での予報値の誤差が 大きく なり、特に細かい大気の乱れであるじょう乱の予報精度が 低下 します。
これは、粗い格子間隔では小さな規模の現象や急激な変化を十分に捉えられず、現象が ぼやけてしまう ためです。
例えば、台風の目 や 局地的な積乱雲 のような細かい構造は、細かい 格子間隔でないと正確に再現できません。したがって、数値予報モデルの格子間隔が粗くなるほど、じょう乱の予報精度は低下しますので、答えは 正 です。
⑮数値予報モデルで直接表現できない小規模の現象による効果は、パラメタリゼーションによって表現しているが、これは予測結果の誤差の原因にはならない。
数値予報モデルでは、格子点の間隔より小さい積雲対流や乱流などの現象を直接表現できないため、パラメタリゼーション という手法を使ってこれらの影響を近似的に表現しています。
しかし、パラメタリゼーションは格子点上の物理量をもとに統計的に計算するため、実際の複雑な物理過程を 完全に再現することはできません。
そのため、パラメタリゼーションは予測結果の誤差の原因には「ならない」ではなく「 なります 」ので、答えは 誤 です。
⑯数値予報の予報誤差は予報時間の経過とともに増大するので、現象の予報期間には限界がある。
数値予報の誤差は、予報時間が経過するにつれて次第に 大きく なっていきます。
これは、観測データ に含まれる誤差だけでなく、パラメタリゼーション の不完全さや、予報領域の 側面境界値 の誤差が時間とともに 大きく なるためです。
また、大気の カオス的な性質 により、わずかな誤差が指数関数的に 増幅 されることも原因となっています。
そのため、予報には限界があり、全球モデルでは 約11日間、メソモデルでは 約78時間 程度が実用的な予測可能期間とされています。
したがって、数値予報の予報誤差は予報時間の経過とともに増大し、現象の予報期間には限界がありますので、答えは 正 です。
⑰水平スケールの大きな現象についての予報ほど、時間の経過とともに予報の有効性は早く失われる。
数値予報では時間が経つにつれて誤差が 大きく なり、予報の精度は 低下 しますが、その速度は 現象の規模 によって異なります。
小規模 な現象は変化が速く寿命も短いため、予報の有効期間は 短く なります。
一方で、高気圧や低気圧のような 大規模 な現象は変化が緩やかで持続時間も長いため、予報の有効性は 2週間程度 と比較的長く保たれます。
したがって、水平スケールの大きな現象についての予報ほど、時間の経過とともに予報の有効性は「早く失われる」ではなく「 長く保たれます 」ので、答えは 誤 です。
⑱数値予報プロダクトの格子点値は、格子の中心に対応する地点の値をピンポイントで表している。
数値予報プロダクトの格子点値は、格子の中心に対応する地点の ピンポイントの値を示しているわけではありません。
実際には、その格子点が代表する周辺の 一定範囲の大気の状態を平均的に表した値 です。
つまり、格子点値は 格子領域全体の代表値 として計算されているため、特定の地点の局所的な状態をそのまま反映しているわけではありません。したがって、答えは 誤 です。
数値予報:数値予報プロダクトの利用と予報誤差18問


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